化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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逆滴定:反応が遅い試料に行う滴定法

逆滴定とは

逆滴定 (back titration)とは、容量分析における滴定法の一種であり、間接的に試料の量を求める方法である。残余滴定もしくは余剰滴定ともいう。

逆滴定では測定の対象となる試料溶液に、試料に対して過剰量となるように既知量の標準液を加えて十分に反応させ、測定の対象となる試料の反応を完了させる。

その後、反応せずに残留している標準液を別の第二の標準液で滴定する。そして、過剰量になるように加えた標準液の量と、第二の標準液の滴定によって求めた反応せずに残留していた標準液の量の差から、目的の成分の量を間接的に求める。

式で表すと次のようになる。

測定の対象と反応した標準液の量 (mol) = 過剰に加えた標準液の量 (mol) - 逆滴定された標準液の量 (mol)

この逆滴定では、過剰量の標準液が存在する条件では、測定の対象の試料と標準液の反応が速くなることを利用している。

そのため一般的に、試料と標準液の反応が遅くて終点の判定の難しい場合や、化学平衡が速やかに達成されない場合、目的物質が不安定であり過剰の標準溶液ですみやかに反応させる必要がある場合などに使用される。

酸性溶液中の塩化物イオンや臭化物イオン、ヨウ化物イオンの定量に使われるフォルハルト法は、有名な逆滴定の一つである。