化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

2022-02-24から1日間の記事一覧

27Al MAS NMRの配位数とケミカルシフト

27Al MAS NMR アルミニウムは地中殻中に最も多く存在する金属であり、そのため多くの化合物に含まれています。 このアルミニウムの局所構造の解析において強力な方法の一つが27Al NMRスペクトルの測定です。特に固体では、NMRはX線回折や電子線回折、赤外分…

イオン半径比と配位数の関係

イオン半径比と配位数 一般的に1価のイオン性化合物MXの全クーロンポテンシャルエネルギーは次の式で表すことができる。 ここで、はアボガドロ定数、はマーデルング定数、{tex: R]はイオン間距離である。この式から考えると、A/R比が大きくなる構造が安定で…

格子エンタルピーとボルンハーバーサイクル

格子エンタルピーとイオン結晶の構造安定性 定温、低圧におけるイオン結晶の構造安定性は、結晶構造が各イオンから形成される際のギブズの自由エネルギー変化の大きさに依存する。しかしながら、格子形成は非常に発熱的であり、エントロピー項は相対的に無視…

自主ゼミ(勉強会)の開催の仕方

自主ゼミ(勉強会)の開催の仕方 自主ゼミや勉強会とは、ここでは大学の単位とは関係なく学生が学習したいことを学習することとします。 自主ゼミを始めたい場合は、「何をどう学びたいのか」をまず明確にしましょう。これを学びたいという問題意識がどこかに…

金属光沢が起こる理由(金属光沢とプラズマ振動)

金属光沢とプラズマ振動 金属光沢は、金属に入射した光が金属内部を透過せずに、表面近傍から反射するために起こる現象です。金属結合している金属は光を内部に通すことはありません。一方で、イオン結合や共有結合している物質である金属酸化物や金属塩は光…

アルミニウム(ジュラルミン)と時効析出

アルミニウムと時効析出 アルミニウムに銅を4%程度固溶させて、溶体化処理をおこないその後、時効処理を行うと強度の高いアルミニウム合金が得られます。これはジュラルミンと呼ばれています。さらにマグネシウムを添加すると超ジュラルミン、超々ジュラルミ…

卒業研究の指導教員と付き合い方

卒業研究では、研究室のなかでも、指導教員が決まっており、その指導教員から教育を受けながら、卒業研究を進めることが多くなります。この指導教員との付き合い方を簡単に紹介します。 指導教員を自分が決定できる場合には、研究内容や指導方法を直接聞いて…

合金の時効処理と析出と相変態

合金の時効処理 時効処理は、溶体化処理を行った合金を、急冷して過飽和固溶体にし、常温保持の常温時効か、昇温加熱後定温保持する人工時効を行い、析出物を徐々に析出させる操作のことです。 溶体化させた合金の性質は時間が経つとともに変化します。この…

合金の寸法因子と価電子濃度

寸法因子 合金の固溶は、固溶される金属Aの原子半径の大きさと溶け込む元素Bの原子半径との比が重要になります。この比を寸法因子といいます。この寸法因子はヒュームロザリーの経験則に基づく法則であり、原子容積効果ともいわれます。 鉄に対するさまざま…

金属のすべり方向と結晶構造

金属のすべり方向 金属は展性や延性といわれる変形がしやすい性質を持っています。 金属の結晶構造では、同一平面上に最も多くの原子が含まれる細密面が移動しやすいすべり方向と関係があります。 すべり方向とは、結晶構造で一番原子密度の大きい面を調べ、…

合金の作製方法の解説と共晶合金・包晶合金

合金・固溶体 複数の金属元素を混ぜ合わせて、均質に溶かし込んだ状態の固体金属を合金、もしくは固溶体と呼びます。このとき、混ぜ合わせる金属の量を変化させて、合金の組成を0%から100%まで変化させることで、用途に応じた性質を発現させることができます…