化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

用語解説

無機化学の反応の種類・化合物の分類・分析手法

化学試薬 化学反応では、他の物質を合成、測定、検出するために使用される物質のことを試薬という。つまり化学では試薬とは、「化学反応を起こさせるために系に加える物質や化合物、もしくは反応が起きているかどうかを確認するために加える物質や化合物」で…

【無機化学】群論と対称操作・対称要素、点群とフローチャートを丁寧にわかりやすく解説

群論と対称操作・対称要素 恒等操作 n回回転 鏡映 (反射) 反転操作 回映 分子の点群 点群を決めるフローチャート C1点群 C∞v点群 D∞h点群 Td点群・Oh点群・Ih点群 群論と対称操作・対称要素 分子の対称性は、分子の物理的性質や光学的性質に影響を与え、反応…

【錯体化学】錯体の配位数・内圏錯体と外圏錯体・結晶溶媒の解説

錯体の配位数 配位子の数は中心金属の配位数という。固体の場合と同じように、化合物によって配位数はさまざまな値をとる。配位数の最大は12である。 錯体の配位数を決定する要素は、主に以下の3つである。 中心原子、中心イオンの大きさ 立体障害:配位子間…

【電気化学】式量電位と電極電位とpH・錯形成の関係の解説

式量電位 標準電極電位()は、標準状態における電位の値である。これは、化学種の活量が1の場合であることを意味している。一方で、半反応の電位は、溶液の条件によって変化する。 例えば の反応の標準電極電位は1.61 Vである。しかしながら、実際には溶液に…

【錯体化学】錯形成反応・生成定数と解離定数の解説

錯形成反応 多くの金属イオンは、さまざまな配位子(錯形成剤)と平衡にある場合、ほとんど解離しない錯体を形成する。この錯形成を上手に利用し、ターゲットではない反応を遮蔽することで、錯体を分析化学に利用することができる。つまり、多くの金属イオン種…

【量子化学】調和振動子と分子振動(波動方程式・分子構造・振動の自由度)

調和振動子 波動方程式を用いる例として有名なものに調和振動子がある。 調和振動子とは、バネを用いる際の実験や計算でよく使われるフックの法則に従って、位置エネルギーが上昇すると平衡点へ戻すような力が働き振動するものである。 化学では、二原子分子…

【熱力学】系に関する用語

熱力学で重要な"系" 熱力学では、系と、その系を決める境界を正しく考えておくことが重用である。 熱力学の系とは、注目する物理空間の任意の3次元領域のことをいう。通常は一度に一つの系だけを考え、これを系と略して呼ぶことが多い。他の部分は系の周囲と…

【電気化学】ネルンストの式・平衡電位・セル電圧の解説

ネルンストの式 電気化学や分析化学において、電極電位を考えることが必要になることが多い。 標準電極電位は酸化体と還元体などの、全ての化学種の活量が1の場合である。標準電極電位は記号はで表されることが多い。 この標準電極電位が決められた後、ネル…

共存イオン効果とイオンの活量・平衡定数・pHの関係

共存イオン効果とは 溶液中に共存するイオンが電解質の解離や、溶解度へ影響を与える効果のことである。 一般的に共存する塩(ただし平衡に関与する共通するイオンは含まない)は、弱電解質の解離や沈殿の溶解度を増加させる。 陽イオンは反対符号である陰イオ…

【分析化学】ケルダール法:タンパク質の定量方法の解説

ケルダール分析とは ケルダール分析 (ケルダール法)は、ドイツの化学者ケルダールが開発した、タンパク質分析の方法の1つである。 ケルダール分析は、タンパク質などの窒素含有化合物に含まれる窒素を正確に分析する方法である。タンパク質中の窒素含有率か…

【分析化学】化学平衡と電解質効果、その性質の解説

モル平衡濃度 化学平衡は、化学平衡の法則や質量作用の法則によって考えていくことができる。さらに、活量でより詳細に考えることができる。 しかしながら、溶質であれば、モル濃度で簡易的に代用することができる。 以下のような化学平衡を考える。 ここで…

【分析化学】過マンガン酸カリウム滴定とCODの測定

過マンガン酸カリウム滴定法 過マンガン酸カリウム滴定法は、頻繁に用いられる滴定法の1つである。 過マンガン酸カリウム滴定法の利点の1つは、終点の検出に指示薬がいらないことである。過マンガン酸カリウム標準溶液は、それ自体がMnO4-の赤紫色をしてお…

【分析化学】分配平衡・分配係数・分配比と抽出

分配平衡・分配係数・分配比 分配について考えるために、物質が溶媒に溶けることについて考える。 塩や極性分子は水によく溶ける。一方で、無極性の有機分子は水に溶けにくい。 反対に、ベンゼンのような無極性の有機溶媒には、塩や極性分子は溶けにくいが、…

【分析化学】錯滴定の原理と最適な試薬の条件

錯滴定の原理 錯生成反応を利用することで、金属イオンを滴定する方法を錯滴定という。 特にキレート試薬を用いるキレート滴定は一般に広く知られており、その中でもエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いるEDTA滴定はよく知られている。 ただし、全ての錯生成…

【有機化学】二分子求核置換反応(SN2反応)

二分子求核置換反応(SN2反応) ハロアルカンの炭素-ハロゲン結合は、炭素原子とハロゲン原子の電気陰性度の差によって、大きく分極している。 炭素原子は正に帯電しているため、孤立電子対をもっている求核剤と反応することで新しい結合が生成する。 ハロゲン…

【放射化学】核反応に関わる粒子の種類・核反応式

核反応に関わる粒子の種類 核反応には多くの粒子が関わります。 最も一般的なものは、図1に示すように、陽子、中性子、アルファ粒子、ベータ粒子、陽電子、ガンマ線です。陽子(、とも表される)と中性子()は原子核の構成要素です。 アルファ粒子(、で表…

【放射化学】概要・原子核結合エネルギー・質量欠損・原子核の安定性の解説

原子核の化学 放射線や核に関する化学は、1896年にフランスの物理学者アントワーヌ・ベクレルが発見した放射能に始まります。その後、20世紀から21世紀にかけてエネルギー、医療、地質など様々な技術の基礎となりました。 原子の原子核は陽子とを除く中性子…

有機金属構造体(MOF)の合成方法の概要

有機金属構造体 MOF (Metal-Oraganic framework) 有機金属構造体(MOF, Metal-Oraganic framework)は、ここ30年ほどの間、材料分野で注目されている材料の1つです。 MOFは分子サイズで見ると、穴(細孔)を有しており、金属と有機配位子の組み合わせによって細…

【物理化学】理想気体の混合の各変化

理想気体の混合の変化 2つの系に入ったmolの気体Aとmolの気体Bの混合を考える。 ここでどちらの系も温度、圧力であるとする。ここでは気体を理想気体とする。 ここでは混合前を、混合後をで表す。 混合前の状態では、それぞれの気体の化学ポテンシャルは以下…

【物理化学】ギブズ-デュエムの式:示強性変数の変化に関する式

ギブズ-デュエムの式(ギブス・デュエムの式) 2成分の混合物のギブズエネルギーは以下の式で与えられる。 この全微分は以下のようになる。 この式を次の多成分系のギブズエネルギーの全微分式と比較する。 このようにして次のギブズ-デュエム式(Gibbs-Duhem式…

【物理化学】化学ポテンシャル(部分モルギブズエネルギー)

化学ポテンシャル(部分モルギブスエネルギー) 部分モル量は、体積以外の示量性の状態量について定義することができる。 溶液を構成する物質については成分の部分モルギブスエネルギーは、その成分の化学ポテンシャルとして以下のように定義することができる…

【物理化学】部分モル体積の求め方の図的方法

部分モル体積の求め方 部分モル体積の求め方として、図的方法といわれるものがある。 ここでは、2成分系の場合について考える。この時、平均モル体積は以下の式で求めることができる。 は全体積である。とは成分AおよびBの物質量 (mol)である。とは成分Aおよ…

【分析化学】難溶性固体の溶解度積と共通イオン効果・異種イオン効果

難溶性の塩と共通イオン効果 難溶性の塩の場合、溶解平衡は以下の式の左側に非常に大きく偏った溶解平衡と考えることができる。 難溶性の塩の溶解度積はとすると、以下のように取り扱うことができる。 溶解度積は、それぞれのイオンの濃度が変化した場合でも…

【電池用語】ハーフセルとフルセル:リチウムイオン電池の用語解説

ハーフセルとフルセル リチウムイオン電池やポスト・リチウムイオン電池の研究開発において、ハーフセルとフルセルが使われる。 ハーフセルは正極や負極にLiなどを用いたセル(電池)である。 フルセルは正極と負極の両方に通常の電極材料が用いられているセル…

【物理化学】ギブズの相律と自由度・ギブズの相律の導出

自由度 物理化学や熱力学において、系の状態は温度、圧力、モル分率などの組成などの示強性変数によって決定される。こういった変数の中で、系の状態を決定するために自由に(独立に)定めることのできる示強性変数の数を自由度という。 ギブズの相律の導出 こ…

【分析化学】緩衝液と緩衝作用・緩衝液のpHの一般式

緩衝液と緩衝作用 溶液に酸や塩基を加えたり、溶液を薄めても、pHが大きく変化しない溶液を緩衝液という。 そして緩衝液によるpHを一定に保つはたらきのことを緩衝作用という。 緩衝液は弱酸とその共役塩基、もしくは弱塩基とその共役酸の混合溶液である。 …

【分析化学】電解質の溶解の水の比誘電率とイオンの水和の影響

水が電解質を溶かす理由 水が電解質を溶かす理由については、未解明な点もあるが、水の大きな誘電率とイオンの水和が主な要因であると考えられている。 比誘電率の効果 距離((m))離れた電荷、と(C)の間に働く力(N)はクーロンの法則で考えることができる。 は…

セリワノフ反応(アルドースとケトースの識別テスト)と反応機構について

セリワノフ反応 セリワノフ反応 (Seliwanoff's test or Seliwanoff's reaction) はケトースとアルドースを識別する呈色反応である。 セリワノフはロシアの化学者 Feodor Feodorovich Selivanovに由来している。 糖のうち、ケトン基を含む糖はケトースであり…

【分析化学】測容ガラス器具(メスフラスコ・ホールピペット・ビュレット)

試薬を実験に用いる際や、未知試料の分析を行う際には、正確な濃度の測定が重要となる。この決まった濃度の溶液を調製するために、欠かせないものが測容ガラス器具である。ここでは、精密な測容器であるメスフラスコ、ホールピペット、ビュレットについて解…

【量子化学基礎】エネルギー遷移とボーアの振動数条件

基底状態と励起状態 水素原子のスペクトルを観測すると、飛び飛びの波長のスペクトル線が観測される。これは、原子のエネルギー準位によって考えることができる。 エネルギー準位のうち、量子数の状態はエネルギーが最低の状態である。これを基底状態という…