化学徒の備忘録

化学系の用語や論文をわかりやすく紹介していきます

ダニエル電池・多孔質隔膜(素焼き板)・反応の解説

ダニエル電池 硫酸銅などの銅の塩を含む水溶液に銅電極、硫酸亜鉛などの亜鉛の塩を含む水溶液に亜鉛電極を浸した二液式の電池である。 また、多孔質隔膜によって、両方のイオン伝導体を隔てている。この多孔質隔膜としては、素焼き板などの多孔性磁器、半透…

波動関数・波動関数の性質・満たす条件の解説

波動関数とは 電子や原子、分子、分子集団、結晶などの状態を量子力学的に解く場合、シュレーディンガーの波動方程式を考える。 波動関数は、このシュレーディンガーの波動方程式の解である。 一般的に、波動関数はで表される。 波動関数は、実験からその値…

クロマトグラフィーとその分類の解説

クロマトグラフィー クロマトグラフィーとは、大きな表面積をもつ固定相(stationary phase)と、この固定相に接して流れる移動相(mobile phase)との間に、混合物を分布させ、この固定相と移動相の二層間の分析対象物質の相互作用の差を利用して、各成分を分離…

有効数字の解説

有効数字について 実験における有効数字とは、計測値で意味のある桁数までの数値のことである。つまり有効数字は誤差を含む位より上の位にある有意義な数字である。 例えば、計測値が12.3 gであるとき、有効数字は3桁である。 しかしながら、計測器に目盛り…

電池式の書き方の解説

電池式の書き方 電池式とは、電池の構造を表した式である。電池図ということもある。 左側に負極、中央に電解液、右側に正極を書き、その間を|で隔て、一番左に(-)、一番右に(+)を書く。 正極と負極の活物質は、電極を書く場合も、電解液中の物質を書く場合…

ペロブスカイト型構造・有機無機ハイブリッドペロブスカイトの解説

ペロブスカイト型構造 ペロブスカイト型構造は、ABX3(A = Ca, Ba, Sr, Pbなど、B = Ti, Zr, Sn, Hfなど、X = Oなど)で表される立方晶系の結晶構造である。 灰チタン石 CaTiO3 (ペロブスカイト, perovskite)にちなんで命名された結晶構造である。 特に酸化物…

シュレーディンガーの波動方程式 (シュレーディンガー方程式) の解説

シュレーディンガーの波動方程式・シュレーディンガー方程式 電子は粒子としての性質と波としての性質をもっている。 そのため、シュレーディンガーは電子の運動に対して、波の運動を表す式を適用した。 このシュレーディンガーが導出した方程式は、シュレー…

一次元の箱の中の粒子 (井戸型ポテンシャル) の固有関数とエネルギーの導出

一次元の箱の中の粒子の固有関数とエネルギー 厳密にシュレーディンガー方程式を解くことができる例として、一次元の箱の中の粒子に対する問題がある。 この一次元の箱の中の粒子のモデルは、鎖状ポリエンに対する定性的なモデルとして用いることができる。 …

含浸法と吸着法・ポアフィリング法・蒸発乾固法・単純湿潤法・スプレー法の解説

含浸法 金属粒子を触媒として用いる場合、酸化ケイ素 (シリカ) や、酸化アルミニウム (アルミナ) などの耐熱性を有する酸化物粒子上に金属粒子が分散したものが用いられる。 このとき使用される 酸化物粒子のことを担体という。この担体の役割は、金属粒子の…

中性子回折・中性子回折とX線回折の違いの解説

中性子回折 結晶構造を決定するような結晶学的な研究において中性子回折を利用する場合がある。 ド・ブロイの関係は、ビーム状に運動する粒子が波の性質をもつことを示しており、次の式で表される。 ここで、は物質波の波長、は粒子の運動量であり、質量×速…

ボルタ電池の電極・反応・起電力の解説

ボルタ電池 銅 (Cu) と亜鉛 (Zn) を電極として、希硫酸に浸したときに成り立つ電池がボルタ電池として知られている。銅が正極、亜鉛が負極となる。 これは、1800年頃にボルタが考案したため、ボルタ電池といわれている。また、ボルタ電池は、一定の電流を取…

単純立方格子 (sc) の逆格子点の導出

単純立方格子 (sc) の基本並進ベクトル 方向の大きさが1の単位ベクトルをとする。 単純立方格子の格子の1辺の長さをとすると、基本並進ベクトルは次のように表される。 よって、外積を計算すると、次のようになる。 また、体積を計算すると、次のようになる…

面心立方格子 (fcc) の逆格子点の導出

面心立方格子 (fcc) の基本並進ベクトル 方向の大きさが1の単位ベクトルをとする。 面心立方格子の格子の1辺の長さをとすると、基本並進ベクトルは次のように表される。 よって、外積を計算すると、次のようになる。 また、体積を計算すると、次のようになる…

ブラウン運動・ミクロブラウン運動・マクロブラウン運動とは

ブラウン運動とは ブラウン運動 (Brownian movement, Brownian motion) とは、非常に小さい物体が、分子の熱運動によって、不規則に動く運動のことである。 例えば、溶液中のコロイド粒子のブラウン運動は、溶媒の分子の熱運動によって、コロイド粒子がラン…

NMRの温度可変測定について

NMRの温度可変測定 核磁気共鳴 (NMR) 測定の際に、サンプルの温度を変化させて測定が行われることがある。これを温度可変測定ということがある。 NMR測定にて、試料の温度を変化させる測定は錯体構造や立体配座の決定、熱力学定数の測定などで利用される。 …

NMRのシフト試薬・常磁性添加試薬とは

シフト試薬・常磁性添加試薬 核磁気共鳴 (NMR) 測定では、試料中に常磁性物質が混入すると、シグナルの幅が広くなったり、化学シフトが大きく動いたりする。 これを利用し、化学シフトを大きく動かすことで重なったシグナルの分離を行うことができ、スペクト…

NMRの縦緩和・横緩和・緩和時間について

NMRの緩和について 核磁気共鳴での緩和について、同時に起こる独立した2つの過程が存在すると考えることができる。 まず、緩和についてエネルギー的に考えると、磁石の中に置かれ、核磁気共鳴現象が起こっていない状態では、ボルツマン分布に従って、核スピ…

NMRの化学シフト(ケミカルシフト)・基準物質・電子密度・磁気遮蔽・寄与する効果

化学シフト (ケミカルシフト) とは NMRスペクトルの横軸 化学シフトの範囲 化学シフトの基準物質 化学シフトと電子密度・磁気遮蔽 化学シフトへの効果 隣接官能基による磁気異方性効果 電子軌道の混成の影響 置換基効果 立体的効果 (van der Waals効果) 共役…

NMR(核磁気共鳴)現象の基本的な原理の解説

核磁気共鳴現象の基本原理 核磁気モーメントについて 原子核が核スピン量子数をもつとき、磁気モーメントが現れる。この原子核がもつ磁気モーメントを核磁気モーメントという。 磁場中に置かれた大きさの核磁気モーメントのエネルギーは、次の式で表される。…

NMRで観測ができる核・できない核・難しい核

NMRで観測できる核と観測できない核 NMRは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance) の略である。NMR法はとくに、有機化学の分野で、有機化合物の分子構造の解析に使用されている。 しかし、すべての原子の核が核磁気共鳴現象を起こすわけではない。そのため…

NMR装置の構成の簡単な説明

現在使用されている大半のNMR装置は、パルスFT-NMRといわれる種類の装置である。 このパルスFT-NMR装置は大きく分けると、磁石、分光計、コンピューターで構成されている。 磁石 使用されている大半の磁石は、超伝導磁石である。旧型の装置や小型の装置では…

NMR測定の欠点について

NMR測定の欠点について NMR (核磁気共鳴) 測定は、特に有機化合物の分子構造の解析で非常に有用な測定方法として使用されてきた。 しかしながら、NMR測定も万能ではなく、いくつか劣っている点も存在する。 感度が低い NMR法は、他のクロマトグラフィーや、…

NMR(核磁気共鳴)と化学シフト・スピン-スピン結合・緩和の簡単な解説

NMRについて NMRは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance) の略である。NMR法はとくに、有機化学の分野で、有機化合物の分子構造の解析に使用されている。 NMR法は、簡単にいうと核スピンのエネルギー吸収・放出現象を観察している。 核磁気共鳴現象を利用…

導体・電子伝導体・イオン伝導体・混合伝導体について

導体と不導体 物質は電気を通すかどうかで、大きく2つに分けることができる。電気を通す物質は導体 (conductor) といわれる。また電気を通さない物質は不導体 (insulator) といわれる。 導体と不動態は気体、固体、液体などの物質の物理的な状態とは関係がな…

一次電池・二次電池・燃料電池について

電池について 化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電力源として、電池 (battery) と燃料電池 (fuel cell) がある。 電池は一般的に電極活物質などすべてが電池内部に収納されている。一方で、燃料電池は燃料電池の外部から反応物質が供給される仕組み…

気体の状態方程式の解説【ファンデルワールスの状態方程式・ビリアルの状態方程式など】

状態方程式とは 状態方程式とは、熱平衡状態にある物質系の圧力、温度、体積の3つを変数の間に成立する関係式であり、その物体の状態を表す。状態式ともいう。 そのため状態方程式は、気体、液体、固体のそれぞれについて考えることができる。 しかし多くの…

理想気体の状態方程式と導出

理想気体の状態方程式 理想気体の状態方程式は次のように表される。 ここで、は理想気体の圧力、は理想気体の体積、は理想気体のモル数、は気体定数、は理想気体の絶対温度である。 この状態方程式は、厳密には、理想気体のみでしか成立しないため、実在気体…

分子機械 (分子マシン) ・ナノカー・ナノ電車について

分子機械・分子マシンとは 分子機械 (molecular machine) とは、並進や回転などの制御された機械的な動作をする分子や分子集合体のことである。分子マシンということもある。 分子のスケールやナノスケールであることが一つの特徴であり、大きさがナノメート…

王水と逆王水について

王水とは 王水 (aqua regia) とは容積比で濃硝酸1と濃塩酸3の混合物の通称である。"いっしょうさんえん"などの語呂合わせで覚えている人も多いだろう。硝酸の塩酸の混合物の総称を王水といっている場合もある。他に希釈した王水のことを希王水ともいう。 希…

ボイル・シャルルの法則と導出の解説

ボイル・シャルルの法則とは ボイルの法則とシャルルの法則(ゲイリュサックの法則)を組み合わせた法則のことをボイル・シャルルの法則という。ボイルシャルルの法則と表記する場合もある。 気体の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例するという法則である…