研究発表(卒論発表・学会発表・就活技術プレゼン)
理系の学生は、卒業研究や修士課程の研究が終わると卒論発表や修論発表などの研究発表を行うことが一般的です。また理系は学会での発表や、就活中に自身の研究発表を行うことも多いです。
この記事では、研究発表プレゼンテーションのスライドを作るときのポイントを紹介します。
研究発表プレゼンテーションのスライドの原則
プレゼンテーションは「スライド1枚につき、1分間の説明」が目安になります。
ただし、あくまで原則というだけで、写真を一目見せるだけなら10秒程度で十分な場合もあります。スライド1枚につき1分間で作り始め、最後は伝えたい内容が伝わるようにページを数を整えて発表に臨みましょう。
スライドを作成する場合の原則は「スライド1枚につき、伝えたいメッセージは1つ」となるようにすることです。このルールによってスライド資料を作ると、聴衆にとってわかりやすい発表になる可能性が高くなります。
例えば下のスライド例を見てください。
研究の背景や理由と研究の目的が一つのスライドになっています。こういうスライドは説明も時間がかかり、要素が多くなると聴衆としても頭の中が整理できません。
例えば、研究の背景と目的は分けてスライドを作ってみましょう。
研究の背景は「カーボンニュートラルサイクルが構築できる技術が重要である」研究目的は「触媒を合成し、反応の活性と変化を明らかにしたい」というメッセージを言いやすようになっています。
1枚のスライドに詰め込みすぎない
1枚のスライドに情報を詰め込みすぎるパターンは図が多いパターンと文章が多いパターンがあります。
図の多いスライド
1枚のスライドに多くのグラフや情報が入っていると、発表は、あっちこっちを指し示しながら説明することが求められます。聴衆も、あっちこっちに視線を移動させなければならなくなります。
上のスライドを見ると、たくさん実験をしたことは伝わりますが、発表中にちょっとでも聞き逃すと、今、どのグラフの話をしているのかわからなくなると思いませんか?
文字の多いスライド
1枚のスライドに5~10行の文章が書かれていると、読むだけで精いっぱいになり、聴衆が発表についていけなくなります。聴衆が理解しやくするための配慮が十分ではないと思います。
スライドに文章を書いたほうがいい場合もありますが、図に置き換えられる内容は図に置き換えましょう。
KISSの法則
研究発表では伝えたい内容を「短く単純」にしましよう。これを英語では
Keeb in short and Simple
といい、頭文字をとってKISSの法則と呼ばれています。これは人になにかを伝えたいときに役に立つテクニックで、当然、研究発表でも役に立ちます。
勘違いしてはいけない点として、伝えるメッセージを「短く単純にする」ということは情報を省略することではありません。「短く単純にする」ということは情報を凝縮させるのです。
スライド上の文章は簡潔に
スライド上の文章は簡潔にしましょう。
- この文章はもっと短くできないだろうか
- この文章はスライドに載せる必要はあるのだろうか
という視点でスライドを見直してみると、スライド資料の改善ができます。また、卒業論文などをすでに書いている人がやりがちなこととして、論文と同じ文章を使ってしまうということです。
例えば「~であることがわかった」から「~であることが判明」と体言止めにすると文字の量も少なくなります。ただし、全ての文章を無理やり体言止めにするといいいうわけではありません。意味がおかしくならないか、聴衆が勘違いしないかなどに注意しながら文章を見直しましょう。
スライドの文章を簡潔にしていく際に、参考となる点は「そのスライドで伝えたいメッセージに必要かどうか」です。
スライドを見ただけでメッセージが伝わるスライドを作成
伝えたいメッセージを短く、単純にしていくということは、掲載する情報量が減っていくということです。特に慣れてないうちは、どこまで情報量を減らしたらいいのか、悩む人も多いと思います。
そういったときは、スライド資料だけを見て、口頭説明なしでもメッセージが伝わるかを考えてみましょう。口頭説明を使うと、削った分の情報量は付け加えることができます。
ワンランク上を目指す上級者へ
基調講演、招待講演、ほかにもインターネット上でも見ることができるTED のプレゼンなどはスライド資料の情報を極限まで減らしている場合があります。スライドの情報量を口頭で補うためには、かなりのプレゼン力が必要になります。
TEDのスライドは見る人によっては「かっこいい」「スマート」と思うかもしれません。ただし、卒業論文発表や初めての学会発表などで、超一流のプレゼンテーターであるTEDの発表者のスライドを安易に真似すると、全然相手に内容が伝わらないと思います。
充分の経験を積んだ人がさらに発表を洗練させる方法の一つであることを理解しておいいてください。
参考文献
1 .Transforming carbon dioxide into jet fuel using an organic combustion-synthesized Fe-Mn-K catalyst
Benzhen Yao, Tiancun Xiao, Ofentse A. Makgae, Xiangyu Jie, Sergio Gonzalez-Cortes, Shaoliang Guan, Angus I. Kirkland, Jonathan R. Dilworth, Hamid A. Al-Megren, Saeed M. Alshihri, Peter J. Dobson, Gari P. Owen, John M. Thomas & Peter P. Edwards
Nature Communications volume 11, Article number: 6395 (2020)
今回紹介しているスライドに使用した図の論文には、クリエイティブ・コモンズ、CC-BYのライセンスが付与されています。この記事では、上記論文の画像を使用しています。