化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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金属のすべり方向と結晶構造

金属のすべり方向

金属は展性延性といわれる変形がしやすい性質を持っています。

金属の結晶構造では、同一平面上に最も多くの原子が含まれる細密面が移動しやすいすべり方向と関係があります。

すべり方向とは、結晶構造で一番原子密度の大きい面を調べ、その面に沿って滑りが生じたときに、滑っていく方向のことです。

面心立方構造はすべり方向が12方向と最も多く、等方的変形がしやすい性質があります。常温で加工がしやすい金や銀、銅、ニッケル、鉛などは面心立方構造をもつ金属です。

反対にマグネシウムや亜鉛などの六方最密構造では、すべり方向が3と少ないため、異方性をもち、加工がしにくいという特徴をもっています。