化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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準粒子:量子化された振動や波動を粒子とみなす

準粒子とは 

準粒子とは、相互作用をもつ多粒子の集団による運動の中で、振動や波動が量子化され、粒子のように振る舞うため、粒子のように扱うことができるもののことである。

数学的には多粒子系の集団による運動は、空間的に広まった場として考えることができる。この場の波動を量子力学で取り扱うと、振動状態のエネルギーが一つの単位(エネルギー量子) となり、その量の整数倍となる。このため、これを粒子とみなすことができるようになり、これを準粒子という。そのため準粒子のエネルギーは離散的な値をとる。

 準粒子の具体例として、フォノン、マグノン、プラズモン、エキシトン (励起子) 、ポーラロンなどがある。

フォノンは固体中の格子振動を量子化した準粒子である。

マグノンはスピン方位の微小振動によるスピン波を量子化した準粒子である。

プラズモンは電子の集団運動による振動を量子化した準粒子である。

エキシトンは電子と正孔 (ホール) がクーロン力で結合した対を一つの粒子とみなす準粒子である。

ポーラロンは結晶中の電子が格子振動との相互作用によって結晶格子の局所的なひずみを伴って行う運動の準粒子である。