化学徒の備忘録

化学系の用語や記事や論文をわかりやすく紹介します

合金と置換型固溶体・侵入型固溶体・金属間化合物について

合金について 合金(alloy)とは、異なる金属元素が混じり合った物質である。溶けた金属を混ぜ合わせてから冷却してできる固体であり、金属の性質を示す。一般的に合金は電気陰性度が同程度である電気的に陽性の2種類の金属から生成することが多い。 合金は一…

ロンドン方程式の古典電磁気学からの導出

ロンドン方程式の古典電磁気学からの導出 ロンドン方程式を古典電磁気学から導出する。 電気抵抗をもつ普通の導体では、電場を印加した場合の電流密度は電気抵抗をとすると次のようになる。 超伝導体の場合、電気抵抗は0であるため、電気素量を、電子の質量…

超伝導体のマイスナー効果とゼロ磁場冷却・磁場中冷却

マイスナー効果について 1933年にマイスナー(Meissner)とオクセンフェルト(Ochsenfeld)は転移温度以下の磁場中ある超伝導体周辺の磁束分布を測定し、超伝導体内の磁束密度が常に0であることを発見した。超伝導体では、外部磁場が存在している環境でも、磁束…

超伝導体の性質と臨界磁場について

超伝導体と臨界磁場について 超伝導状態が実現するためには、温度が転移温度以下である必要があるが、外部磁場にも条件がある。 超伝導体に外部磁場をかける場合を考える。 超伝導体にかける外部磁場を強くしていくと、ある臨界値以上では超伝導状態が破壊さ…

Fermi-Dirac分布関数の導出

Fermi-Dirac分布関数を導出する。 とり得るエネルギーはであるとする。 各エネルギー準位に個の縮退した状態があり、そこに個の粒子が配置されるとする。ただし、とする。 そこでエネルギー準位の個に縮退した状態に、個の粒子を配置する場合の数を考えると…

Langmuirの吸着等温式の導出

Langmuirの吸着等温式の導出 Langmuirの吸着等温式(Langmuir式、ラングミュアの吸着等温式)は吸着等温式の中でも古いものの一つである。 このLangmuir式の導出は、次の仮定からはじまる。 固体面に吸着席があり、そこには一つの分子(原子)のみが吸着する。ま…

自然素材系塗料と樹脂系塗料について

塗料について 塗料は素地となる材料の表面に塗ると、乾燥し表面に固着して皮膜を作る。 そのため塗料は材料の保護や着色、光沢などの美観、防火などの機能の付与などの目的で使用される。 塗料は原料によって、自然素材系塗料と樹脂系塗料に大きく分類するこ…

吸着等温線と各タイプの特徴について

吸着等温線・吸脱着等温線について 単位量の吸着媒あたりの吸着量()を温度()一定の条件下で圧力()の関数として測定し、吸着量()と相対圧()の関係を表した曲線を吸着等温線とよぶ。ここで、は気体の温度での飽和蒸気圧である。 IUPACでは下に示すI~VIまでの6…

核反応の機構、複合核モデル、直接過程について

核反応の機構を説明するモデル 核反応の機構を説明するモデルとして、複合核モデルや直接過程とよばれるモデルがある。これらは核反応の種類を限定すると、核反応の機構をよく説明できるモデルである。 複合核モデルについて 複合核モデル(compound nucleus …

物理吸着と化学吸着の特徴について

吸着の分類 清浄な固体表面と気体分子(原子)が接触すると、固体表面原子と気体分子(原子)との相互作用によって表面に気体が吸着する。 この相互作用の仕方によって吸着現象は物理吸着(physisorption) と化学吸着(chemisorption) の2種類に分類することができ…

量子ドットの特徴、用途について

量子ドット・QDとは 量子ドット(quantum dot)、QDとは、ド・ブロイ波長程度の大きさの領域に電子を閉じ込めた0次π電子系のことである。また、直径が数nmの半導体ナノ粒子のことを量子ドットということがある。 これは半導体ナノ粒子のような三次元的な閉じ込…

部分モル体積についての解説

部分モル体積の必要性 例として、水(H2O)の体積をVとします。 体積VのH2Oと体積VのH2Oを混合すると、体積2VのH2Oとなります。 この、体積の加算性について、1 molあたりの体積(モル体積)で説明することができます。 しかし、エタノール(EtOH)の体積をVとして…

コンクリートの特徴、組成、セメント、鉄筋コンクリートについて

コンクリートとは コンクリートは無機質または有機質の結合材によって骨材を結合一体化した硬化体、もしくは硬化する前の混合物である。 コンクリートは強度、価格、施工の容易さなどから最も優れている建築資材の一つである。建築物、道路、ダム、高架橋、…

遷移金属錯体の色とd-d遷移・電荷移動遷移・配位子の吸収について

遷移金属錯体の色について 遷移金属化合物は多彩な色を示すことで知られている。そのため、遷移金属の塩や酸化物はガラスや陶器の着色剤や絵画の顔料として使われてきた。遷移金属錯体も同様に多彩な色を示す。これらの性質は金属錯体の中心元素が遷移元素で…

サイズ排除クロマトグラフィー、カラム充填剤について

サイズ排除クロマトグラフィーとは サイズ排除クロマトグラフィー (Size exclusion chromatography, SEC)は、分子ふるい効果を利用するクロマトグラフィーの総称であり、分子ふるいクロマトグラフィーともいう。サイズ排除クロマトグラフィーはカラム充填剤…

カーボンナノチューブ・無機ナノチューブ・有機ナノチューブについて

ナノチューブとは ナノチューブは直径1~100 nmサイズのチャネル構造を有し、低次元性高軸比を特徴とする筒状分子や分子集合体である。 ナノチューブは構成成分によって、無機ナノチューブ、カーボンナノチューブ、有機ナノチューブの3種類に分けることができ…

デンドリマーの特徴、合成方法について

デンドリマーとは デンドリマー(dendrimer)は規則正しい枝分かれ構造を有する高分子である。 デンドリマーの語源はデンドロン(dendron)であり、樹木を意味する言葉である。 デンドリマーは合成的に1次元構造から3次元構造までの構造因子が制御された高分子で…

TLC・薄層クロマトグラフィーのRf値、吸着剤、展開法、検出について

薄層クロマトグラフィー・TLCとは 薄層クロマトグラフィー(thin-layer chromatography, TLC)はガラス板やアルミニウム箔などの支持体の上に微粒子担体を均一に塗布して固定相とし、適当な溶媒を移動相として、物質を展開、分離するクロマトグラフィーである…

化学実験を行うときの注意事項について

化学実験を行うときの注意 化学実験は危険を伴う作業である。そのため化学実験を行うときは、実験を行う前、実験中、実験後などでそれぞれ行っておくべきことや注意事項がある。 注意事項について簡単に列挙していく。 化学実験を行う前の準備 実験内容につ…

シグナル伝達と受容・伝達・応答について

シグナル伝達とは 生体内におけるシグナル伝達とは、細胞がまわりの変化を感知するための仕組みであり 1.受容、2.伝達、3.応答 の3つのプロセスからなっている。 1.受容について まず、細胞外からのシグナル分子が細胞膜の受容体タンパク質に結合する。シグ…

酵素の特徴と分類について

酵素とは 細胞の中では常に数千種類の化学反応が進行していると考えられるが、それらはすべて酵素(enzyme)の触媒作用によって起こっている。また、この場合の酵素はほぼすべてタンパク質である。 触媒とは、自分自身は変化しないが、化学反応の速度を高める…

原子価殻電子対反発則・VSEPR理論による分子の形の予測

原子価殻電子対反発則(VSEPR理論)について 典型元素によって構成される分子の構造を定性的に予測する古典的な理論として原子価殻電子対反発理論もしくは原子価殻電子対反発則とよばれる理論がある。 英語のvalence shell electron pair repulsion theoryの頭…

金属ナノ粒子と表面プラズモンについて

金属と表面プラズモンについて 金属粒子に衝突した光は電子の光励起を引き起こす。生じる光励起の大部分は、金属の価電子帯の電子の集団的振動である。この金属表面の価電子が集団的に振動励起された状態を表面プラズモン(surface plasmon)という。このよう…

原子の大きさ・原子半径と電子の存在確率の関係について

原子の大きさとは 原子は原子核と電子で構成されている。そのため原子の大きさは電子の存在する場所に大きく影響される。 一方で、原子やイオンの中の電子は無限遠まで存在する確率がある。また明確な境界は存在しないため、様々な状況に適用可能な原子半径…

塩素系漂白剤として使用される化学物質の種類について

漂白剤とは 食品やパルプ、繊維製品などの色素を除き、外観をよくするために用いられる化学物質のことを漂白剤という。 漂白剤として使われる物質は還元力を利用するものと酸化力を利用するものがある。 ハロゲンのオキソアニオンの酸化力はハロゲンの酸化数…

反磁性・常磁性・強磁性・反強磁性について

磁性と磁気双極子・磁気双極子モーメントについて 物質の磁気的性質(磁性)は、原子や分子の軌道を電子がどのように占めているかに影響される。 磁性はグーイ(Gouy)の天秤と呼ばれる装置やスクイド(SQUID)と呼ばれる装置で磁化率を測定することで知ることがで…

スレーターの規則と有効核電荷の計算方法について

有効核電荷とスレーターの規則について 有効核電荷とは着目している電子が感じる中心原子核の電荷である。 有効核電荷を求める方法として、スレーターの規則(Slater's rule)がある。 スレーターの規則は、ある軌道上にある電子が、他の電子の遮蔽効果を考慮…

高吸水性高分子の構造、吸水機構、用途について

高吸水性高分子とは 分子量が大きい分子のことを高分子というが、その高分子の中でも特に水を吸収する能力の高い高分子を高吸水性高分子という。高吸水性ポリマーや高吸水性樹脂ともいわれる。 自重の1000倍以上の重量の水を吸収するものも報告されている。 …

食品に使用される防腐剤について

防腐剤とは 防腐剤とは、食品などに細菌が繁殖し、食品が腐敗することを防ぐために食品に加えられる化学物質のことをいう。防腐剤は、保存料といわれることもある。 防腐剤は細菌の侵入や発育、増殖を妨げる効果があるが、殺菌作用があるわけではない。細菌…

α線に対する比電離度、飛程、阻止能について

放射線の比電離度とは 放射線が単位長さ進むときに生じるイオン対の数を比電離度という。比電離度は、1 mmや1 cmあたりの値を用いる。比電離度は放射線の種類やエネルギーによって変化する。α線の場合は、α線が1 atmの空気中を進む場合、1 cm進むときに約104…