化学徒の備忘録

化学系の用語や記事や論文をわかりやすく紹介します

放射化学

核反応の機構、複合核モデル、直接過程について

核反応の機構を説明するモデル 核反応の機構を説明するモデルとして、複合核モデルや直接過程とよばれるモデルがある。これらは核反応の種類を限定すると、核反応の機構をよく説明できるモデルである。 複合核モデルについて 複合核モデル(compound nucleus …

α線に対する比電離度、飛程、阻止能について

放射線の比電離度とは 放射線が単位長さ進むときに生じるイオン対の数を比電離度という。比電離度は、1 mmや1 cmあたりの値を用いる。比電離度は放射線の種類やエネルギーによって変化する。α線の場合は、α線が1 atmの空気中を進む場合、1 cm進むときに約104…

放射能の単位、ベクレル、グレイ、シーベルトについて

放射能の強さを示す単位:ベクレルについて 放射能の強さは単位時間あたりに壊変する核種の数で表される。放射能の強さを表す単位として、ベクレル(Bq)とキュリー(Ci)がある。 SI単位系ではベクレル(Bq)が放射能の単位として用いられる。 ベクレルは毎秒1回…

14C年代測定法について

自然界での14Cの生成について 14Cはβ-壊変によって14Nへと変わる。14Cは地表から10 km以上上層の大気である成層圏にて生成される。このときに起こる核反応は中性子をn、陽子をpとすると次のように表される。14N + n → 14C + pこの反応に関わる中性子は宇宙線…

核反応のQ値としきい値について

核反応とQ値について 核反応について、標的核をX、入射粒子をa、生成核をY、放出粒子をbとすると核反応の一般式についてエネルギーの項Qを加えて次のように書くことができる。 X + a → Y + b + Q このQの値のことをQ値(Q value)という。Q値は熱化学反応式に…

シンチレーションカウンターとシンチレーターについて

シンチレーションカウンターとは 原子や分子が放射線によって励起され、エネルギー的に励起状態となると、基底状態もしくは低励起状態へと戻る。このとき、原子や分子から電磁波が放出される。このような蛍光を発する物質のことをシンチレーターという。この…

放射平衡と過渡平衡、永続平衡の条件、放射平衡が成立しない条件について

放射平衡について 放射壊変によって親核種から娘核種が生成する。この娘核種が安定な場合は、時間が経過すると娘核種の個数は増加する。一方で、生成した娘核種が放射性核種である場合、親核種の壊変と同時に、娘核種の壊変も起こる。このとき、親核種による…

14C年代測定に影響を与える要因

14C年代測定に影響を与える要因 14Cを利用した年代測定法は、考古学の測定などで一般的に用いられている方法です。しかしながら、14Cによる年代測定に影響を与える要因がいくつかあります。14C年代測定によって年代を正しく見積もるには、14C年代測定に影響…

放射壊変の壊変法則について

放射壊変の壊変法則 放射性核種Aが放射壊変を起こし、Aより安定な核種Bに変化する場合を考える。 このとき放射性核種Aを親核種(parent nuclide)、安定な核種Bを娘核種(daughter nuclide)という。放射性核種の壊変は自発的に起こる。 このとき、壊変定数:と呼…

同位体、核種と関連用語の解説

ここでは同位体、核種とこれに関連する用語の解説をしていきます。 同位体と核種について まずは同位体の一般的な定義です。 "互いに原子番号が同じで質量数が異なる原子" 他の言い方としては次のものもあります。 "互いに原子核中の陽子数は同じで中性子数…