化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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合金の作製方法の解説と共晶合金・包晶合金

合金・固溶体

複数の金属元素を混ぜ合わせて、均質に溶かし込んだ状態の固体金属を合金、もしくは固溶体と呼びます。このとき、混ぜ合わせる金属の量を変化させて、合金の組成を0%から100%まで変化させることで、用途に応じた性質を発現させることができます。

合金を作製する一般的な方法は、まず液相になるまで温度を上げ、完全に溶け込んだ液体合金にします。そして温度を下げていくと、固液共存相になり、αやβなどの固体が晶出します。そして、さらに温度を下げていくと、液相が固体になり、一定組成の合金が作製できます。合金の組成や、冷却速度によって得られる合金の結晶構造などは異なります。

共晶合金・包晶合金

合金の組織は凝固形態によって共晶や共析などの合金組成が発現します。

共晶合金は、凝固するときに、液相Lが固相αと固相βに分解してできる合金です。例えば、錫と鉛の合金であるはんだは低融点な共晶合金です。

共晶反応では、αとβが交互に晶出して、層状になっています。この反応を共晶反応といいます。共晶反応点は、一般的には低融点になります。

包晶合金は、液相Lから初析αが晶出し、その周囲を囲むようにβ相が成長します。こういった反応を包晶反応といいます。