大学の教員はもちろん、大学院生であっても、大学の若手教員の待遇が悪いという話を聞いたことがある人は多いと思います。例えば、長時間の労働や、研究以外の仕事や雑用、業務の増加や押しつけなどがあり、その影響で論文などの研究成果を出せてない人もい…
NMRスペクトル (NMRチャート)は有機化合物の同定において、非常に有用で強力なツールであることは、化学に携わったことがある人にはよく知られていることです。 一方で、化学やNMRの初心者にとっては、NMRスペクトルはハードルが高いものかもしれません。そ…
博士課程の学生はうつ病のリスクが高い 博士課程の学生が、うつ病などの精神障害などを患うリスクが他の職業の方より高いということは、世界各国の調査結果が論文などでも報告されています。 最近は多少は世間の見る目や理解も変わっており、博士課程の間に…
1年で多くのニュースがありますが、各業界や界隈でそれぞれ注目されたニュースがあると思います。研究などでは、各分野で注目された論文などもあるはずです。 今回は、compoundchem.com が化学界の2022年のビッグ化学ニュースを発表していましたので、ここで…
群論と対称操作・対称要素 恒等操作 n回回転 鏡映 (反射) 反転操作 回映 分子の点群 点群を決めるフローチャート C1点群 C∞v点群 D∞h点群 Td点群・Oh点群・Ih点群 群論と対称操作・対称要素 分子の対称性は、分子の物理的性質や光学的性質に影響を与え、反応…
錯体の配位数 配位子の数は中心金属の配位数という。固体の場合と同じように、化合物によって配位数はさまざまな値をとる。配位数の最大は12である。 錯体の配位数を決定する要素は、主に以下の3つである。 中心原子、中心イオンの大きさ 立体障害:配位子間…
大学図書館活用術 大学に在籍している方は勉強やレポート、研究で利用しなければもったいないのが、大学の図書館です。図書館というと本を借りる場所というイメージがある人もいると思いますが、他にも活用方法があります。 大学によって、サービスが異なる…
式量電位 標準電極電位()は、標準状態における電位の値である。これは、化学種の活量が1の場合であることを意味している。一方で、半反応の電位は、溶液の条件によって変化する。 例えば の反応の標準電極電位は1.61 Vである。しかしながら、実際には溶液に…
錯形成反応 多くの金属イオンは、さまざまな配位子(錯形成剤)と平衡にある場合、ほとんど解離しない錯体を形成する。この錯形成を上手に利用し、ターゲットではない反応を遮蔽することで、錯体を分析化学に利用することができる。つまり、多くの金属イオン種…
調和振動子 波動方程式を用いる例として有名なものに調和振動子がある。 調和振動子とは、バネを用いる際の実験や計算でよく使われるフックの法則に従って、位置エネルギーが上昇すると平衡点へ戻すような力が働き振動するものである。 化学では、二原子分子…
熱力学で重要な"系" 熱力学では、系と、その系を決める境界を正しく考えておくことが重用である。 熱力学の系とは、注目する物理空間の任意の3次元領域のことをいう。通常は一度に一つの系だけを考え、これを系と略して呼ぶことが多い。他の部分は系の周囲と…
二粒子系の波動方程式 二粒子系の波動方程式は次のように考えることで、粒子1個の問題として取り扱うことができるようになり、簡単になる。 二粒子系 質量がとの2個の粒子が、それぞれ速度とをもっている。そして、位置エネルギーで運動しているとする。 こ…
ネルンストの式 電気化学や分析化学において、電極電位を考えることが必要になることが多い。 標準電極電位は酸化体と還元体などの、全ての化学種の活量が1の場合である。標準電極電位は記号はで表されることが多い。 この標準電極電位が決められた後、ネル…
この記事はChemistry worldの記事を参考に執筆しております。ご興味のある方は、そちらの記事も御覧ください。 研究は終了までに長い時間がかかります。また、実験は期待通りの結果がでなかったり、失敗することも多いものです。また日本でも競争が激しくな…
生体内の錯体反応 生体内の反応でも、錯体に関する反応が起こっている。特に血液中のヘムに関しては、よく知られている。 血液中のヘムは鉄を強く保持している。これはヘムの窒素原子が鉄と強い配位結合を形成するためである。 鉄(鉄(II))は、酸素分子と結合…
査読ガチャ 査読ガチャって聞いたことはありますか? 厳密な定義は無いと思われますが、論文投稿の査読のプロセスにおいて、どのような査読者(reviewer) が査読するかが、論文の掲載受理(accept)のされやすさに影響することだといえると思います。 正確な起…
研究活動において、過去の文献を読むということは非常に重要です。 理系の研究であれば、過去に出版されている論文を適切に検索し、実験や考察の参考にし、必要に応じて、論文でも引用することが求められます。 でも、その"過去の論文を探しても見つけられな…
理系であれば、大学の3年後期や4年生から研究室に配属され、卒業研究に従事する学生が多いです。研究室に配属されると、研究テーマを決め、その研究に集中して取り組むことになりますが、この研究テーマの中には、研究室に配属されたての学生が避けたほうが…
共存イオン効果とは 溶液中に共存するイオンが電解質の解離や、溶解度へ影響を与える効果のことである。 一般的に共存する塩(ただし平衡に関与する共通するイオンは含まない)は、弱電解質の解離や沈殿の溶解度を増加させる。 陽イオンは反対符号である陰イオ…
Writefull 学術論文を執筆する際は、ほぼ間違いなく英語で執筆するのが、現在の主流です。 ただ、英語で文章を書くのは、慣れてないとなかなか大変です。他の論文の英文を借用しようとする人もいますが、きちんと単語や文章を変えて借用しないと、盗用や剽窃…
毎年、ClarivateからHigly Cited Researchers (直訳すると、高被引用論文著者)が発表されています。2022年の報告についても発表がされています。 被引用回数についての解説 被引用について、詳しくない方に説明しますと、科学では最新の研究成果を論文として…
ケルダール分析とは ケルダール分析 (ケルダール法)は、ドイツの化学者ケルダールが開発した、タンパク質分析の方法の1つである。 ケルダール分析は、タンパク質などの窒素含有化合物に含まれる窒素を正確に分析する方法である。タンパク質中の窒素含有率か…
モル平衡濃度 化学平衡は、化学平衡の法則や質量作用の法則によって考えていくことができる。さらに、活量でより詳細に考えることができる。 しかしながら、溶質であれば、モル濃度で簡易的に代用することができる。 以下のような化学平衡を考える。 ここで…
2025年版 トップ10スキル 少し古い話ですが、2020年10月に世界経済フォーラムで発表された主にビジネスパーソンに2025年に求められるトップ10スキルの内容を、どこかで目にした方は多いのではないでしょうか。 そのスキルの内容は以下の10種です。 引用 Worl…
大学関連のニュースを目にする方は、最近は、東京大学の女性教員300人採用計画のような、女性教員の採用を加速させる取り組みのニュースを目にした方もいるのではないかと思います。 まずは現状を整理しましょう。 2022年現在、大学では女性研究者や女性教員…
過マンガン酸カリウム滴定法 過マンガン酸カリウム滴定法は、頻繁に用いられる滴定法の1つである。 過マンガン酸カリウム滴定法の利点の1つは、終点の検出に指示薬がいらないことである。過マンガン酸カリウム標準溶液は、それ自体がMnO4-の赤紫色をしてお…
大学などで研究を行い、論文を執筆し、1st author(第一著者)の論文を2報や3報とacceptまで準備し、さらに博士論文の執筆や、海外ではDefense(ディフェンス)とも呼ばれる審査会や公聴会をやり遂げて得ることのできる資格が博士号です。 修士課程などの大学院…
大学の理系の学部4年生は1年間程度研究室に配属され、卒業研究を行い、卒業論文を執筆し、その内容を審査する教員の前で発表することが多いと思います。この記事では、参考文献のnature communicationに発表されている論文を題材に使用して、卒論発表(研究発…
この記事は研究室やゼミに配属されて日が浅い学生を主な対象にしています。 大学で研究室に配属されると、順番に発表者が教科書の一部の担当部分や最近の論文、本人の研究の進捗などを発表するゼミやセミナーなどが実施されていることが多いです。 発表者が…
分配平衡・分配係数・分配比 分配について考えるために、物質が溶媒に溶けることについて考える。 塩や極性分子は水によく溶ける。一方で、無極性の有機分子は水に溶けにくい。 反対に、ベンゼンのような無極性の有機溶媒には、塩や極性分子は溶けにくいが、…