化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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博士課程学生がやる気のでない時にできる8つのこと

博士課程は博士号を取得するための最後のステップですが、最近は博士課程の実情も正しく学生に伝わるようになり、特に日本ではやる気のない学生が博士課程に進学するというケースは、まれになってきていると思います。ただ、博士課程は通常でも3年間と比較的長く、中だるみや、博士課程に進学当初のやる気やモチベーションが失われることも少なくないと思います。

また、博士課程も研究者ですが、企業や大学に勤めている研究者とはギャップがあります。まず、報酬体系や収入が全くことなり、金銭的なモチベーションは引き出しづらいという点が異なります。さらに、昨今の研究者は特に、短い期間でも違う研究室に移ったり、全く新しい分野に挑戦したり、共同研究を行うことができやすい環境もありますが、最終的に1つの専門分野で体系的な博士論文を完成させる必要がある博士課程では、制約にも差が出ます。

独特の環境の博士課程の大学院生だからこそ、いろいろな手法でやる気を引き出す必要があるのではないでしょうか?

また、やる気の低下は、おかしいというメンタルからの警告のサインともいえます。これを放置しておくと、博士号が取れないといった最悪のケースにつながるかもしれません。

1. 当初のビジョンを振り返る

博士課程に進学した時に、多くの学生は「博士号を取得したい」という目標以外にも、夢や目標、ビジョンをもっていたのではないでしょうか?

  • この化合物の合成を成功させたい
  • この研究を続けて、未解明のメカニズムを明らかにしたい
  • 高性能な材料を開発したい

中には、それがうまくいけば、NatureやScienceに掲載されるレベルの内容を考えたことがある人もいると思います。
一方で、目の前の実験や解析やToDoリストのような地道な作業に集中していると、当初の目標や最終的な壮大なビジョンを忘れてしまうことも少なくないと思います。
忙しいと、全体像を見失うことがありますが、そうならないようにしておくといいでしょう。

いい意味で初心を思い起こして、進学当初のやる気を引き出してはいかがでしょうか。

2. Small Winを祝う

Small Win、小さな成功、プチ成功など表現はいろいろできると思いますが、論文のacceptや学振の採用のような大きなイベントや成功だけでなく、日頃の研究や実験の小さな成功や目標の達成、論文の原稿の完成や投稿といった過程でも、自分にご褒美を与えてみましょう。

また、博士課程は3年と長いですが、各タスクは小さなものに分割できるはずです。上手に分割して、確実にマイルストーンまで到達していくことも重要です。

また、指導教員などは研究での欠点などはすぐに指摘するかもしれませんが、褒めることは少ないかもしれません。
特に、実験や解析などで、マンネリ化しているときは、気分を転換するイベントや出来事を自分で用意することもテクニックです。

3. 別の分野でやる気をだす

中学校や高校の生活や周りの学生を振り返ると、例えば部活で頑張っている学生が、学業の成績も向上するというケースを見たり経験したことはないでしょうか?

ワークライフバランスという言葉も一般的になったように、研究以外の取り組みやプライベートを充実させることで、良い意味で相互作用し、研究へのモチベーションの向上にも繋げることができる可能性があります。

真面目な学生や、成果が上がっていない学生の中には研究以外のことに多くの時間を費やすことに罪悪感のようなものを感じる人もいるかもしれませんが、趣味やスポーツなどに取り組んでやる気を出すことで、研究へのモチベーションも取り戻せるかもしれません。

また、趣味やスポーツに使える時間を捻出できるように、時間をスケジュールを管理すると、メリハリや時間のマネジメントができることで、効率も上がる効果も期待できます。

4. 仲間や指導教員などに話す

博士課程は、学生の数も決して多くなく、孤立してしまうこともあるかもしれません。ただ、仲間や他の学生が自分と同じようにやる気が出ないと悩んでいるケースも珍しくありません。仲間と悩みを共有することで、解決策が見つかることも考えられます。

また、指導教員などは、基本的に博士課程を経験したり、学生を多く見てきていると思います。相談をすることで、適切な解決策を示してくれるケースも多いと思います。

5. 朝昼晩の3食、バランスよくしっかり食べる

研究や実験のために、食事を抜いたりする学生も多いかもしれません。しかしながら、当たり前の知識として、食事が不足すると血糖値が上昇しませんが、頭を使って集中するためには、この血糖値も重要な要素となります。つまり、やる気や集中力には、食事も強く影響しています。
少なくとも、朝食と昼食を時間をかけて、食べられるような生活を心がけていくべきでしょう。また、体に必要な栄養素が不足している場合には、そういった栄養素も補っていく必要があります。

6. 水を飲む

意外な指摘かもしれませんが、水を飲むということは非常に重要です。こちらも当たり前のことですが、体の機能を維持するためには、充分な水分を取ることが不可欠です。ただ、実験や研究で忙しいと水分を補給を忘れるということが、起こることも多いです。そのため、軽い脱水症状のようになってしまうことがあります。
また、実験室や測定室などでは、実験条件や装置を安定させるために、エアコンで温度を調節したり、意図的に湿度が低い環境にしておく場合もあります。そういった場合は、環境が非常に乾燥している点も理解しておく必要があります。
さらに学生がよく飲むコーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインには利尿作用があるので、飲み物を飲んだつもりでも、体から多くの水分が排出されているということもあります。

7. 休憩する・ちゃんと睡眠をとる

休憩時間や睡眠時間は、意識しないと、どの程度確保しているのかという認識が曖昧になるととがあります。やる気がない、集中力がないという日は、実は睡眠不足だったということもあります。
体に疲れが溜まっているなら、休憩や睡眠によって、体を休息させることで、心身の健康やパフォーマンスを回復させることができます。

8. 自分に投資をする

特に金銭面で余裕のない学生は、自分にお金を使うことに対して、躊躇することがあるかもしれません。しかしながら、お金を使うことで、心身の健康を維持できるケースも多いです。
これは人によって、さまざまなので、共通の答えはありません。例えば、寝具など睡眠環境を改善させたり、衣服などを機能性の高いものを購入することで、快適に過ごせることもあるかもしれません。