化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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サイズ排除クロマトグラフィー、カラム充填剤について

サイズ排除クロマトグラフィーとは

サイズ排除クロマトグラフィー (Size exclusion chromatography, SEC)は、分子ふるい効果を利用するクロマトグラフィーの総称であり、分子ふるいクロマトグラフィーともいう。サイズ排除クロマトグラフィーはカラム充填剤として多孔性の粒子を用いるクロマトグラフィーである。

充填剤細孔内への洋室の浸透性の違い(溶質の大きさの違い)によって分離が行われる。三次元的な網目構造をもつゲルの内部に浸透できるかどうかによって、大きさの異なる分子が分離される。通常、分子量の大きい分子が先に溶出する。

サイズ排除クロマトグラフィーはタンパク質やペプチド、多糖類などの生化学関係物質の分子量の測定や脱塩処理などに利用されていたが、その後プラスチックやゴム、繊維などの高分子やオリゴマー、高沸点有機物などにも適用されるようになっている。

カラム充填剤について

カラム充填剤は大きく分けて、硬質充填剤、半硬質充填剤(中硬質充填剤)、軟質充填剤の3種類に分類することができる。

・硬質充填剤 (rigid gel)

多孔質シリカ、多孔性ガラスなどの無機充填剤が硬質充填剤である。粒径は均一であり、溶媒の透過性がよく、水系、有機溶媒系のどちらにも適用することができる。

また硬質充填剤は熱的、化学的、機械的に安定であり、カラムへの充填も容易であるため、高圧下で使用されることもある。

・半硬質充填剤 (semi-rigid gel)

有機系充填剤であるポリスチレンゲルなどが半硬質充填剤である。

半硬質充填剤を充填したカラムは溶媒の透過性がよく、短い時間で分離することができる。

ゲルの細孔の種類が豊富であり、溶媒が適切であれば吸着の問題も少ないため、合成高分子の分子量分布の測定などに用いられている。

・軟質充填剤 (soft gel)

架橋デキストランゲル(Sephadex)と架橋ポリアクリルアミドゲルなどが軟質充填剤である。水系で用いることができる。膨潤性があり、ゲル内部の空隙が大きいため、低圧で用いた際に優れた分解能を示す。

移動相溶媒について

移動相溶媒は、分析試料をよく溶かし、カラム充填剤に用いるゲルと極性が類似しているものが選ばれる。ゲルと溶媒の適合が悪い場合、ゲルが充分に膨潤せず、溶質のゲルへの吸着のやテーリングなどの問題が起きる。

また移動相として水系溶媒を用いるものをゲル濾過クロマトグラフィー、有機溶媒を用いるものをゲル浸透クロマトグラフィーという。