錯体と配位子
通常のイオンとは少し異なる錯体や配位子について、わかりやすく説明していく。
まず、金属イオンは、金属イオン自身のまわりに陰イオンや中性分子を方向性をもって規則的に配列させるという性質がある。
ジアンミン銀(I)イオン[H3N-Ag-NH3]+は2つのアンモニア分子を銀(I)イオンのまわりに直線型に配列させる。
ヘキサアンミンコバルト(III)イオン[Co(NH3)6]3+は6つのアンモニア分子をコバルト(III)イオンのまわりに八面体型に配列させる。
このような化合物群を錯体という。配位化合物と呼ぶこともある。そして中心にある金属イオンの周りの陰イオンや分子を配位子という。この金属イオンの周りについている状態を配位子が配位しているという。金属イオンに直接結合している原子の数を配位数という。
また錯体がイオンである場合は、錯イオンということもある。
このような錯体の考えは1893年にウェルナーによって発表された。
錯体の中心金属となる金属は周期表で1~12族、Bを除く13族、14~15族の第6周期の元素群である。
逆に周期表の右上の元素群は配位原子として働く元素群である。
14族のSi、Ge、Snなどは中間に位置している領域であり、中心金属イオンとして働く場合と配位原子といて働く場合がある。