検量線の種類
機器分析定量値を求める場合には、検量線(calibration curve)を作成する方法が一般的である。
この検量線の作成方法には、絶対検量線法、内標準法、標準添加法の3つが存在する。
絶対検量線法
目的成分の標準物質から、段階的な濃度の溶液を作成する。具体的には 1 ppm, 10 ppm 100 ppmなどの溶液を作成する。これらは最低でも3種類以上作成する。
これらの溶液とシヤウブランク溶液を処理して得られるシグナル強度を縦軸に。標準溶液の濃度を横軸にとり、ブランクのシグナルが0を通るような検量線を作成する。
検量線は原点を通る直線であることが理想的である。また直線の相関係数が1に近いほど理想的である。標準溶液の高濃度領域において、シグナル強度が下がるような場合でも、再現性が良好な場合はそのシグナルを検量線として用いることはでき、シグナル強度が下がる部分が一定でなくても、直線分のみを検量線として用いることはできる。
内標準法
この方法では、一定濃度の内標準物質を加えた試料溶液を作成し、この溶液をもちいることによって、試料のマトリックス効果を相殺する手法である。
内標準物質添加試料溶液の使用量を厳密に一定にする必要はないため、多少の定量操作条件の変動があってもよい手法である。
これらの理由で一般的によく利用されている。
内標準物質の選定条件は以下のとおりである。
1.目的成分に基づくシグナル位置と全く異なり、かつ近い位置にシグナルを与える物質。
2. 定量操作条件下で目的物質と同じ反応を受けるが、他の反応を受けない物質
3. 目的物質と同じマトリックス効果を受けること
4 化学的に安定で、高純度のものが容易に得られる
目的成分の段階的濃度の標準溶液(3種以上)に一定濃度の内標準溶液を一定量加える。そして、この混液の一定量について定量操作を行う。目的成分からのシグナルに対する内標準物質の与えるシグナルの強度比(目的成分のシグナル強度/内標準物質のシグナル強度)をもとめる。この比を縦軸に、目的成分濃度を横軸にとり、検量線を作成する。
検量線が原点を通る場合の直線は、シグナル強度比と目的成分濃度との関係かが概算係数をもトンてて定量値の算出を行う。
実試料の溶液には、定量操作の前に内標準溶液を加えておく必要がある。定量操作の途中、もしくは最終段階で、ある特定の物質を加えることで、シグナル強度の参考とする場合には、この物質は内標準物質の役割を果たさない場合があり、参考標準物質をいわれる。
標準添加法
適当な、内標準物質が得られず、マトリックス効果のある試料のときに用いる方法である。
同量試料溶液3個以上に目的成分の3段階以上の濃度の標準溶液をそれぞれ加えたものと、標準物質を加えてない試料溶液について定量操作を行う。得られるシグナル強度から検量線を作成する。
そして原試料中の目的成分濃度を外装して求める。この場合、検量線は直線であることが必須である。