核反応とQ値について
核反応について、標的核をX、入射粒子をa、生成核をY、放出粒子をbとすると核反応の一般式についてエネルギーの項Qを加えて次のように書くことができる。
X + a → Y + b + Q
このQの値のことをQ値(Q value)という。Q値は熱化学反応式における反応熱に相当するものであり、反応エネルギーともいわれる。
Q値の求め方について
Q値はXの質量を、aの質量を、Yの質量を、bの質量を、光の速さをとすると次の式で計算することができる。
Q > 0の場合は質量減少に伴って、エネルギーが放出される。このQ > 0の場合の反応を発熱反応という。逆に、Q < 0の場合の反応は吸熱反応という。また、aとbが同じ粒子でQ = 0の場合は弾性散乱である。
しきい値の求め方について
Q < 0 の吸熱反応の場合、入射粒子はのエネルギーを反応系に与えなければ反応は進行しない。
実際には、反応した瞬間に入射粒子のエネルギーの一部が運動エネルギーに変わり、標的核と入射粒子が後ろにさがるため、標的核と入射粒子の複合核には運動エネルギー分が差し引かれたエネルギーしか与えられない。そのため反応が進行するためにはよりも大きなエネルギーが必要となる。
この核反応を起こさせるために必要な最小のエネルギーをしきい値(threshold value)という。しきい値をと表すとき、しきい値は次の式で求めることができる。
Q > 0の場合にはQに相当するエネルギーが核反応後の生成核と放出粒子の運動エネルギーとなる。またこの場合はしきい値は0である。