化学徒の備忘録

化学系の用語や論文をわかりやすく紹介していきます

分子の基底状態・励起状態と光の吸収

基底状態と励起状態 分子は通常、最も安定な電子配置の状態で存在する。この状態はエネルギー的には最も低い状態であり、この状態を分子の基底状態という。 基底状態にある分子が光エネルギーを吸収すると、高いエネルギー状態である励起状態となる。この基…

光(電磁波)のエネルギーと波長の関係

光(電磁波)のエネルギーと波長の関係 光(電磁波)のエネルギーと波長の間には次の関係があることが知られている。 ここでは、光(電磁波)のエネルギーを、プランク定数を、振動数を、波長を、光の速さをとしている。 上の式から次のことがわかる。 ・波長が大…

光ルミネッセンスや様々なルミネッセンスの分類

光ルミネッセンス(光ルミネセンス)とは 物質にはエネルギーを吸収した後に、熱エネルギーとしてエネルギーを放出せずに、光を発するものがある。 このとき起こる発光現象をルミネッセンス(ルミネセンス, luminescence)という。このルミネッセンスは、物質に…

ミラー指数・面指数(面を示すミラー指数・4つの整数のミラー指数と方位を示すミラー指数)

ミラー指数 結晶の性質は結晶の方位や面によって異なることがある。そのため、結晶の方位や面について議論をすることも多い。このときに、結晶の方位や面を指定するために、ミラー指数というものが用いられる。このミラー指数は鉱物学者のW・H・ミラーが結晶…

パウリの排他原理とは

パウリの排他原理 パウリの排他原理とは、1つの原子内では、2個以上の電子が量子数で表されるエネルギーやスピンなどが同じ状態を同時にとることはないという原理のことである。 パウリの排他原理以外にパウリの原理やパウリの禁制則、パウリの禁制原理、パ…

DNAの糖・リン酸・塩基の構成と構造

DNAとは DNAとは、デオキシリボ核酸の通称であり、2-デオキシリボヌクレオチドが3'-5'間のリン酸ジエステル結合で直鎖状に重合した高分子化合物である。 DNAの構成 このDNAの構成単位はヌクレオチドである。このヌクレオチドは糖、塩基、リン酸の3成分が結合…

結合エネルギー・凝集エネルギー・格子エネルギーとは

結合エネルギー・凝集エネルギーとは 原子やイオンは凝集せずにちりぢりで存在している状態よりも、互いに近くに集まった状態でいる方がエネルギー的に安定である。そのため、原子同士が結合して、分子や結晶を形成している。 この原子やイオンがちりぢりで…

メッセンジャーRNA(mRNA)とmRNAの構造

メッセンジャーRNA (mRNA)・伝令RNAとは RNAとはリボースを糖成分とする核酸である。このRNAの機能によってメッセンジャーRNAや運搬RNA、リボゾームRNAなどの分類がされている。 メッセンジャーRNAとは、RNAポリメラーゼによってDNAから転写されたRNAである…

シャルガフの法則:DNAの塩基の残基数の経験則

シャルガフの法則 (Chargaff's rule) シャルガフの法則とは、DNA中ではプリン塩基のアデニン (A) とチミン (T)の残基数は等しく、ピリミジン塩基のグアニン (G)とシトシン (C)の残基数も等しいという法則である。 それぞれの塩基に対応するアルファベットか…

ランベルト・ベールの法則:ランベルトの法則とベールの法則について

ランベルト・ベールの法則について ランベルト・ベールの法則はランベルトの法則とベールの法則を組み合わせた法則である。 ランベルトの法則 光が媒質中を通過する時に、光の透過強度と光の入射強度を比較すると、光の透過強度が物質の厚さと吸収係数に対し…

グラフィカルアブストラクト・TOCとは

グラフィカルアブストラクト・TOCとは グラフィカルアブストラクト (graphical abstract) とは、主に論文の研究成果や注目してもらいたいポイント、要点などを一枚の図にまとめたものになります。 また、table of contents, TOCは目次という意味がありますが…

タンパク質の一次構造・二次構造(α-ヘリックス・β-シート)・三次構造・四次構造

タンパク質の構造 タンパク質の構造は一次構造と高次構造に分けられる。高次構造はさらに二次構造、三次構造、四次構造に細分される。 タンパク質の一次構造 タンパク質の一次構造とは、タンパク質のアミノ酸配列順序のことである。 このタンパク質の一次構…

赤外活性とラマン活性・交互禁制則と判断の基準

赤外分光法とラマン分光法 分子の結合は熱運動をしており、その熱運動は伸び縮みをする伸縮運動や折れ曲がりをする変角運動などがある。この熱運動のエネルギー準位は量子化されている。この分子の振動運動のエネルギー準位間の遷移を測定する方法が振動分光…

"モル質量"と"原子量・分子量"の違い

モル質量とは モル質量とは、ある物質1 molがもつ質量となります。そのためモル質量の単位はSI単位系では kg/molとなります。 ある物質の構成元素の同位体組成が天然組成であり、モル質量を単位をg/molで表すと、数値的にはその物質の原子量もしくは分子量と…

タンパク質の一次構造の決定方法

タンパク質の一次構造の決定法 タンパク質の構造は一次構造と高次構造に分けられる。高次構造はさらに二次構造、三次構造、四次構造に細分される。 タンパク質は複数のアミノ酸がペプチド結合で繋がり構成されている。タンパク質の一次構造とは、タンパク質…

テルミット反応と反応式・テルミット法について

テルミットとは 酸化鉄粉 (Fe2O3) とアルミニウム粉 (Al) の当量混合物のことをテルミット (Thermit) といいます。 テルミットは、点火するとアルミニウムが酸化されて高熱を発生し3000℃以上の高温となり、還元されて生じる金属の鉄が融解した状態で得られま…

核オーバーハウザー効果:NOEと正のNOE・負のNOE

核オーバーハウザー効果:NOEとは 核オーバーハウザー効果 (nuclear Overhauser effect, NOE) とは、二つの核が空間的に近い位置にあり、双極子相互作用が強い場合、一つの核の共鳴シグナルを飽和させたとき、他の共鳴シグナルの強度が増加や減少のように変…

放射光・シンクロトロン放射光と挿入光源(ウィグラー・アンジュレーター)

放射光とは 放射光とは、光速近くまで加速された非常に高いエネルギーをもった電子の軌道を電磁石によって曲げた際に、軌道の接線方向に放射される電磁波のことである。この電磁波は電子シンクロトロンで初めて観測されたため、シンクロトロン放射光ともよば…

合金触媒のリガンド効果とアンサンブル効果

単一の金属を担体に乗せた金属/担体触媒では、触媒性能を追求しても限界に達する場合が多い。そこで、金属を単一の金属から複数の金属の合金にすることで触媒性能を向上しようとする方法がある。 このような合金触媒作用に対する金属原子間の複合効果を説明…

光学顕微鏡・分解能と顕微鏡の種類(一般顕微鏡・実体顕微鏡・蛍光顕微鏡・偏光顕微鏡)

光学顕微鏡とは 人間が見ることのできる光は可視光といわれ、その波長は380 nm~780 nmの範囲である。光源としてこの可視光を用いる顕微鏡を光学顕微鏡という。 また、人が識別可能な二点間の最小距離は75 μm程度といわれる。これは髪の毛の太さ程度であり、…

モール法(Mohr法):塩化物イオンの定量法について

塩化物イオン測定法 例えば、水道水は塩素殺菌されている場合が多い。こういった水道水は多くの塩化物イオンを含むことがある。 このような溶液に含まれる塩化物イオンを測定する方法として、塩化物イオンが銀イオンと難溶性の沈殿を生成することを利用する…

タンパク質のN末端アミノ酸決定法 (サンガー法・ダンシル法・エドマン法)

タンパク質のN末端アミノ酸決定法 タンパク質のN末端アミノ酸を決定する方法として、サンガー (Sanger) 法、ダンシル (Dansyl) 法、エドマン (Edman) 法がある。 歴史的には、サンガー法、ダンシル法、エドマン法の順に改良されてきた。 サンガー法 (Sanger…

変旋光とD-グルコースの旋光度変化について

変旋光とは 旋光性物質の溶液の旋光度が時間とともに変化する現象を変旋光という。 糖類やオキシ酸などの溶液は、放置したり、煮沸や酸、塩基を加えると、時間とともに旋光度が変化し、その後平衡に達する。 変旋光の原因は異性化であり、旋光度が時間ととも…

生元素(主要生元素・準主要生元素・微量生元素)の解説

生元素とは 生元素、生体元素とは、生物の生命維持に必須な元素のことである。また、地球表面で生物圏に集まったと考えられる元素は親生元素ということもある。 生元素はさらに、主要生元素、準主要生元素、微量生元素の3種類に分類される。 また主要生元素…

フロイントリッヒ (Freundlich) の吸着等温式の解説

Freundlich式について Freundlich式 (Freundlichの吸着等温式、フロイントリッヒの吸着等温式) は吸着平衡を表す経験式の一つである。 吸着剤重量あたりの平衡吸着量を、吸着物質の流体相における濃度もしくは分圧をとすると、温度一定の条件で、次の関係で…

ガスクロマトグラフィー (GC)とカラム・検出器 (TCD・FID・FPD・ECD) について

ガスクロマトグラフィーとは 移動相に気体 (キャリアーガス) を用いるカラムクロマトグラフィーをガスクロマトグラフィー (GC) という。 ガスクロマトグラフィーは、一定流量のキャリアーガス流中に試料を注入し、注入された試料成分は気化してカラムに運ば…

Rf値・移動率・移動比・移動度の解説

Rf値・移動率・移動比・移動度とは Rf値とは、薄層クロマトグラフィー (TLC) やペーパークロマトグラフィーなどの平面クロマトグラフィーで、試料が展開液によって固定相内で移動する割合のことです。 Rf値は移動率や移動比、移動度ともいいます。この、Rf値…

電気泳動の原理と分類(ゾーン電気泳動・キャピラリー電気泳動など)

電気泳動と原理 水溶液に電流を流すときに荷電粒子やイオンが電場の勾配に従って動く現象のことを電気泳動という。 電気泳動では、荷電が大きいと、粒子に働く力も大きくなるため、その移動速度は大きくなる。一方で、荷電粒子やイオンの大きさ(分子量)が大…

氷水は単体?混合物?純物質?化合物?のどれ?

氷水を考えよう 固体の氷と液体の水が混ざっている氷水を考えます。水が0 ℃のときにはこういう状態になることがありますね。 この氷水は、単体、混合物、純物質、化合物のどれに当てはまるでしょうか? さて、まずは単体、混合物、純物質、化合物の定義を確…

ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の方法・仕組み

SDS-PAGEとは ゲル電気泳動法のなかでも、タンパク質やペプチドの分析、分取に利用される方法がドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) である。 ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) が用いられる理由 タンパク質やペプチドの荷電の状…