用語解説
ハルコン法 ハルコン法 (Halcon process) は、酸化プロペンおよびスチレンの合成方法である。 ハルコン法にもいくつか種類があるが、代表的なハルコン法は、エチルベンゼンとプロペンからスチレンと酸化プロペンを合成する方式であり、スチレンと酸化プロペ…
パルス法 パルス法は、試料に気体分子をパルス状 (断続的) に導入し、導入した気体の量と排出された気体の量の差から 、試料の金属量や活性点量を測定する方法である。 パルス法は気体分子の吸着を利用する方法と触媒反応を利用する方法がある。 パルス吸着…
ラマン分光分析法 ラマン分光分析法は分子振動に由来するラマン散乱スペクトルを測定する分析方法である。 分子振動による散乱スペクトルを測定するため、赤外吸収法と類似した測定方法である。 レーザー光を試料の局所部分に照射し、散乱ラマン線を測定する…
格子と基本単位格子とは 結晶を原子や分子の配列の繰り返しと考えることができる。これは具体的には、原子や分子の配列のうち1つの区間を考え、その区間の繰り返しによって結晶が構成されていると考えている。この1つの区間である単位構造が繰り返し配列され…
ウィグナー・ザイツセル ウィグナー・ザイツセル (Wigner-Seitz cell) とは、格子の格子点同士を結ぶ線分を垂直に二等分する面で囲まれた領域のことである。 結晶格子のウィグナー・ザイツセルは基本単位格子である。 ブリルアンゾーン 逆格子空間におけるウ…
原子によるX線の散乱 原子は正の電荷をもつ原子核と、負の電荷をもつ電子から構成されている。 一方でX線は電磁波であるため、振動する電場をもつ。そのため、原子にX線を照射するとX線の振動する電場が荷電粒子を振動させる。この振動された荷電粒子が波源…
L殻の電子がK殻に移動する際に発生する固有X線がKα線である。 このKα線にはKα1線とKα2線がある。 まず、L殻には2s軌道のL1準位、2p1/2軌道のL2準位、二重に縮退した2p3/2軌道のL3準位が存在する。 このうち、L1準位からK準位への電子の遷移は禁制遷移である…
X線回折法 (XRD法) X線回折法 (X-ray diffraction法、XRD法) とは結晶や粉末にX線を照射し、そこで起きるX線の回折像やパターンを解析することで、結晶の原子の配列や分子の構造を調べる方法である。 結晶や分子にX線を照射すると、X線は結晶を構成する原子…
連続X線・白色X線 電磁波のうち、波長が0.01 nm~数十nmの電磁波をX線という。 X線の中でも、制動放射やシンクロトロン放射によって発生する連続スペクトルを示し、光のような広帯域のX線を連続X線もしくは白色X線という。そして、この白色X線から特定の波長…
X線回折・ブラッグ反射 X線が原子に当たるとX線は散乱される。そのため、多くの原子の集団にX線を入射すると、それぞれの原子によるX線の散乱が起きる。 このとき、散乱されたX線は、X線の波としての性質により干渉が起こり、X線の強度の強め合いや打ち消し…
錯体の配位数 錯体にて、中心金属原子に配位する原子または原子団の数を配位数という。 中心金属を取り囲み、中心金属と配位結合している原子や原子団を配位子という。その配位子の数は配位数となる。 金属イオンの種類によるが、配位数は2、4、6などである…
最近接原子と配位数 結晶を考える。このとき結晶中の、ある原子の中心から別の原子の中心までの距離を最近接原子間距離という。 例えば、単純立方構造では最近接原子間距離は格子定数となる。 また、結晶では、ある原子を中心として最近接原子間距離に位置す…
格子定数とは 格子定数 (lattice constant, lattice parameter) とは、結晶格子の単位格子の大きさを表す定数である。 格子定数は単位格子の三つの稜 (辺) a、 b、 cの長さと、三つの稜 (辺) a、 b、 cがなす三つの角α、 β、γの6つで表される。一般的にa軸と…
物質は電圧をかけた場合の電流の流れやすさである電気伝導性によって導体、絶縁体、半導体の3つに分類することができる。 導体 導体 (conductor) は電気をよく通す物質である。金属の電気伝導性は高く、金属は導体として知られている。また、金属のように電…
遮蔽とは 原子は原子核とその周りの電子によって構成されている。 そして原子核と電子の間にはクーロン力が働き、電子は原子核に引き寄せられている。 まずHe原子を考える。He原子は、1s軌道に2個の電子を持っている。そして、この1s軌道の電子は原子核の+2…
マーデルング定数 マーデルング定数とは、イオン結晶の結晶構造によって定まる結晶格子の静電ポテンシャルを定める定数である。 結晶内のあるイオンを原点とし、クーロン力による反対符号イオンとの引力、同符号イオンとの斥力を無限遠まで順次計算すると、…
フォノンと格子振動 フォノンとは、固体を構成する原子の振動である格子振動を、エネルギーをもつ粒子と考えたものである。つまり、フォノンは格子振動の準粒子である。また格子振動を量子化したエネルギー量子がフォノンであると説明されることもある。 フ…
電気浸透流とは 電気浸透流 (electro-osmotic flow, EOF) とはキャピラリーの両端に電圧を印加したときの溶媒自体の流れのことである。特にキャピラリー電気泳動において起こる。 キャピラリーとして用いるフューズドシリカキャピラリーにアルカリ性の溶液を…
準粒子とは 準粒子とは、相互作用をもつ多粒子の集団による運動の中で、振動や波動が量子化され、粒子のように振る舞うため、粒子のように扱うことができるもののことである。 数学的には多粒子系の集団による運動は、空間的に広まった場として考えることが…
格子比熱 格子比熱とは、固体の比熱のうち格子振動の寄与する部分のことである。 固体の比熱を考える場合、固体の内部エネルギーが温度に対してどのように変化するかを考える。この固体の内部エネルギーは格子振動のエネルギーと電子系のエネルギーに分けら…
ハイエントロピー合金とは ハイエントロピー合金もしくは高エントロピー合金 (High entropy alloy, HEA) とは、合金を構成する元素が5成分以上であり、その5成分以上の多成分がほぼ等原子組成比で、そして単相固溶体を形成する合金である。従来の合金の多く…
熱力学の第2法則:エントロピー増大の法則とは エントロピーとは乱雑さの程度を表す量である。 そして、熱力学の第2法則はエントロピー増大の法則ともいわれ、膨大な数の粒子が関与しているときには、エントロピー(乱雑さ)が減少する方向には現象は進まな…
エントロピーとは エントロピー (entropy, ) は熱力学的状態量の一つであり、系の乱雑さ、もしくは無秩序さの程度を表す量である。エントロピーが大きいほど乱雑さが大きいということができる。 エントロピーは、1865年にR.J.E. クラウジウス (Clausius) に…
エチレンジアミン四酢酸:EDTA よく知られている多座配位子 (キレート試薬) として、エチレンジアミン四酢酸 (ethylenediaminetetraacetic acid, EDTA) があり、多くの金属イオンと安定な錯体を形成することが知られている。 エチレンジアミン四酢酸は、(HOO…
キレート 一つの金属イオンに対して、配位することのできる配位原子 (錯形成官能基) を一つしかもっていない配位子を単座配位子、一つの配位子が配位原子を二つもっているものをニ座配位子という。そして、一つの配位子が配位原子を二つ以上もっているものを…
デバイ-ヒュッケルの式 デバイ-ヒュッケルの式は活量係数を計算することができる理論式である。しかし、デバイ-ヒュッケルの式は非常に希薄な溶液でなければ適用できない。 デバイ-ヒュッケルの式はイオンiの電荷を、イオンの活量係数を、溶液のイオン強度を…
水溶液を考えるうえで大切なイオン強度とデバイ-ヒュッケルの極限法則(イオン強度の法則)について丁寧に解説しています。
化学ポテンシャルを考えるうえで収容な活量と活量係数とはなにかを解説しています。 さらに化学ポテンシャルと活量の関係、平均活量・平均活量係数についても解説しています。
イオン反応とは イオンの関与する反応のことをイオン反応 (ionic reaction) という。 主に電解質溶液内での反応をイオン反応というが、高温での溶融塩の反応、イオン移動による固相反応、X線やγ線などのイオン化放射線の照射による気体分子のイオン化などの…
核反応のクーロン障壁 入射粒子が標的核に入射し、複合核を形成する核反応を考える。 このとき、複合核を形成するために必要なエネルギーの最低値をQ値といい、さらに複合核を形成する段階で必要となる運動エネルギー分も考慮した核反応を起こすために必要な…