化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

論文の回答レターの形式や具体的な参考例

研究活動の1つとして、学術論文を投稿し、査読を経て、論文を論文誌に掲載させ、研究成果を世に公表するというものがあります。特に査読付きの論文は、研究者の業績の1つともされる重要な内容です。この論文を出版(publish)した研究者の100人中99人は対応し…

【錯体化学】配位子・リガンドの基礎

リガンドとは? リガンド(Ligand) は中心のものなどと強く結合するものという意味があります。そのため、リガンド(Ligand) という概念は、化学の分野以外でも使われています。たとえば、生体分子とのリガンドによって形成される複合体は、イオン結合や水素結…

ゼミ資料の参考にしたいコンサルのスライドデザイン

ゼミ・抄読会・輪講・輪読の資料 理系の研究室に入ると、ゼミ、抄読会、輪講、輪読、論文紹介などの研究室によっていろいろな名前がつけられていますが、いわゆるゼミが行われます。内容の1つとしては、教科書や論文などを担当が読み込み、それを発表すると…

海外の雑誌に論文が掲載されるって凄いの?

海外の雑誌に論文が掲載という話は耳にすることがあります。 研究室に所属している先輩が論文を発表だったり、テレビや書籍などの有識者が研究成果の論文を掲載だったり、色々の場面で目にすることはあると思います。 ところで海外の雑誌に論文が掲載される…

博士課程に進学する前に自問するべき5つの質問

大学生、大学院生で研究室で博士課程の先輩などを見ていると、博士課程がいかに大変かが想像できると思います。しかし、身近に博士課程に進学している学生などがいないと、その違いまでは想像できにくいかもしれません。 そこで、博士課程に進学する前に自問…

錯体化学を学ぶときの金属・金属イオン

金属元素について 錯体は金属イオンと配位子で構成されることから、錯体において金属は重要な要素である。 元素周期表を見ると、元素の大半は金属である。また、研究者によって新たに作られ、確認される新元素も金属であるため、全元素における金属の割合は…

【錯体化学】錯体の配位結合と軌道の混成

配位結合 錯体化学において重要な要素の1つが、配位結合である。分子結合を形成する共有結合は、結合に関与する原子がそれぞれ電子を1つずつ出して電子のペアが形成され、この電子のペアによって結合ができる。この共有結合は、ルイスが提唱し、そして現在で…

アカデミアの男女共同参画が進まない話題の寄稿に対して

一言でいうと、「理系のアカデミアの女性の割合を増やそう」といえるであろうアカデミアの男女共同参画問題ですが、読みやすい寄稿が公開されていますので、この寄稿をもとに、この話題を取り上げたいと思います。 寄稿はJSPSのCHEERS!に投稿された安藤真一…

学会の懇親会って学生でも参加していいの?

新型コロナウイルスの影響で一時期は、学会もオンライン開催に移行していましたが、再びオフラインの現地開催やハイブリッド開催となってきました。 そういった中で、特に学会に初めて参加する学生が気になることの1つが懇親会かもしれません。新型コロナウ…

八面体錯体の配位子置換反応の反応速度式・アイゲン ウィルキンス機構とフオス・アイゲン式

八面体錯体は、さまざまな酸化数の金属に対して、多様な結合状態を形成する。よって、置換反応にも、さまざまな反応経路が予想される。しかし、八面体錯体のほとんどすべては交替機構で反応が進行する。そこで反応を考えるうえで、その律速段階が会合性か、…

【アカデミアの維持のために若者は安定な生活を捨てよ】#任ポス問題がTwitterで話題に!!

Twitterで話題になっていることを取り上げるトレンドがありますが、一部の人のおすすめトレンドには"アカデミア"や"博士課程"といった言葉がたまに表示されている人がいるのではないでしょうか?これは多くの場合は、有名人や問題行動の炎上と比べると、非常…

学振・申請書で役立つ文章術:文を推敲する時のポイントと方法

文を推敲する際のポイント 学振の申請書などでは、文章の推敲が採択率を上げる方法として紹介されるケースも多いと思います。ここでは、文章を推敲する際に意識するといいポイントや推敲をする際の方法を紹介します。 ポイント1: 文に間違いや論理の破綻がな…

学振・申請書で使える文章術:シンプルな文章にするテクニック

学振などの申請書では、わかりやすい文章にするために何度も推敲や改訂を繰り返していくと思います。内容はもちろんですが、文章自体も書き方次第で、わかりやすさや伝わりやすさに違いが生まれます。 文章の推敲の方法は、様々なパターンを書いてみて、自分…

学振の申請書を書くときに審査員について確認しておきたいポイント

博士課程に進学する学生であれば、日本学術振興会 特別研究員(DC1・DC2)(通称 学振、がくしん)の申請書を申請すると思います。学振の申請書を提出する資格がある人が、申請をしない理由はないので、絶対に申請をするべきです。この申請書を完成に近づけ…

学振の申請書作成でライバルと大きく差がつくのは何月か?

博士課程に進学を予定している学生であれば、日本学術振興会 特別研究員(DC1・DC2)(通称 学振、がくしん)の申請書を申請すると思います。博士課程で申請する資格があれば、学振の申請書を書くことによって、自己分析や研究の計画力、研究への理解のブラ…

SciSpaceとは?論文読解補助AIサイトの使い方をわかりやすく紹介

SciSpaceとは? 学生や研究者にとって、論文を読むという作業は過去の知見を得るうえで非常に重要な活動です。一方で、論文を読みなれていない学生にとっては、論文を読んで理解するということは少しハードルがあると思います。 こういった論文を読みなれて…

学振の評価書(推薦書)を「自分で書いて」と言われた場合の方法

博士課程に進学を予定している学生であれば、日本学術振興会 特別研究員(DC1・DC2)(通称 学振、がくしん)の申請書を申請すると思います。むしろ博士課程で申請する資格があれば、学振を出さないというのは、資金を得る貴重な機会を逃すという点でも、申…

学術論文と卒業論文や修士論文のページ数が全然違うのはなぜ?

学術論文と卒業論文や修士論文のページ数が全然違うのはなぜ? 理系や化学系では、一般的な学術論文はletterやcommunicationといわれる短いものであれば、1~4ページ程度、Full paperといわれるような研究成果を丁寧にまとめたもので、長くて10ページ程度であ…

博士課程学生がやる気のでない時にできる8つのこと

博士課程は博士号を取得するための最後のステップですが、最近は博士課程の実情も正しく学生に伝わるようになり、特に日本ではやる気のない学生が博士課程に進学するというケースは、まれになってきていると思います。ただ、博士課程は通常でも3年間と比較的…

無機化学の反応の種類・化合物の分類・分析手法

化学試薬 化学反応では、他の物質を合成、測定、検出するために使用される物質のことを試薬という。つまり化学では試薬とは、「化学反応を起こさせるために系に加える物質や化合物、もしくは反応が起きているかどうかを確認するために加える物質や化合物」で…

ResearchRabbitとは?!論文の繋がりを可視化できるサイトで論文検索を効率的に!

研究活動を行ううえで、重要なのが文献や論文の調査です。論文の検索などを効率よく行うことができれば、研究の効率の向上に繋がります。研究においては、論文そのものが書いていることも重要ですが、その論文が引用している論文、その論文を引用している(被…

光触媒的窒素還元によるアンモニア合成で正しく評価するためのポイント

光触媒による窒素からアンモニアの合成の研究 光触媒による窒素の還元によってアンモニアを合成する方法の実験に関する文献の紹介です。光触媒や電気触媒によるアンモニア合成反応は、まだ収率が低いため難しい点があるのですが、こういった研究で注意するポ…

Elicitとは?論文検索AIサイトの使い方と文献検索をわかりやすく紹介

ElicitというAIを使った、論文検索、論文を引用して質問回答生成、論文要約自動生成ができるサイトの使い方や特徴を紹介しています。

【理系】卒論・修論でのChatGPTの正しい使い方・やったらダメなこと・注意点・具体例

公開されてから、その機能が話題になっているChatGPTですが、その機能のスゴさを知っている人は、卒業論文(卒論)や修士論文(修論)でも使おう、もしくはすでに使っている人がいるのでは、ないでしょうか? 特に理系の卒論、修論の執筆の際にchatGPTを使う際の…

令和6年度学振申請書(DC1,DC2)作成時にChatGPTを使わねばならないワケ

最近SNSなどでも話題になり、もはや知らない人はいないくらいのAIツールがChatGPTです。 使い方は人それぞれですが、例えば大学の学部のレポート課題を入力すると、そのレポートの文章(のようなもの)が出力されます。 さて、本題ですが、トピックは令和6年度…

【論文紹介】メタンの触媒的変換反応に表面のわずかな水が重要であることが判明

天然ガスの主成分であるメタンを他の化学物質に変換することに関する論文です。 Critical impacts of interfacial water on C–H activation in photocatalytic methane conversion Commun Chem 6, 8 (2023) メタンは強いC-H結合(結合解離エネルギー:439 kJ…

【Youtube100万回再生動画】博士課程に進学してはいけない理由

YouTube scientist であるYoutuberのSimon Clarkが博士課程に進学(D進)してはいけない理由を解説している動画です。動画投稿は2018年4月で、今の世界状況はさらに博士課程への進学のリスクが高まっている懸念もあるかもしれません。 博士課程を意識している…

【簡単10分】グラフの画像データからExcelで使える数値データに変換できる便利サイトWebPlotDigitizer

卒業論文や学会発表の場面で、研究背景やイントロダクションとして、既報の論文のグラフのデータを引用したい場面があると思います。もちろん適切に引用すれば、そのまま画像を使ってもいいのですが、 ・元の画像の画質が悪い・2つの以上のグラフ画像の内容…

【博士課程進学不要論】D進はやめるべきという意見

この記事は修士課程から博士課程への進学(D進)をやめるべきというテーマで執筆しています。 どうしてこの記事を執筆したのか、実際は筆者はどう感じているのかは、最後に書いていますので、興味のある方は、そちらも拝読ください。 博士課程へ進学する理由と…

【理系大学院】修士課程・博士課程で身につく能力・スキル6選

修士課程・博士課程で専門に関する能力やスキルが身につくことは当然でしょう。例えば有機系の研究室であれば、有機合成のスキルや、TLCやNMRで化合物の合成を追跡したり確認したりするといった専門の分析スキルなどが身につくでしょう。 その一方で、就活や…