化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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合金の時効処理と析出と相変態

合金の時効処理

時効処理は、溶体化処理を行った合金を、急冷して過飽和固溶体にし、常温保持の常温時効か、昇温加熱後定温保持する人工時効を行い、析出物を徐々に析出させる操作のことです。

溶体化させた合金の性質は時間が経つとともに変化します。この場合の析出物は安定しておらず、成長し続けるため、準安定相といいます。

急冷せずに徐冷を行うと、析出物は十分に成長し、これ以上性質が変化しなし安定相を得ることができます。

析出と相変態

溶体化処理をされて完全固溶したあと、急冷却されて過飽和状態になった組織は時間が経過するとともに時効析出が起こります。金属の時効とは、時間経過で性質が変化することを指します。具体的には、硬くなる、析出物が増える、大きくなどが起こりえます。この時効析出は大きく分けて、スピノーダル分解、不連続析出、均一核生成、不均一核生成の4つに分類ができます。

スピノーダル分解は母相α中に成分濃度のゆらぎや原子の拡散が生じることで、析出相βが生成します。核の発生を必要とせず、濃度差の拡大が相分離を進行させます。濃度ゆらぎは波状になり、特定の波長のとき成長速度が大きくなるため、スピノーダル分解によって生成した組織は周期的な構造になります。

不連続析出は母相αの粒界から相βが析出します。粒界から析出し、そのまま全面に析出相βが析出する場合ち、途中まで粒界析出が進行し、途中からβ核が粒子内に析出する場合があります。

均一核生成は、母相αの粒内にβが核生成し、拡散成長していく相変態です。

不均一核生成は、βの生成場所が粒内や粒界ではなく。結晶粒界上に析出したり、結晶粒の三重点上に析出したり、結晶のコーナー箇所に析出する減少です。