化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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金属光沢が起こる理由(金属光沢とプラズマ振動)

金属光沢とプラズマ振動

金属光沢は、金属に入射した光が金属内部を透過せずに、表面近傍から反射するために起こる現象です。金属結合している金属は光を内部に通すことはありません。一方で、イオン結合や共有結合している物質である金属酸化物や金属塩は光が透過します。

金属結合している金属には自由電子が存在しています。電子は電気的にはマイナスです。ここに光が入射すると光の電磁波によって金属表面近傍の自由電子は加速されて弾かれ移動します。移動した自由電子群はその後、もとの場所に戻ってきますが、慣性力で電子が振動し続けます。これをプラズマ振動といいます。

金属のプラズマ振動数は可視光よりも高い紫外線の周波数です。こうして自由電子は可視光の振動数よりも速く動くため、光の侵入を阻みます。

表面で弾き返された光の電磁波は金属元素の種類特有のプラズマ振動による特有波長の吸収を受けています。太陽光などの白色光の金属光沢は、金属の表面で特有の波長の吸収を受けており、銅は褐色、銀は白銀色、金は黄金色といった金属固有の金属光沢色が見られます。