化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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塩化セシウム型構造についての解説

塩化セシウム型構造とは

塩化セシウム (CsCl) の構造の単位格子は、セシウムイオン (Cs) が立方体の中心に位置し、頂点にある8個の塩化物イオン (Cl) に囲まれている構造である。これは逆に、頂点にセシウムイオンを配置し、中心に塩化物イオンを配置するように描くことも可能である。

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これは、塩化セシウム型構造が、相互に混じり合う2つの単純立方格子配列によって構成されている構造だからである。しかしながら、塩化セシウムの構造は体心立方構造ではない。これは、格子の中心にあるイオンと頂点にあるイオンが同じではないからである。 

各セシウムイオンは、立方体の頂点にある8個の塩化物イオンに囲まれている。また、各塩化物イオンは、8個のセシウムイオンに囲まれている。よって、各原子の配位数は8である。これは、各イオンの周りになるべく多くの対イオンが来るような配位がエネルギー的に有利であり、陽イオンと陰イオンの半径が近いため、そのような配位をとることができる。

また、正味の単位格子には、CsClの1式量単位分が含まれている。塩化セシウムのようなイオン構造では、各イオンが逆符号の電荷をにつイオンによって囲まれているため、CsClの1分子という区別はできない。

塩化セシウム型構造をとる化合物

塩化セシウム型構造として、結晶化する化合物にはCsBr、CsI、TlCl、TlBr、TlI、CaS、NH4Clなどがある。

また、1:1の合金には2種類の金属原子からなる塩化セシウム型構造をとる合金がある。例えば、AlFeやCuZnは塩化セシウム型構造である。