化学徒の備忘録

化学系の用語や論文をわかりやすく紹介していきます

物理化学

熱力学の第2法則:エントロピー増大の法則・クラウジウスの原理・トムソンの原理

熱力学の第2法則:エントロピー増大の法則とは エントロピーとは乱雑さの程度を表す量である。 そして、熱力学の第2法則はエントロピー増大の法則ともいわれ、膨大な数の粒子が関与しているときには、エントロピー(乱雑さ)が減少する方向には現象は進まな…

エントロピー:系の乱雑さの程度を表す量

エントロピーとは エントロピー (entropy, ) は熱力学的状態量の一つであり、系の乱雑さ、もしくは無秩序さの程度を表す量である。エントロピーが大きいほど乱雑さが大きいということができる。 エントロピーは、1865年にR.J.E. クラウジウス (Clausius) に…

活量係数を求める式:拡張デバイ-ヒュッケルの式・デービスの変形式

デバイ-ヒュッケルの式 デバイ-ヒュッケルの式は活量係数を計算することができる理論式である。しかし、デバイ-ヒュッケルの式は非常に希薄な溶液でなければ適用できない。 デバイ-ヒュッケルの式はイオンiの電荷を、イオンの活量係数を、溶液のイオン強度を…

イオン強度とデバイ-ヒュッケルの極限法則(イオン強度の法則)

イオン強度とは イオン強度 (ionic strength) とは、水溶液の中に溶けている1種類のイオンまたは数種類のイオンの合計の示す働き (相互作用) の強さの尺度のことである。 イオン強度は、イオンの濃度を、個々のイオンの電荷数をとすると、次のように表される…

活量と活量係数・平均活量と平均活量係数

活量と活量係数とは 活量とは、混合理想気体や希薄な溶液などの理想体系の化学ポテンシャルと、実在溶液などの現実の系の化学ポテンシャルとの差を補正するために導入される熱力学的濃度のことである。濃度の表し方として、モル分率、質量モル濃度、モル濃度…

ルシャトリエの原理:平衡移動の法則

ルシャトリエの原理とは 外部条件の変化と平衡の変化 温度変化の場合 圧力変化の場合 (気体による反応の場合) 平衡に関わる物質の濃度変化の場合 平衡に関わらない物質 (希ガスなど) の濃度変化の場合 触媒もしくは阻害剤を加える場合 アンモニア合成反応の…

チンダル現象:微粒子による光の散乱現象

チンダル現象とは 微粒子による光の散乱現象のことをチンダル現象 (ティンダル現象、チンダル効果) という。 特にコロイド溶液やエアロゾルなどに光を当てたときに、微粒子によって光が散乱されることで、光の通路が光って見える。 このチンダル現象は分子や…

ギブズの自由エネルギー・標準ギブズエネルギーと平衡定数

ギブズの自由エネルギー 反応が自発的に進行するかどうかは、熱力学的にはエンタルピー変化とエントロピー変化によって考えることができる。 エンタルピーは一定の圧力下で吸熱反応が起きる場合に、吸収される熱量である。熱が放出される発熱反応では、エン…

フロイントリッヒ (Freundlich) の吸着等温式の解説

Freundlich式について Freundlich式 (Freundlichの吸着等温式、フロイントリッヒの吸着等温式) は吸着平衡を表す経験式の一つである。 吸着剤重量あたりの平衡吸着量を、吸着物質の流体相における濃度もしくは分圧をとすると、温度一定の条件で、次の関係で…

ブラウン運動・ミクロブラウン運動・マクロブラウン運動とは

ブラウン運動とは ブラウン運動 (Brownian movement, Brownian motion) とは、非常に小さい物体が、分子の熱運動によって、不規則に動く運動のことである。 例えば、溶液中のコロイド粒子のブラウン運動は、溶媒の分子の熱運動によって、コロイド粒子がラン…

気体の状態方程式の解説【ファンデルワールスの状態方程式・ビリアルの状態方程式など】

状態方程式とは 状態方程式とは、熱平衡状態にある物質系の圧力、温度、体積の3つを変数の間に成立する関係式であり、その物体の状態を表す。状態式ともいう。 そのため状態方程式は、気体、液体、固体のそれぞれについて考えることができる。 しかし多くの…

理想気体の状態方程式と導出

理想気体の状態方程式 理想気体の状態方程式は次のように表される。 ここで、は理想気体の圧力、は理想気体の体積、は理想気体のモル数、は気体定数、は理想気体の絶対温度である。 この状態方程式は、厳密には、理想気体のみでしか成立しないため、実在気体…

ボイル・シャルルの法則と導出の解説

ボイル・シャルルの法則とは ボイルの法則とシャルルの法則(ゲイリュサックの法則)を組み合わせた法則のことをボイル・シャルルの法則という。ボイルシャルルの法則と表記する場合もある。 気体の体積は圧力に反比例し、絶対温度に比例するという法則である…

シャルルの法則 (アモントンの法則・ゲイリュサックの法則)の解説

シャルルの法則 圧力が一定のとき、体積と温度は比例する。 (一定) 他に、次のような式で表される場合もある。 0℃での気体の体積を、℃での気体の体積をとすると次の関係が成り立つ。 は、すべての気体について一定である。現在はこのの値はとなっている。 こ…

ボイルの法則の解説

ボイルの法則とは ボイルの法則は低圧力で密度の小さい希薄な気体の熱力学的な系で成り立つ法則である。 温度が一定のとき、圧力と体積は反比例する。 式で表すとつぎのようになる。 (一定) よって、圧力を上げると、それに反比例して体積は収縮する。圧力を…

熱力学第0法則・熱平衡状態の解説

熱力学第0法則とは 系と系が熱平衡状態にあり、同じ状態の系と系もまた熱平衡状態にあるならば、系と系も熱平衡状態であり、系と系の温度は等しい。 この法則を熱力学第0法則という。 これは、数学の公理である かつ であるならば、 と同様である。 熱平衡状…

形式電荷の意味・計算方法の解説

形式電荷とは 分子の電子式で、共有結合に関与する電子を、結合している原子に均等に割りふったときに、各構成原子がもつ見かけ上の電荷のことを形式電荷 (formal charge) という。 形式電荷の計算方法 分子中のある原子に割り当てられた正負の整数の電荷で…

Langmuirの吸着等温式の導出

Langmuirの吸着等温式の導出 Langmuirの吸着等温式(Langmuir式、ラングミュアの吸着等温式)は吸着等温式の中でも古いものの一つである。 このLangmuir式の導出は、次の仮定からはじまる。 固体面に吸着席があり、そこには一つの分子(原子)のみが吸着する。ま…

吸着等温線と各タイプの特徴について

吸着等温線・吸脱着等温線について 単位量の吸着媒あたりの吸着量()を温度()一定の条件下で圧力()の関数として測定し、吸着量()と相対圧()の関係を表した曲線を吸着等温線とよぶ。ここで、は気体の温度での飽和蒸気圧である。 IUPACでは下に示すI~VIまでの6…

物理吸着と化学吸着の特徴について

吸着の分類 清浄な固体表面と気体分子(原子)が接触すると、固体表面原子と気体分子(原子)との相互作用によって表面に気体が吸着する。 この相互作用の仕方によって吸着現象は物理吸着(physisorption) と化学吸着(chemisorption) の2種類に分類することができ…

部分モル体積についての解説

部分モル体積の必要性 例として、水(H2O)の体積をVとします。 体積VのH2Oと体積VのH2Oを混合すると、体積2VのH2Oとなります。 この、体積の加算性について、1 molあたりの体積(モル体積)で説明することができます。 しかし、エタノール(EtOH)の体積をVとして…

高吸水性高分子の構造、吸水機構、用途について

高吸水性高分子とは 分子量が大きい分子のことを高分子というが、その高分子の中でも特に水を吸収する能力の高い高分子を高吸水性高分子という。高吸水性ポリマーや高吸水性樹脂ともいわれる。 自重の1000倍以上の重量の水を吸収するものも報告されている。 …

界面を含む系のGibbs-Duhemの式の導出

均一系の可逆変化について まずは均一系の可逆変化について、体積変化のみの仕事がある場合を考える。 系になされる仕事を、圧力を、体積変化をとする。このとき次の関係が成り立つ。 また、内部エネルギーの変化を、絶対温度を、エントロピー変化を、成分の…

両親媒性物質と界面での膜について

両親媒性物質について 親水部と疎水部を一つの分子中にもつ物質を両親媒性物質という。 両親媒性物質は、溶液中や界面で配向する。そして、両親媒性物質は吸着膜やミセルのような分子集合体を形成する。 油と水の界面、空気と水の界面、油と空気の界面のよう…

高分子の構造・重合度・分子量の解説

高分子とコロイド粒子の違いとは 高分子(ポリマー、Polymer)とは、1000以上の原子が鎖状に共有結合してできた分子です。 コロイド粒子とは、小さな分子が物理的な力で凝集してできたものです。 この高分子とコロイド粒子の違いは1917年にStaudingerにスイス…