化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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エチレンジアミン四酢酸:EDTA

エチレンジアミン四酢酸:EDTA

よく知られている多座配位子 (キレート試薬) として、エチレンジアミン四酢酸 (ethylenediaminetetraacetic acid, EDTA) があり、多くの金属イオンと安定な錯体を形成することが知られている。

エチレンジアミン四酢酸は、(HOOCCH2)2N-CH2CH2-N(CH2COOH)2であり、配位子の略記号として陰イオン部分を小文字で表し、H4edtaと書くこともある。また工業的にはエデト酸とよばれることもある。

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エチレンジアミン四酢酸:EDTA

エチレンジアミン四酢酸は2個の窒素と4個のカルボキシル基をもっており、それぞれ金属に配位できる非共有電子対がある。

そのため、EDTAは六座配位子として作用する場合が多い。この場合、4つカルボキシル基の酸素原子1個ずつの計4個と、エチレンジアミンの窒素原子計2個が配位原子となって、5個の五員環を形成し、八面体錯体を形成する。

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EDTA錯体の概略図

水溶液中ではEDTAは金属イオンの電荷に関係なく、多くの金属イオンと1:1錯体を速やかに生成する。また、通常のpH領域ではEDTAおよび生成するキレート錯体は水溶性である。このような特徴から、EDTAはキレート滴定の滴定剤として利用されることが多い。

EDTA錯体の生成定数は非常に大きいが、これはキレート効果によるものである。