分析化学
式量電位 標準電極電位()は、標準状態における電位の値である。これは、化学種の活量が1の場合であることを意味している。一方で、半反応の電位は、溶液の条件によって変化する。 例えば の反応の標準電極電位は1.61 Vである。しかしながら、実際には溶液に…
ネルンストの式 電気化学や分析化学において、電極電位を考えることが必要になることが多い。 標準電極電位は酸化体と還元体などの、全ての化学種の活量が1の場合である。標準電極電位は記号はで表されることが多い。 この標準電極電位が決められた後、ネル…
共存イオン効果とは 溶液中に共存するイオンが電解質の解離や、溶解度へ影響を与える効果のことである。 一般的に共存する塩(ただし平衡に関与する共通するイオンは含まない)は、弱電解質の解離や沈殿の溶解度を増加させる。 陽イオンは反対符号である陰イオ…
ケルダール分析とは ケルダール分析 (ケルダール法)は、ドイツの化学者ケルダールが開発した、タンパク質分析の方法の1つである。 ケルダール分析は、タンパク質などの窒素含有化合物に含まれる窒素を正確に分析する方法である。タンパク質中の窒素含有率か…
モル平衡濃度 化学平衡は、化学平衡の法則や質量作用の法則によって考えていくことができる。さらに、活量でより詳細に考えることができる。 しかしながら、溶質であれば、モル濃度で簡易的に代用することができる。 以下のような化学平衡を考える。 ここで…
過マンガン酸カリウム滴定法 過マンガン酸カリウム滴定法は、頻繁に用いられる滴定法の1つである。 過マンガン酸カリウム滴定法の利点の1つは、終点の検出に指示薬がいらないことである。過マンガン酸カリウム標準溶液は、それ自体がMnO4-の赤紫色をしてお…
分配平衡・分配係数・分配比 分配について考えるために、物質が溶媒に溶けることについて考える。 塩や極性分子は水によく溶ける。一方で、無極性の有機分子は水に溶けにくい。 反対に、ベンゼンのような無極性の有機溶媒には、塩や極性分子は溶けにくいが、…
錯滴定の原理 錯生成反応を利用することで、金属イオンを滴定する方法を錯滴定という。 特にキレート試薬を用いるキレート滴定は一般に広く知られており、その中でもエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いるEDTA滴定はよく知られている。 ただし、全ての錯生成…
難溶性の塩と共通イオン効果 難溶性の塩の場合、溶解平衡は以下の式の左側に非常に大きく偏った溶解平衡と考えることができる。 難溶性の塩の溶解度積はとすると、以下のように取り扱うことができる。 溶解度積は、それぞれのイオンの濃度が変化した場合でも…
緩衝液と緩衝作用 溶液に酸や塩基を加えたり、溶液を薄めても、pHが大きく変化しない溶液を緩衝液という。 そして緩衝液によるpHを一定に保つはたらきのことを緩衝作用という。 緩衝液は弱酸とその共役塩基、もしくは弱塩基とその共役酸の混合溶液である。 …
水が電解質を溶かす理由 水が電解質を溶かす理由については、未解明な点もあるが、水の大きな誘電率とイオンの水和が主な要因であると考えられている。 比誘電率の効果 距離((m))離れた電荷、と(C)の間に働く力(N)はクーロンの法則で考えることができる。 は…
セリワノフ反応 セリワノフ反応 (Seliwanoff's test or Seliwanoff's reaction) はケトースとアルドースを識別する呈色反応である。 セリワノフはロシアの化学者 Feodor Feodorovich Selivanovに由来している。 糖のうち、ケトン基を含む糖はケトースであり…
試薬を実験に用いる際や、未知試料の分析を行う際には、正確な濃度の測定が重要となる。この決まった濃度の溶液を調製するために、欠かせないものが測容ガラス器具である。ここでは、精密な測容器であるメスフラスコ、ホールピペット、ビュレットについて解…
炭素のβ崩壊と放射線炭素年代測定 14Cは放射性の不安定元素である。そして、14Cはβ線(電子線を放出して14N(が14N++ 電子)になる。この原子核の変化は1次反応として解析することができる。半減期は5730年である。 大気中の二酸化炭素の同位体14CO2は地球に…
27Al MAS NMR アルミニウムは地中殻中に最も多く存在する金属であり、そのため多くの化合物に含まれています。 このアルミニウムの局所構造の解析において強力な方法の一つが27Al NMRスペクトルの測定です。特に固体では、NMRはX線回折や電子線回折、赤外分…
検量線の種類 機器分析定量値を求める場合には、検量線(calibration curve)を作成する方法が一般的である。 この検量線の作成方法には、絶対検量線法、内標準法、標準添加法の3つが存在する。 絶対検量線法 目的成分の標準物質から、段階的な濃度の溶液を作…
電子天秤 測定を行う試料の質量の測定は。天秤によって行われてきました。天秤は原理的にシンプルであるが、高精度の測定を行うことができる器具であり、全世界で用いられています。 以前は化学天秤という形の天秤が用いられており。天秤の両方の皿に乗せた…
濃度の表記方法 化学反応を取り扱ううえで、濃度は非常に重要な要素となります。この濃度の表記方法は 1. 分率 2. モル濃度 3. 質量モル濃度 の3つの大きく分けられます。 分率 分率は全体中の目的物質の割合を表す量です。溶液の場合には、溶質+溶媒中の溶…
化学分析の基本となる定性分析と定量分析について解説しています。
銀塩化銀電極(Ag/AgCl)と可逆水素電極(RHE)の電位の換算式 銀塩化銀電極(Ag/AgCl)と可逆水素電極(RHE)の電位はpHの影響を考慮して、次の式で換算することができる。 E(RHE) = EAg/AgCl + 0.059 pH + EoAgAgCl またEoAgAgClは25℃では次の値である。 EoAgAgCl …
25℃の水のpHを求めよう 水のイオン積は25℃の場合である。 純水の25℃でのpHを求めよう。 解答編 pHは水素イオン濃度の対数なので、まずは水素イオン濃度を求めます。 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のよう…
40℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は40℃の場合である。 純水の40℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…
25℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は25℃の場合である。 純水の25℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…
水のみの場合の水素イオン濃度・pHを求める計算方法です。 水のみの水素イオン濃度・[H3O+]・[H+] 水の電離平衡は、次のように表されます。 H2O + H2O ⇄ H3O+ + OH- よって平衡定数式は次のようになります。 しかし上の式を計算で使う場合は少ないです。なぜ…
10℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は10℃の場合である。 純水の10℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…
完全燃焼から組成式を求めよう C、H、Oから構成される物質10.0 mgを完全燃焼させた。このとき、26.4 mgのCO2と6.0 mgのH2Oが生じた。この物質の組成式を書きましょう。 原子量はH = 1.0、C = 12.0、N = 14.0、O = 16.0とする。 解答編 組成式CaHbOcNdは各元…
カール・フィッシャー法とは カール・フィッシャー法 (Karl-Fischer method) とは、水分の定量法である。 ヨウ素、二酸化硫黄、ピリジンなどを無水メタノール溶液としたものをカール・フィッシャー試薬といい、このカール・フィッシャー試薬を水分と反応させ…
酢酸のイオン解離と酸解離定数 酢酸(CH3COOH)は水溶液中では次の式のようなイオン解離が起こる。 CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO- + H3O+ この酢酸の酸解離定数は次の式で表すことができる。
水素イオン濃度からpHを計算する方法 ここでは、ある水溶液の水素イオン濃度がであるとして、pHを求めます。 pHは水素イオン濃度の対数を表す値であり、次の式によって定義されます。 上の式に水素イオン濃度を代入します。 すると、 となりpHは4.0と求める…
水のイオン積を用いると、水酸化物イオン濃度が分かればpHを計算することができます。 ここでは25 ℃とします。このとき水のイオン積は次の通りになります。 水酸化物イオンの濃度をとします。 このとき水のイオン積の式に水酸化物イオンの濃度の値を代入する…