カール・フィッシャー法とは
カール・フィッシャー法 (Karl-Fischer method) とは、水分の定量法である。
ヨウ素、二酸化硫黄、ピリジンなどを無水メタノール溶液としたものをカール・フィッシャー試薬といい、このカール・フィッシャー試薬を水分と反応させる。
その反応式は次の通りになり、この反応をカール・フィッシャー反応という。
I2 + SO2 + 3C5H5N +H2O + CH3OH → 2C5H5NHI + C5H5NHSO4CH3
ピリジン以外の塩基(Base)も用いられることがあるため、塩基で式を書くと次のようになる。
I2 + SO2 + 3Base +H2O + CH3OH → 2Base HI + Base HSO4CH3
当量点を過ぎると、ヨウ素が過剰となるため、それを検出することによって終点を求めることができる。
カール・フィッシャー法には電量滴定法と容量滴定法の二つの滴定方法がある。
電量滴定法
電量滴定法はヨウ化物イオン、二酸化硫黄、塩基、アルコールなどの溶液に試料を加えた後、電解酸化を行う。このとき電解セルの陽極液のヨウ素イオンが反応してヨウ素が発生し、上で示したカール・フィッシャー反応が起こる。
ヨウ素は電気量に比例して生成し(ファラデーの法則)、ヨウ素と水は上の式より1:1で反応するため、電解酸化に使われた電気量から、水分量を求めることができる。
終点は分極電圧の変化を利用する。検出電極は一定の電流が流れており、水分が多いと分極電圧が上昇するが、カール・フィッシャー反応が進み、水分が減少すると、分極電圧が低下する。このとき測定開始時の電圧以下となる点を終点とする。
容量滴定法
容量滴定法は、滴定フラスコに脱水溶剤を入れておき、滴定剤で無水状態にしてから試料を加える。その後、カール・フィッシャー試薬を滴定液として用いて滴定を行い、その滴定量から試料中の水分量を求める。
終点の検出には電量滴定法と同様に分極電圧の変化を用いる。