化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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合金触媒のリガンド効果とアンサンブル効果

単一の金属を担体に乗せた金属/担体触媒では、触媒性能を追求しても限界に達する場合が多い。そこで、金属を単一の金属から複数の金属の合金にすることで触媒性能を向上しようとする方法がある。

このような合金触媒作用に対する金属原子間の複合効果を説明するために、リガンド効果(電子的効果)とアンサブル効果(幾何学的効果)という2種類の相互作用が考えられている。

リガンド効果(電子的効果)

金属粒子を形成する各原子は隣接する原子と化学結合をしている。異種原子が隣接している場合、原子の電気陰性度の差に応じて電子密度が変化する。このような電子移動による効果を、錯体の中心金属と配位子との相互作用と似ていることからリガンド効果という。

アンサンブル効果(幾何学的効果)

反応する原料が触媒表面上に吸着し、表面反応を経て脱離していく過程は、必ずしも1個の金属原子上で進行するわけではなく、多くの反応は、隣接する数個の表面原子が関与して、反応が起こる。

この触媒表面の複数の活性金属原子の集団をアンサンブルという。

アンサンブル効果とは、活性金属原子の集団の触媒の主成分の金属と添加元素との混合の度合いに応じて、主成分の金属の集合状態や配列が変化し、反応分子の吸着や活性化の様式が変化する効果のことである。