ハーフセルとフルセル
リチウムイオン電池やポスト・リチウムイオン電池の研究開発において、ハーフセルとフルセルが使われる。
ハーフセルは正極や負極にLiなどを用いたセル(電池)である。
フルセルは正極と負極の両方に通常の電極材料が用いられているセルである。
ハーフセルを用いる理由
リチウムイオン電池やリチウムイオン電池に替わる次世代のリチウムイオン電池(ポスト ・リチウムイオン電池)の研究開発では、電極の材料などを開発し、その電池としての充放電特性などの性能を評価することが多い。
このとき、電極の材料は正極のみを開発したり、負極のみを開発するという研究が行われることも多い。例えば正極のみの性能を評価したい場合、負極は実用的な電極(例えば、正極はリン酸鉄リチウム、負極はグラファイト)などを用いるよりも挙動がシンプルなリチウム金属を対極(評価したい電極と反対の電極)と参照電極として機能させた電気化学セルで評価するという手法が取られる。
つまり、正極と負極に実用的な電極を用いるフルセルでは、正極と負極の組み合わせを考慮したうえで挙動などを考える必要があるが、片方の電極をLiにしたハーフセルでは、挙動がフルセルよりもシンプルとなるため、電極の性能や挙動の理解がしやすくなるため、ハーフセルが用いられる。
特にリチウム金属は参照電位が安定しており、その比容量は3860mAh/gと大きいため、リチウム金属を用いるハーフセルの評価では、評価したい電極の挙動が対極に制限されないというメリットがある。
一方で、フルセルの場合は、実用的な電極を用いる以外に、正極と負極の容量のバランスも考える必要がある。
また電池の評価の実験では、スマートフォンなどに入っているラミネートされたセルではなく、下の図のBようなコイン型のセルで評価が行われることも多い。