化学徒の備忘録

化学系の用語や論文、動画などをわかりやすく紹介していきます

用語解説

分子式・構造式・構造式の簡略表現

分子式 分子式は分子を構成する原子の種類と個数を表したものである。 水の分子式はH2O、メタンの分子式はCH4である。例えば、H2Oは水素原子2個と酸素原子1個で構成されていることを表す。 構造式 分子を構成する原子の種類と個数が、それぞれどのような順序…

レナードジョーンズポテンシャル:2分子間のポテンシャルエネルギー

レナードジョーンズポテンシャル 孤立した2分子間、もしくは2個の希ガス原子間のポテンシャルエネルギーを表すポテンシャル関数として、レナードジョーンズポテンシャルがある。 は距離にある2分子間のポテンシャルエネルギーを表す。 、は分子や希ガス原子…

σ結合とπ結合とδ結合

共有結合とσ結合・π結合・δ結合 有機物を構成する結合は、ほとんどが共有結合である。共有結合とは、結合する2つの原子が、互いに1つずつ電子を出し、その2つの電子を結合電子雲とする結合である。 簡単にいうと、2つの原子に対して、電子雲がのりとして接着…

共役二重結合:二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系

共役二重結合 2つ以上の二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系を共役二重結合という。 二重結合はσ結合とπ結合から構成されている。しかし、π結合を形成しているπ電子は非局在性 (易動性)をもっており、σ結合のみであった単結合の間でもπ結合を…

酸解離定数KaとpKa・塩基解離定数KbとpKb

酸解離定数KaとpKa 酸の解離反応の平衡定数を酸解離定数という。 弱酸 (HA) の解離を次のように表す。 各濃度をで表すとき、酸解離定数は次の式で求めることができる。 この酸解離定数の値が小さい酸ほど弱酸である。 また酸解離定数の対数にマイナスをつけ…

有機物の単結合・二重結合・三重結合と結合の強さ・結合距離

有機物の共有結合 単結合 二重結合 三重結合 単結合、二重結合、三重結合と結合の強さ 単結合、二重結合、三重結合と結合距離 有機物の共有結合 有機物を構成する結合は、ほとんどが共有結合である。 共有結合とは、結合する2つの原子が、互いに1つずつ電子…

実格子空間と逆格子空間

実格子空間と逆格子空間 実際の位置ベクトルを座標とする空間を実空間という。特に、結晶のような周期的な繰り返しがある実空間を実格子空間という。 これに対して波数ベクトルを座標とし、実格子空間の周期性が反映された空間を逆格子空間という。また、単…

逆格子・逆格子の基本ベクトルの定義と関係

逆格子 結晶の実空間の空間格子と正規直交の関係にある別の格子を逆格子という。 逆格子ベクトルは結晶の格子面に垂直な方向をもち、その面間隔の逆数の大きさをもつベクトルである。 実空間の基本ベクトルを、、とするとき、逆格子の基本ベクトル、、との間…

ヤーン・テラー効果とレナー・テラー効果

ヤーン・テラー効果 (Jahn-Teller effect) ヤーン・テラー効果 (ヤーンテラー効果、Jahn-Teller effect) とは、非直線性多原子分子や固体内の原子団において、原子配列が正多角形や正多面体などの高い対象性をもつ場合に、電子状態が縮退することがあるが、…

アンダーソン局在とアンダーソン転移

アンダーソン局在 結晶内のような周期的なポテンシャル中を運動する電子は結晶全体に広がって運動し、電子の波動関数は全空間に広がったブロッホ波になる。 しかし、不純物などによって結晶の周期性が乱れ、ポテンシャルの不規則性が高くなると、散乱された…

光電効果・内部光電効果と外部光電効果

光電効果 光電効果とは、物質に光が当たったときに、光のエネルギーが消費され、電子が放出される現象である。このとき、物質の外部に飛び出した電子は光電子といわれる。また、気体の原子や分子などから光電子が放出されイオンになる過程を光イオン化という…

ディラック粒子:ディラック方程式に従うスピン1/2のフェルミ粒子

ディラック粒子 ディラック方程式に従う粒子をディラック粒子という。 スピンのフェルミ粒子を指す。電子、粒子、粒子、陽子、中性子などがディラック粒子である。 特殊な条件では、ディラック粒子は物質中で形式的に質量が0の粒子として振る舞う。

量子ホール効果:ホール伝導度が離散的な値をとる現象

量子ホール効果 半導体と絶縁体の界面や半導体のヘテロ接合面などの二次元内の電子に対して、数K以下の極低温下で、数テスラ程度の強力な磁場をかけると、ホール伝導度がとびとびの離散的な値をとる現象を量子ホール効果 (Quantum Hall Effect, QHE)という。…

ホール効果とホール係数 (ホール定数)

ホール効果 電流の流れている物質に磁束密度の磁場中においたとき、荷電粒子がローレンツ力を受けることで、電流と磁束密度のどちらにも直交する方向に電場が生じる効果をホール効果という。 生じる電場は、金属片の磁場方向の厚さをとすると、ホール係数を…

波動関数と期待値・固有値・固有関数・固有方程式

波動関数と期待値 波動関数が規格化されている場合、次のように波動関数の二乗を全空間において積分したものは1となる。 このとき、をの複素共役とすると、演算子の期待値は次のように求めることができる。 固有値・固有関数・固有方程式 演算子を波動関数に…

ブラベ格子

ブラベ格子 3次元空間格子は対称性などによって、14種類に分類できることが知られている。この14種類の3次元空間格子を3次元ブラベ格子 (Bravais lattice)という。 このブラベ格子は平行六面体の単位格子からなる結晶格子について、その特徴や対称性から、格…

デュエット則とオクテット則

デュエット則とオクテット則 原子は正電荷をもつ原子核が中心にあり、その周りを負電荷をもつ電子が軌道を形成し取り囲んでいる。 また、原子に含まれる電子の中で最も外側の軌道に入っている電子を価電子、もしくは最外殻電子という。 内側の1s軌道 (K殻) …

仕事関数:電子を固体から外部へ取り出すために必要な最小のエネルギー

仕事関数とは 仕事関数 (work function) とは、1個の電子を金属や半導体のような固体の表面から外部へ取り出すために必要な最小のエネルギーのことである。 この電子を取り除くエネルギーは一般的に金属のような固体の場合に仕事関数といわれ、孤立原子や分…

ランタノイドとランタノイド収縮

ランタノイド (ランタニド) 57番元素のランタン(La)から71番元素のルテチウム(Lu)までの15の元素をランタノイドもしくはランタノイド元素という。また、ランタニドという場合もある。 具体的にはランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジ…

粒子のシュレーディンガーの波動方程式の導出

粒子のシュレーディンガーの波動方程式の導出 物質の波動を記述する波動方程式がシュレーディンガー方程式 (シュレディンガー方程式)である。 量子力学的な粒子の波動方程式としてのシュレーディンガー方程式を導出する。 まず、波動は場所と時間の関数で表…

ド・ブロイの関係式:物質波を表す式

物質波とド・ブロイの関係式 量子力学や量子化学では物質波という”物質は粒子である”とともに”物質は波である”という二重性が重要となる。 この物質の粒子と波の二重性を表す式が、粒子として見たときの運動量ベクトルを、波として見たときの波数ベクトルを…

ハルコン法

ハルコン法 ハルコン法 (Halcon process) は、酸化プロペンおよびスチレンの合成方法である。 ハルコン法にもいくつか種類があるが、代表的なハルコン法は、エチルベンゼンとプロペンからスチレンと酸化プロペンを合成する方式であり、スチレンと酸化プロペ…

パルス法・パルス吸着法

パルス法 パルス法は、試料に気体分子をパルス状 (断続的) に導入し、導入した気体の量と排出された気体の量の差から 、試料の金属量や活性点量を測定する方法である。 パルス法は気体分子の吸着を利用する方法と触媒反応を利用する方法がある。 パルス吸着…

ラマン分光分析法とラマン散乱現象

ラマン分光分析法 ラマン分光分析法は分子振動に由来するラマン散乱スペクトルを測定する分析方法である。 分子振動による散乱スペクトルを測定するため、赤外吸収法と類似した測定方法である。 レーザー光を試料の局所部分に照射し、散乱ラマン線を測定する…

結晶の格子と基本単位格子・基本並進ベクトル・並進対称性

格子と基本単位格子とは 結晶を原子や分子の配列の繰り返しと考えることができる。これは具体的には、原子や分子の配列のうち1つの区間を考え、その区間の繰り返しによって結晶が構成されていると考えている。この1つの区間である単位構造が繰り返し配列され…

ウィグナー・ザイツセルとブリルアンゾーン

ウィグナー・ザイツセル ウィグナー・ザイツセル (Wigner-Seitz cell) とは、格子の格子点同士を結ぶ線分を垂直に二等分する面で囲まれた領域のことである。 結晶格子のウィグナー・ザイツセルは基本単位格子である。 ブリルアンゾーン 逆格子空間におけるウ…

原子によるX線の散乱と原子散乱因子

原子によるX線の散乱 原子は正の電荷をもつ原子核と、負の電荷をもつ電子から構成されている。 一方でX線は電磁波であるため、振動する電場をもつ。そのため、原子にX線を照射するとX線の振動する電場が荷電粒子を振動させる。この振動された荷電粒子が波源…

固有X線のKα1線とKα2線 

L殻の電子がK殻に移動する際に発生する固有X線がKα線である。 このKα線にはKα1線とKα2線がある。 まず、L殻には2s軌道のL1準位、2p1/2軌道のL2準位、二重に縮退した2p3/2軌道のL3準位が存在する。 このうち、L1準位からK準位への電子の遷移は禁制遷移である…

X線回折法(XRD法)

X線回折法 (XRD法) X線回折法 (X-ray diffraction法、XRD法) とは結晶や粉末にX線を照射し、そこで起きるX線の回折像やパターンを解析することで、結晶の原子の配列や分子の構造を調べる方法である。 結晶や分子にX線を照射すると、X線は結晶を構成する原子…

連続X線・白色X線と単色化の原理とシリコン結晶の関係

連続X線・白色X線 電磁波のうち、波長が0.01 nm~数十nmの電磁波をX線という。 X線の中でも、制動放射やシンクロトロン放射によって発生する連続スペクトルを示し、光のような広帯域のX線を連続X線もしくは白色X線という。そして、この白色X線から特定の波長…