化学徒の備忘録

化学系の用語や論文、動画などを紹介していきます

結晶場理論の考え方と電子の高スピン・低スピン配置

結晶場とは 原子中の電子軌道 s軌道 p軌道 d軌道 八面体配位と四面体配位 球の中心に陽イオンがある場合 八面体配位の場合 四面体配位の場合 d軌道への電子配置 結晶場とは 結晶中の原子やイオンの電子にはたらく力の場(特に電場)のことを結晶場という。結晶…

レオロジー・化学レオロジーとは

レオロジー 物質の変形と流動に関する科学をレオロジーという。取り扱う物質は金属、プラスチック、油、ゴム、ガラス、アスファルト、粘土、生体細胞、セルロース、でんぶん、タンパク質などの様々な物質がある。 レオロジーのレオはギリシャ語で流れを意味…

【理系就活・技術面接】技術プレゼンテーションのポイント・準備方法・コツ

はじめに 資料の形式 発表時間(面接時間) 研究発表の構成 スライド1枚目:研究背景・研究目的・研究目標 研究テーマ 研究背景 研究目的 研究目標 スライド2枚目:アプローチ アプローチ スライド3枚目:研究結果 研究結果 スライド4枚目:考察・まとめ・展望…

研究の独創性の2つの方向性:斬新なアイデアと高度な研究

独創性:オリジナリティ 研究のテーマを考えるとき、申請書の研究内容を考えるとき、投稿する論文の原稿を考えるとき、そんなときに重要になることの一つが研究の独創性(オリジナリティ)です。 研究の独創性は大きく2種類に分けることができます。(細かく分…

研究発表のスライドの作り方のコツ(卒論発表・修論発表・学会発表に向けて)

はじめに スライド作りのコツ2つ スライドの縦横比(アスペクト比) フォント タイトルスライド コンテンツスライド お願い 今回使用した論文について はじめに 研究室に配属され、研究を進めると、卒業論文発表や修士論文発表、学会発表などでパワーポイント…

C1化合物とC2化合物

C1化合物 炭素数が1個の化合物の総称である。代表的な化合物としてメタン、一酸化炭素、二酸化炭素、メタノールなどがある。 C2化合物 炭素数が2個の化合物の総称である。具体例としてはエタノールやエチレンなどが挙げられる。

動画紹介と無機化学系研究室に配属が決まった人がやっておくべきこと

動画紹介!(有機化学系研究室に配属が決まった人がやっておくべきこと3選!!) 1. これまで受けた講義の内容を今一度復習する 2. 配属になった研究室の論文一報を読んでみる 3. 英語を復習する 4. 遊んでおく 今回紹介した動画について 動画紹介!(有機化学系…

触媒毒:触媒反応を阻害する物質

触媒毒とは 触媒毒は触媒の活性部位に触媒反応の反応分子より強く結合し、微量存在するだけで触媒作用を妨げる物質のことである。 触媒調製用原料や触媒反応原料中に含まれる場合には、あらかじめ触媒毒を除去しておくことが好ましい。また、反応の副生成物…

SMSI効果:水素や一酸化炭素の吸着量の減少

SMSI効果とは SMSI (strong metal support interaction) 効果とは、ある条件を満たした触媒の室温での水素や一酸化炭素 (CO) の吸着量が著しく減少する効果のことである。 このSMSI効果はTiO2、Nb2O5、V2O5、CeO2、ZrO2などの易還元性酸化物担体にPtやPd、Rh…

Fe-Mn-K触媒を用いた二酸化炭素(CO2)から炭化水素への変換の論文紹介

Fe-Mn-K触媒を用いた二酸化炭素(CO2)から炭化水素への変換 二酸化炭素から炭化水素への合成方法 触媒の調製方法 触媒の活性 遷移金属(Mn、Cu、Zn)の効果 卑金属(K)の効果 触媒評価のまとめ 触媒の分析について XRDパターン XPSスペクトル SEM像・STEM像 二酸…

カール・フィッシャー法:水分定量法

カール・フィッシャー法とは カール・フィッシャー法 (Karl-Fischer method) とは、水分の定量法である。 ヨウ素、二酸化硫黄、ピリジンなどを無水メタノール溶液としたものをカール・フィッシャー試薬といい、このカール・フィッシャー試薬を水分と反応させ…

フィッシャー・トロプシュ反応 (Fischer-Tropsch反応, FT法)

フィッシャー・トロプシュ反応とは フィッシャー・トロプシュ反応 (Fischer-Tropsch反応, FT反応)とは一酸化炭素と水素から炭化水素混合物を得る反応である。 反応式を書くと以下のようになる。 他にフィッシャー・トロプシュ合成 (Fischer-Tropsch合成, FT…

逆水性ガスシフト反応(RWGS反応)

逆水性ガスシフト反応とは 逆水性ガスシフト反応 (reverse water gas shift (RWGS) reaction) とは二酸化炭素(CO2)を水素(H2)と反応させ、一酸化炭素(CO)に変換する反応である。 反応式は以下の通りである。 また単に逆シフト反応といわれることもある。

酢酸のイオン解離と酸解離定数

酢酸のイオン解離と酸解離定数 酢酸(CH3COOH)は水溶液中では次の式のようなイオン解離が起こる。 CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO- + H3O+ この酢酸の酸解離定数は次の式で表すことができる。

周期表の右上の原子(フッ素)ほど電気陰性度が大きい理由

周期表の右上の原子(フッ素)ほど電気陰性度が大きい理由とは 電気陰性度とは分子中のある原子が自分のほうに電子を引き付ける能力の尺度である。より細かくいと、原子中の原子核が結合電子対を引き付ける強さの尺度といえる。 この原子核と結合電子対は距離…

尿糖試験紙:グルコースの検出の話

尿糖試験紙とは 尿糖試験紙とは、尿に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度を簡便に測定できる試験紙である。通常は尿にはグルコースは含まれていない。しかし糖尿病になると尿にグルコースが含まれるようになる。そのため、この尿糖試験紙を用いることで、尿…

水素イオン濃度からpHを計算する方法

水素イオン濃度からpHを計算する方法 ここでは、ある水溶液の水素イオン濃度がであるとして、pHを求めます。 pHは水素イオン濃度の対数を表す値であり、次の式によって定義されます。 上の式に水素イオン濃度を代入します。 すると、 となりpHは4.0と求める…

水のイオン積を用いて水酸化物イオン濃度からpHを計算する

水のイオン積を用いると、水酸化物イオン濃度が分かればpHを計算することができます。 ここでは25 ℃とします。このとき水のイオン積は次の通りになります。 水酸化物イオンの濃度をとします。 このとき水のイオン積の式に水酸化物イオンの濃度の値を代入する…

水のイオン解離と水のイオン積とpH

水のイオン解離と水のイオン積 水溶液の溶媒としての水は、水自身が次の式の反応によって水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)と水酸化物イオン(OH-)とにわずかに解離している。 H2O + H2O ⇄ H3O+ + OH- この反応は右方向と左方向の反応が同時に…

水の水分子の濃度

水の水分子の濃度 実験や分析、計算では水溶液を用いる場合が多くある。 このとき、水は溶媒であり、溶けている物質である溶質の濃度に着目することが多い。しかし、水もまた分子であるため、水の水分子の濃度も計算することができる。 ここでは計算を簡単に…

電気透析による塩の製造とイオン交換膜

塩のつくりかたについて 日本では塩をつくるために、古くは塩田を使い海水を天日で濃縮し海水から塩を取り出していました。しかし技術の進歩などによって、塩田を使った塩の製造以外にイオン交換膜を使った塩の製造がおこなわれるようになりました。 この手…

慣用単位胞:理解しやすい立方体の単位胞

慣用単位胞 体心立方格子や面心立方格子の基本単位胞は、基本並進ベクトルからつくられる平行六面体やウィグナーザイツ胞がある。 しかし、この平行六面体やウィグナーザイツ胞の基本単位胞は、図形として理解のしやすい立体図形ではない。 そこで、基本単位…

置換基・官能基・置換基効果

置換基 有機化合物は炭素原子が連なって構成されている。このような分子を本体部分とそれ以外の付属した部分に分けて考えると便利である。 この付属した部分を置換基という。 置換基効果 立体的に大きな置換基がある場合、その近くに他の分子が近寄れず反応…

分子間力:分子と分子の間に働く力

分子間力 分子と分子の間に働く力を分子間力という。また、原子間やイオン間に働く力であっても、分子間力という場合がある。 分子間力には引力と反発力 (斥力) がある。 引力としては、クーロン力、交換力、水素結合力、電荷移動力、ファンデルワールス力な…

結合分極・部分電荷・極性分子・無極性分子

結合分極・部分電荷 電気陰性度の違う原子が結合した場合、結合電子は電気陰性度の大きい原子のほうに引きつけられる。その結果、電気陰性度の大きい原子は少しマイナスに、電気陰性度の小さい原子は少しプラスに荷電する。この結合した2原子がプラスとマイ…

電気化学とは

電気化学とは 電気化学とは、物質の化学変化と電気エネルギーとの関係や、化学エネルギーと電気エネルギーとの変換の関係に関する分野である。 界面電気現象、電離状態、物質の導電現象、半導体、電池、電極反応、水溶液の溶融塩の電解、非水溶媒中での酸化…

電極の呼び方(カソード・アノード・陽極・陰極・正極・負極)

電極の呼び方 ここでは、溶液と電極での電気化学反応の場合の電極の呼び方を分類します。 溶液側から電子が流れ込む電極はアノードといいます。 溶液側へ電子が流れる電極はカソードといいます。 電極の呼び方についてまとめると、下の表のようになります。 …

アルコール消毒の仕組み・70%アルコールが効果的な理由

アルコールとは アルコールとは、炭化水素の水素(H)原子が、ヒドロキシ基(-OH)で置換された化合物(アルコール類)の総称です。 そのため、アルコールは親油性の部分と親水性の部分であるヒドロキシ基をもっています。 消毒や酒類の成分としてしられているもの…

【化学解説系Vtuber才媛テス子さん】合成甘味料とカロリーゼロの解説動画

今回は、化学解説系Vtuberの才媛テス子さんによる合成甘味料とカロリーゼロに関する解説動画を紹介します。 カロリーゼロの清涼飲料水、コンビニなど身近なところで売られていますね。このカロリーゼロの理由となる合成甘味料が紹介する動画のトピックです。…

論文の流し読み・ななめ読みのポイント

研究室に配属された大学生や大学院生、研究者を論文を読み、最新の研究成果の知見を得たり分野の動向を把握します。 この多くの論文を読む過程の中で必要な技術の一つに”論文の流し読み”があります。ななめ読みということもあると思います。ここでいう”論文…