学振などの申請書では、わかりやすい文章にするために何度も推敲や改訂を繰り返していくと思います。内容はもちろんですが、文章自体も書き方次第で、わかりやすさや伝わりやすさに違いが生まれます。
文章の推敲の方法は、様々なパターンを書いてみて、自分や周りの人に読んでもらう方法も1つです。しかしながら、共通のわかりやすい文章への直し方のパターンといったものも存在します。ここでは、参考になるように、そういった修正の方針を紹介します。
シンプルな文章にする
1文が長い文章は、意味がぼやけたり、相手にハッキリ伝わらないことがあります。そこで文章中の1文をシンプルにするという修正は定番の推敲方針です。
つまり、文章をシンプルにするメリットは、”内容が伝わりやすくなること”です。
では、具体的には、どういった点を気を付けて修正すればいいかを紹介していきます。
必要のない余計な言葉を削る
文章の中で、必要がない単語など、削っても問題ない言葉が存在することがよくあります。そういった言葉は削ることができないか、検討してみるといいでしょう。
削る際の候補となりやすい言葉としてよく挙げられるのは、次の6つです。
1. 副詞
「非常に」「とても」「大変」「だいぶ」「かなり」「すごく」などの副詞は、日常や研究発表などでも意図的に使うケースも多くあります。しかしながら、文章においては、削っても、文章の意味が変わらない単語の典型的な例となります。
2. 接続詞
「しかしながら」「そのため」「だから」「そして」などの接続詞は、文章の繋がりをわかりやすくしますが、すべての文の前に入っている必要がないこともあります。
3. 主語
「申請者は」「私は」などの主語がなくても意味が伝わる文も多くあります。特に申請書などでは、申請者が行うことが明確な場合には、「申請者は」などは入れすぎると、くどい文章になりかねません。
4. 指示語
「あれは」「これは」「それは」「その」などの指示語は、使いやすく、文章の文字数を少なくするために便利な単語です。しかしながら、使い方を誤ると、意図している意味が正しく伝わらなくなるケースもあります。また、指示語が必要ないケースもあります。
5. 形容詞
「大きい」「小さい」「高い」「低い」などの形容詞ですが、使う文によっては、ただの主観や、執筆者の感想に近いものになり、文から除いた方がいい場合もあります。
6. 意味が重複している単語
「世界中のいたるところの研究者が」→「世界中の研究者が」
といったように、類語の重複している文章は推敲の対象として考えることができます。
1文の目安を40~60文字で考える
1文が長すぎると、文の意味を読み取ることが難しくなるケースが多くあります。文章を読んでみて、1文が80文字以上であれば長すぎるというのが一般的にいわれる意見です。すべての文の文字数を確認する必要があるとはいいません。しかしながら、1文が長い場合は、文章を2つの文に分けることができないかを検討してみるといいでしょう。
1文1メッセージにする
研究発表などのプレゼンテーション資料を作る際は、1スライド 1メッセージという原則を聞いたことがある人も多いかもしれません。
同じように、1つの文につき、1つのメッセージという意識で文章を考えると、文がシンプルで、文字数も少なくなるケースが多いです。
同じ言葉の重複を避ける
例えば
"MOFは、大きな表面積をもっていること、多孔質構造をもっていること、調整可能な有機リンカーや金属クラスターをもっていることから、触媒として理想的な材料です。
上の文であれば、"もっていること"という言葉が繰り返されていますが、この言葉を省略したり、言い換えることで、文章がシンプルになります。
シンプルな文にすることでストレスの少ない文章に
上で挙げた点などを活用して、文をシンプルにすると、意味が伝わりやりやすくなるケースが多いです。その結果、審査で"何度も読み直して意味を取る必要がなくなり"、ストレスの少ない文章になります。
申請書などの審査を人間が行う場合は、絶対といえることはありませんが、こういった点を意識することで、よりわかりやすく、採択率の上がる申請書になるかもしれません。