化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

分析化学

【分析化学】緩衝液と緩衝作用・緩衝液のpHの一般式

緩衝液と緩衝作用 溶液に酸や塩基を加えたり、溶液を薄めても、pHが大きく変化しない溶液を緩衝液という。 そして緩衝液によるpHを一定に保つはたらきのことを緩衝作用という。 緩衝液は弱酸とその共役塩基、もしくは弱塩基とその共役酸の混合溶液である。 …

【分析化学】電解質の溶解の水の比誘電率とイオンの水和の影響

水が電解質を溶かす理由 水が電解質を溶かす理由については、未解明な点もあるが、水の大きな誘電率とイオンの水和が主な要因であると考えられている。 比誘電率の効果 距離((m))離れた電荷、と(C)の間に働く力(N)はクーロンの法則で考えることができる。 は…

セリワノフ反応(アルドースとケトースの識別テスト)と反応機構について

セリワノフ反応 セリワノフ反応 (Seliwanoff's test or Seliwanoff's reaction) はケトースとアルドースを識別する呈色反応である。 セリワノフはロシアの化学者 Feodor Feodorovich Selivanovに由来している。 糖のうち、ケトン基を含む糖はケトースであり…

【分析化学】測容ガラス器具(メスフラスコ・ホールピペット・ビュレット)

試薬を実験に用いる際や、未知試料の分析を行う際には、正確な濃度の測定が重要となる。この決まった濃度の溶液を調製するために、欠かせないものが測容ガラス器具である。ここでは、精密な測容器であるメスフラスコ、ホールピペット、ビュレットについて解…

炭素のβ崩壊と放射性炭素年代測定

炭素のβ崩壊と放射線炭素年代測定 14Cは放射性の不安定元素である。そして、14Cはβ線(電子線を放出して14N(が14N++ 電子)になる。この原子核の変化は1次反応として解析することができる。半減期は5730年である。 大気中の二酸化炭素の同位体14CO2は地球に…

27Al MAS NMRの配位数とケミカルシフト

27Al MAS NMR アルミニウムは地中殻中に最も多く存在する金属であり、そのため多くの化合物に含まれています。 このアルミニウムの局所構造の解析において強力な方法の一つが27Al NMRスペクトルの測定です。特に固体では、NMRはX線回折や電子線回折、赤外分…

検量線の3種類:絶対検量線法、内標準法、標準添加法

検量線の種類 機器分析定量値を求める場合には、検量線(calibration curve)を作成する方法が一般的である。 この検量線の作成方法には、絶対検量線法、内標準法、標準添加法の3つが存在する。 絶対検量線法 目的成分の標準物質から、段階的な濃度の溶液を作…

【実験の基本道具】電子天秤

電子天秤 測定を行う試料の質量の測定は。天秤によって行われてきました。天秤は原理的にシンプルであるが、高精度の測定を行うことができる器具であり、全世界で用いられています。 以前は化学天秤という形の天秤が用いられており。天秤の両方の皿に乗せた…

濃度の表し方分類まとめ:分率・モル濃度・質量モル濃度

濃度の表記方法 化学反応を取り扱ううえで、濃度は非常に重要な要素となります。この濃度の表記方法は 1. 分率 2. モル濃度 3. 質量モル濃度 の3つの大きく分けられます。 分率 分率は全体中の目的物質の割合を表す量です。溶液の場合には、溶質+溶媒中の溶…

定性分析と定量分析とは?

化学分析の基本となる定性分析と定量分析について解説しています。

銀塩化銀電極(Ag/AgCl)と可逆水素電極(RHE)の電位の換算方法

銀塩化銀電極(Ag/AgCl)と可逆水素電極(RHE)の電位の換算式 銀塩化銀電極(Ag/AgCl)と可逆水素電極(RHE)の電位はpHの影響を考慮して、次の式で換算することができる。 E(RHE) = EAg/AgCl + 0.059 pH + EoAgAgCl またEoAgAgClは25℃では次の値である。 EoAgAgCl …

【化学クイズ】25℃の水のpHを求める方法

25℃の水のpHを求めよう 水のイオン積は25℃の場合である。 純水の25℃でのpHを求めよう。 解答編 pHは水素イオン濃度の対数なので、まずは水素イオン濃度を求めます。 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のよう…

【化学クイズ】40℃の水の水素イオン濃度

40℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は40℃の場合である。 純水の40℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…

【化学クイズ】25℃の水の水素イオン濃度

25℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は25℃の場合である。 純水の25℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…

水の水素イオン濃度・pHを求める計算方法

水のみの場合の水素イオン濃度・pHを求める計算方法です。 水のみの水素イオン濃度・[H3O+]・[H+] 水の電離平衡は、次のように表されます。 H2O + H2O ⇄ H3O+ + OH- よって平衡定数式は次のようになります。 しかし上の式を計算で使う場合は少ないです。なぜ…

【化学クイズ】10℃の水の水素イオン濃度

10℃の水の水素イオン濃度を求めよう 水のイオン積は10℃の場合である。 純水の10℃でのを求めよう。 解答編 水の電離平衡は、次のようになります。 2H2O ⇄ H3O+ + OH- 反応後のをxと置くと、次のように整理できます。 H2O H3O+ OH- 反応前 56 0 0 反応後 56-2x…

【化学クイズ】完全燃焼から組成式を求める方法

完全燃焼から組成式を求めよう C、H、Oから構成される物質10.0 mgを完全燃焼させた。このとき、26.4 mgのCO2と6.0 mgのH2Oが生じた。この物質の組成式を書きましょう。 原子量はH = 1.0、C = 12.0、N = 14.0、O = 16.0とする。 解答編 組成式CaHbOcNdは各元…

カール・フィッシャー法:水分定量法

カール・フィッシャー法とは カール・フィッシャー法 (Karl-Fischer method) とは、水分の定量法である。 ヨウ素、二酸化硫黄、ピリジンなどを無水メタノール溶液としたものをカール・フィッシャー試薬といい、このカール・フィッシャー試薬を水分と反応させ…

酢酸のイオン解離と酸解離定数

酢酸のイオン解離と酸解離定数 酢酸(CH3COOH)は水溶液中では次の式のようなイオン解離が起こる。 CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO- + H3O+ この酢酸の酸解離定数は次の式で表すことができる。

水素イオン濃度からpHを計算する方法

水素イオン濃度からpHを計算する方法 ここでは、ある水溶液の水素イオン濃度がであるとして、pHを求めます。 pHは水素イオン濃度の対数を表す値であり、次の式によって定義されます。 上の式に水素イオン濃度を代入します。 すると、 となりpHは4.0と求める…

水のイオン積を用いて水酸化物イオン濃度からpHを計算する

水のイオン積を用いると、水酸化物イオン濃度が分かればpHを計算することができます。 ここでは25 ℃とします。このとき水のイオン積は次の通りになります。 水酸化物イオンの濃度をとします。 このとき水のイオン積の式に水酸化物イオンの濃度の値を代入する…

水のイオン解離と水のイオン積とpH

水のイオン解離と水のイオン積 水溶液の溶媒としての水は、水自身が次の式の反応によって水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)と水酸化物イオン(OH-)とにわずかに解離している。 H2O + H2O ⇄ H3O+ + OH- この反応は右方向と左方向の反応が同時に…

水の水分子の濃度

水の水分子の濃度 実験や分析、計算では水溶液を用いる場合が多くある。 このとき、水は溶媒であり、溶けている物質である溶質の濃度に着目することが多い。しかし、水もまた分子であるため、水の水分子の濃度も計算することができる。 ここでは計算を簡単に…

酸解離定数KaとpKa・塩基解離定数KbとpKb

酸解離定数KaとpKa 酸の解離反応の平衡定数を酸解離定数という。 弱酸 (HA) の解離を次のように表す。 各濃度をで表すとき、酸解離定数は次の式で求めることができる。 この酸解離定数の値が小さい酸ほど弱酸である。 また酸解離定数の対数にマイナスをつけ…

パルス法・パルス吸着法

パルス法 パルス法は、試料に気体分子をパルス状 (断続的) に導入し、導入した気体の量と排出された気体の量の差から 、試料の金属量や活性点量を測定する方法である。 パルス法は気体分子の吸着を利用する方法と触媒反応を利用する方法がある。 パルス吸着…

ラマン分光分析法とラマン散乱現象

ラマン分光分析法 ラマン分光分析法は分子振動に由来するラマン散乱スペクトルを測定する分析方法である。 分子振動による散乱スペクトルを測定するため、赤外吸収法と類似した測定方法である。 レーザー光を試料の局所部分に照射し、散乱ラマン線を測定する…

X線回折法(XRD法)

X線回折法 (XRD法) X線回折法 (X-ray diffraction法、XRD法) とは結晶や粉末にX線を照射し、そこで起きるX線の回折像やパターンを解析することで、結晶の原子の配列や分子の構造を調べる方法である。 結晶や分子にX線を照射すると、X線は結晶を構成する原子…

電気浸透流:キャピラリーに電圧を印加すると生じる流れ

電気浸透流とは 電気浸透流 (electro-osmotic flow, EOF) とはキャピラリーの両端に電圧を印加したときの溶媒自体の流れのことである。特にキャピラリー電気泳動において起こる。 キャピラリーとして用いるフューズドシリカキャピラリーにアルカリ性の溶液を…

キレートとキレート効果:キレートの生成定数が大きい理由

キレート 一つの金属イオンに対して、配位することのできる配位原子 (錯形成官能基) を一つしかもっていない配位子を単座配位子、一つの配位子が配位原子を二つもっているものをニ座配位子という。そして、一つの配位子が配位原子を二つ以上もっているものを…

活量係数を求める式:拡張デバイ-ヒュッケルの式・デービスの変形式

デバイ-ヒュッケルの式 デバイ-ヒュッケルの式は活量係数を計算することができる理論式である。しかし、デバイ-ヒュッケルの式は非常に希薄な溶液でなければ適用できない。 デバイ-ヒュッケルの式はイオンiの電荷を、イオンの活量係数を、溶液のイオン強度を…