L殻の電子がK殻に移動する際に発生する固有X線がKα線である。
このKα線にはKα1線とKα2線がある。
まず、L殻には2s軌道のL1準位、2p1/2軌道のL2準位、二重に縮退した2p3/2軌道のL3準位が存在する。
このうち、L1準位からK準位への電子の遷移は禁制遷移である。
そして、2p1/2軌道のL2準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα2線、2p3/2軌道のL3準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα1線となる。
また、終状態の全角運動量を考えると、Kα1線が放出される過程は、Kα2線が放出される過程はである。
この終状態の多重度の比はKα1:Kα2 = 2:1であり、各過程の遷移の確率もKα1:Kα2 = 2:1である。
これが反映されて、Kα1線とKα2 線の強度比もKα1:Kα2 = 2:1となる。