大学などで研究を行い、論文を執筆し、1st author(第一著者)の論文を2報や3報とacceptまで準備し、さらに博士論文の執筆や、海外ではDefense(ディフェンス)とも呼ばれる審査会や公聴会をやり遂げて得ることのできる資格が博士号です。
修士課程などの大学院に進学した経験のある人であれば、この大変さは少しは想像ができると思います。
一方で「博士号は足の裏の米粒」って言葉聞いたことはありますか?
おそらく日本では数十年前から言われているであろう例えです。意味は人によって多少異なりますが、大きく以下の2つです。
- とらないと気になる
- とっても食えない
とらないと気になる
特に修士号をもっている企業などの研究者に多いのですが、周りに博士号をもっている人がいたりすると、憧れのようなものがあるようです。これが「とらないと気になる」に繋がっています。
他にも、経済的な事情などで、不本意ながら博士号を諦めたという方もいます。
また博士号までを山登りに例えると、修士課程は山の中腹というような印象があるようです。研究を続けていくと(山に登り続けていくと)、博士号をとれたのでは、という思いを抱く人もいるようです。
とっても食えない
博士号をとっても、博士号は研究者としての運転免許証のようなもので、特に大学の研究室などのアカデミックであれば、もっていて当たり前のものです。博士号をもっていれば、大学の研究室で必ずポスドクして雇用してもらえるかというと、そんなことはありません。また、ポスドクなどの賃金も決して高いわけではありません。
また、残念なことに、企業でも博士号を高く評価していないケースがあるのも事実です。人によっては、社会人経験のない博士は扱いにくいというイメージを抱く方もいるようです。
このように、就職先が見つかりにくかったり、高い賃金が得られないことを指しているケースが多いようです。
誰が言っているの?
そもそも「博士号は足の裏の米粒」と言っている人は、大学の教員であったり、ポスドクであったり、研究者であったり、博士号を持っている方が言っています。
博士号を意識してる学生や研究者との関わりの少ない人が、初めてこれを聞くと、
- 博士号って馬鹿にされているのかな?
- イヤミを言われているのかな?
- 博士号の取得を反対されているのかな?
- ウマいことを言おうとしたのかな?
などと感じる人もいるようですが、基本的に的外れです。これを言っている人は、博士号を取得する大変さなどは充分に理解しているケースが大半です。
論文博士と言われる博士課程の学生としての経験がない方の場合はパターンが様々ですが、課程博士といわれる博士課程の学生として大学の研究室で学生として研究を続けた方は、似たような苦労や努力をしている方も多く、最近も支援などの面でも、大きな変化はありません。
つまり・・・
「博士号は足の裏の米粒」っていうのは、博士号をもっている人の自虐ネタだと捉えておいて問題ありません。
「博士号は足の裏の米粒だよね」って言葉を深刻に受け止める必要は全くありません。