自由度
物理化学や熱力学において、系の状態は温度、圧力、モル分率などの組成などの示強性変数によって決定される。こういった変数の中で、系の状態を決定するために自由に(独立に)定めることのできる示強性変数の数を自由度という。
ギブズの相律の導出
ここで個の成分を含む系において、個の相が共存しており、平衡状態にある場合を考える。
このとき、各相()は個の成分を含んでいる。そのため、各相の組成(例えばモル分率など)はである。よって()個のモル分率を指定する必要があるということになる。
つまり、各相の状態は、これに温度と圧力の合計2を加えた、()個の示強性変数によって決定することができる。ここで相の数が個あるため、全体としては個の示強性変数が存在する。
ここで平衡状態であることを考慮する。
まず、熱的平衡によって、各相の温度が互いに等しくなるため、以下の条件が成り立つ。
力学的平衡によって、各相の圧力が互いに等しくなるため、以下の条件が成り立つ。
物質的平衡によって、各成分の化学ポテンシャルが各相間で互いに等しくなるため、以下の条件が成り立つ。
これらの結果、各変数ついて、以下の通り、個の等式が成り立つ。
よって、自由に決定することのできる示強性変数の数である自由度は以下のように導くことができる。
これは、ギブズの相律といわれる。
ただし、これは、化学反応が系内で起こらない場合である。化学において、系内で化学反応が起こる場合、各成分間に成り立つ化学平衡式によって、独立成分の数が決定される。