化学徒の備忘録

化学系の用語や論文、動画などを紹介していきます

用語解説

錯体と配位子の解説

錯体と配位子 通常のイオンとは少し異なる錯体や配位子について、わかりやすく説明していく。 まず、金属イオンは、金属イオン自身のまわりに陰イオンや中性分子を方向性をもって規則的に配列させるという性質がある。 ジアンミン銀(I)イオン[H3N-Ag-NH3]+は…

原子間の結合領域と反結合領域と共有結合をわかりやすく解説

有機化合物の骨格となる部分を形成する結合のほとんどが共有結合である。この共有結合は、2つの原子の間で、それぞれの価電子を互いに共有してできた結合である。 この価電子の共有によって結合ができるということについて、もう少し深くわかりやすく考えて…

元素記号と質量数、原子番号(陽子数)の表記の仕方

元素記号と質量数、原子番号(陽子数)の表記の仕方 原子核は陽子と中性子で構成されています。この原子核の中の陽子の数を原子番号、陽子の数と中性子の数の合計を質量数といいます。 また原子は原子番号によって化学的な性質が違うため、原子番号に対応した…

質量数とは

質量数とは 質量数 (mass number) とは一つの原子核を構成する陽子の数Zと中性子の数Nの和(総数)のことです。また質量数に含まれる陽子と中性子を合わせて核子といいます。 一般的には、質量数をAで表すことが多く、関係を式で書くとA=Z+Nとなります。 原子…

電子のスピン磁気モーメントとゼーマン効果

電子のスピン 電子はスピン(自転運動)をしていることによって、磁性が現れる。ここでは、この磁性について考えていく。 電子は自転に対応するスピン角運動量をもつ。ここではプランク定数をで割った量である。は大きさの無次元の角運動量演算子でスピンと呼…

化学で使う質量の単位

質量の単位 化学では物質の質量を表す場合には、"g" (グラム) を使うことが多いです。 実験の試薬の量もgやmgで考える場合が多いです。 一方で、原子や分子レベルではamu (atomic mass unit、原子質量単位)が使われる場合もあります。12C = 12 amuなので、g…

結晶場理論の考え方と電子の高スピン・低スピン配置

結晶場とは 原子中の電子軌道 s軌道 p軌道 d軌道 八面体配位と四面体配位 球の中心に陽イオンがある場合 八面体配位の場合 四面体配位の場合 d軌道への電子配置 結晶場とは 結晶中の原子やイオンの電子にはたらく力の場(特に電場)のことを結晶場という。結晶…

レオロジー・化学レオロジーとは

レオロジー 物質の変形と流動に関する科学をレオロジーという。取り扱う物質は金属、プラスチック、油、ゴム、ガラス、アスファルト、粘土、生体細胞、セルロース、でんぶん、タンパク質などの様々な物質がある。 レオロジーのレオはギリシャ語で流れを意味…

C1化合物とC2化合物

C1化合物 炭素数が1個の化合物の総称である。代表的な化合物としてメタン、一酸化炭素、二酸化炭素、メタノールなどがある。 C2化合物 炭素数が2個の化合物の総称である。具体例としてはエタノールやエチレンなどが挙げられる。

触媒毒:触媒反応を阻害する物質

触媒毒とは 触媒毒は触媒の活性部位に触媒反応の反応分子より強く結合し、微量存在するだけで触媒作用を妨げる物質のことである。 触媒調製用原料や触媒反応原料中に含まれる場合には、あらかじめ触媒毒を除去しておくことが好ましい。また、反応の副生成物…

SMSI効果:水素や一酸化炭素の吸着量の減少

SMSI効果とは SMSI (strong metal support interaction) 効果とは、ある条件を満たした触媒の室温での水素や一酸化炭素 (CO) の吸着量が著しく減少する効果のことである。 このSMSI効果はTiO2、Nb2O5、V2O5、CeO2、ZrO2などの易還元性酸化物担体にPtやPd、Rh…

カール・フィッシャー法:水分定量法

カール・フィッシャー法とは カール・フィッシャー法 (Karl-Fischer method) とは、水分の定量法である。 ヨウ素、二酸化硫黄、ピリジンなどを無水メタノール溶液としたものをカール・フィッシャー試薬といい、このカール・フィッシャー試薬を水分と反応させ…

フィッシャー・トロプシュ反応 (Fischer-Tropsch反応, FT法)

フィッシャー・トロプシュ反応とは フィッシャー・トロプシュ反応 (Fischer-Tropsch反応, FT反応)とは一酸化炭素と水素から炭化水素混合物を得る反応である。 反応式を書くと以下のようになる。 他にフィッシャー・トロプシュ合成 (Fischer-Tropsch合成, FT…

逆水性ガスシフト反応(RWGS反応)

逆水性ガスシフト反応とは 逆水性ガスシフト反応 (reverse water gas shift (RWGS) reaction) とは二酸化炭素(CO2)を水素(H2)と反応させ、一酸化炭素(CO)に変換する反応である。 反応式は以下の通りである。 また単に逆シフト反応といわれることもある。

慣用単位胞:理解しやすい立方体の単位胞

慣用単位胞 体心立方格子や面心立方格子の基本単位胞は、基本並進ベクトルからつくられる平行六面体やウィグナーザイツ胞がある。 しかし、この平行六面体やウィグナーザイツ胞の基本単位胞は、図形として理解のしやすい立体図形ではない。 そこで、基本単位…

分子間力:分子と分子の間に働く力

分子間力 分子と分子の間に働く力を分子間力という。また、原子間やイオン間に働く力であっても、分子間力という場合がある。 分子間力には引力と反発力 (斥力) がある。 引力としては、クーロン力、交換力、水素結合力、電荷移動力、ファンデルワールス力な…

結合分極・部分電荷・極性分子・無極性分子

結合分極・部分電荷 電気陰性度の違う原子が結合した場合、結合電子は電気陰性度の大きい原子のほうに引きつけられる。その結果、電気陰性度の大きい原子は少しマイナスに、電気陰性度の小さい原子は少しプラスに荷電する。この結合した2原子がプラスとマイ…

電極の呼び方(カソード・アノード・陽極・陰極・正極・負極)

電極の呼び方 ここでは、溶液と電極での電気化学反応の場合の電極の呼び方を分類します。 溶液側から電子が流れ込む電極はアノードといいます。 溶液側へ電子が流れる電極はカソードといいます。 電極の呼び方についてまとめると、下の表のようになります。 …

酸化数・酸化数の規則・表記方法

酸化数 酸化数とは、物質中のそれぞれの原子に対する酸化の状態を表す数値である。 酸化数が負の値の場合、中性の原子よりも電子を得ている状態となる。また、酸化数が正の値の場合、中性の原子よりも電子を失っている状態となる。 また、酸化数が増加した原…

【図で解説】イオン化エネルギーと電子親和力の違い

イオン化エネルギー イオン化エネルギーは原子のうちの最外殻 (一番外側) の電子が原子の電子軌道から離れ自由電子になるために必要なエネルギーである。 上の図はイオン化エネルギーを受け取ったときの軌道の様子を表したエネルギー図である。エネルギー図…

3つの中和:酸と塩基・正と負の電荷・毒素と抗体

3つの中和 一般的に異なる性質をもつものが混ざり、互いの性質を消しあうことを中和という。特に化学では、酸と塩基の中和、正の電荷と負の電荷の中和、毒素と抗体の中和という意味で使われることがある。 酸と塩基の中和 酸と塩基が反応し、酸の酸性、塩基…

電子殻:同じ量子数をもつ電子

電子殻とは 電子殻とは、原子を構成する核外電子の中で、同じ量子数をもつ電子の群のことである。 電子殻という考え方は、原子を、卵のように中央の正電荷をもつ原子核(卵の黄身)と、そのまわりに電子の存在する場所が殻のようにある原子模型を考えている。 …

超ウラン元素:自然界に存在しない元素

超ウラン元素 地球上に存在する元素のうち、自然界に存在する元素は、原子番号92のウラン(U)までであるといわれている。 この原子番号92のウランよりも原子番号の大きい元素を超ウラン元素という。原子番号92のウラン以降の元素は、日本で話題になった原子番…

原子番号:原子核中の陽子の数

原子番号とは 原子番号とは原子核中の陽子の数である。 原子は陽子と中性子から構成されている原子核と、その周りに存在する電子によって構成されている。 このうち、陽子の個数が原子番号である。つまり、原子核中の正電荷の数が原子番号であるということも…

内部エネルギー:静止している物質系の全エネルギー

内部エネルギーとは 内部エネルギーとは、系内の分子全体のエネルギーから系全体がもっているポテンシャルエネルギーと系全体がもっている運動エネルギーを除いたエネルギーである。 内部エネルギーは記号ではやで表される場合が多い。 系内にある物質のもつ…

分子式・構造式・構造式の簡略表現

分子式 分子式は分子を構成する原子の種類と個数を表したものである。 水の分子式はH2O、メタンの分子式はCH4である。例えば、H2Oは水素原子2個と酸素原子1個で構成されていることを表す。 構造式 分子を構成する原子の種類と個数が、それぞれどのような順序…

レナードジョーンズポテンシャル:2分子間のポテンシャルエネルギー

レナードジョーンズポテンシャル 孤立した2分子間、もしくは2個の希ガス原子間のポテンシャルエネルギーを表すポテンシャル関数として、レナードジョーンズポテンシャルがある。 は距離にある2分子間のポテンシャルエネルギーを表す。 、は分子や希ガス原子…

σ結合とπ結合とδ結合

共有結合とσ結合・π結合・δ結合 有機物を構成する結合は、ほとんどが共有結合である。共有結合とは、結合する2つの原子が、互いに1つずつ電子を出し、その2つの電子を結合電子雲とする結合である。 簡単にいうと、2つの原子に対して、電子雲がのりとして接着…

共役二重結合:二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系

共役二重結合 2つ以上の二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系を共役二重結合という。 二重結合はσ結合とπ結合から構成されている。しかし、π結合を形成しているπ電子は非局在性 (易動性)をもっており、σ結合のみであった単結合の間でもπ結合を…

酸解離定数KaとpKa・塩基解離定数KbとpKb

酸解離定数KaとpKa 酸の解離反応の平衡定数を酸解離定数という。 弱酸 (HA) の解離を次のように表す。 各濃度をで表すとき、酸解離定数は次の式で求めることができる。 この酸解離定数の値が小さい酸ほど弱酸である。 また酸解離定数の対数にマイナスをつけ…