化学徒の備忘録

化学系の用語や記事や論文をわかりやすく紹介します

放射能の単位、ベクレル、グレイ、シーベルトについて

放射能の強さを示す単位:ベクレルについて

放射能の強さは単位時間あたりに壊変する核種の数で表される。放射能の強さを表す単位として、ベクレル(Bq)とキュリー(Ci)がある。

SI単位系ではベクレル(Bq)が放射能の単位として用いられる。

ベクレルは毎秒1回の壊変を1ベクレルとして表す。

一方で、ベクレルが使われるようになる以前に、キュリー(Ci)という単位が使われていた。キュリーとベクレルの間には次の関係が成り立つ。

1 Ci = 3.7 × 1010 Bq

光子の強さを示す単位:照射線量について

 照射線量はX線やγ線などの光子の強さを表す量である。照射線量は光子によって空気がどの程度電離されるかによって定義される。

SI単位系ではC/kgという単位を使う。クーロン(C)は電気量の単位であり、1 kgの空気が光子の照射を受けて1クーロン(C)のイオン対を生成する線量を単位としている。光子によるイオン対の生成は二次的に生じた電子によるものである。

一方でSI単位系以外では、レントゲン(R)という単位がある。 1 Rは0.001293 gの空気中で1esuの電気量に相当するイオン対を生じる照射線量である。0.001293 gの空気とは、0℃、1 atmの乾燥空気1 mLの質量である。また1 esuとは電気量の単位の一つであり、静電単位(esu)である。

照射線量の単位同士には次の関係が成り立つ。

1 R = 2.58 × 10-4 C/kg

また、単位時間あたりの照射線量のことを照射線量率という。

吸収した放射線の量を示す単位:吸収線量とグレイについて

吸収線量は放射線の照射を受けた物質が吸収した放射線の量を表す単位である。吸収線量は単位質量あたりにどのくらいのエネルギーを吸収したかで表される。

照射線量はX線やγ線にのみ使われるが、吸収線量は放射線一般に対して用いられる。

SI単位系ではグレイ(Gy)という単位が使われる。1グレイは放射線によって1 kgの物質に 1 J のエネルギーが吸収されたときの吸収線量である。

一方でSI単位系以外では、ラド(rad)という単位が使われていた。1ラドは1 gの物質に100 ergのエネルギーが吸収されたときの吸収線量に対して使われた単位である。

グレイとラドの間には次の関係が成り立つ。

1 Gy = 100 rad

また、単位時間あたりの吸収線量のことを吸収線量率という。

放射線の人間への影響を考慮した単位:線量当量とシーベルトについて

線量当量は人間への放射線からの防護の目的で使われる単位である。

人間への放射線の影響は、吸収線量が同じでも放射線の種類やエネルギー、被曝条件などで異なる。この違いを考慮して評価するための単位である。

線量当量をH、吸収線量をD、放射線荷重係数をG、修正係数をNとすると次の関係が成り立つ。

H = DGN

放射線荷重係数は、放射線の種類とエネルギーによって異なる。放射線荷重係数の代表的な例を以下に表で示す。

放射線の種類   エネルギー  放射線荷重係数
 X線、γ線(光子)  全エネルギー  1
 電子、μ粒子  全エネルギー   1
 中性子 10 keV未満   5
 中性子  10 keV~100 keV  10
 中性子   100 keV~2 MeV  20
 中性子   2 MeV~20 MeV  10
 中性子   20 MeV以上  5
 陽子(反跳陽子を除く)  2 MeV~  5
 α粒子、核分裂片、重原子核    20

 修正係数は外部被曝、つまり人体の外からの放射線の影響に対しては1とする。

線量当量を示す単位としてシーベルト(Sv)が用いられる。シーベルトはグレイに放射線荷重係数、修正係数をかけた単位である。

また以前より使われていた単位としてレム(rem)がある。

シーベルトとレムの間には次の関係が成り立つ。

1 Sv = 100 rem