化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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固有X線のKα1線とKα2線 

L殻の電子がK殻に移動する際に発生する固有X線がKα線である。

このKα線にはKα1線とKα2線がある。

まず、L殻には2s軌道のL1準位、2p1/2軌道のL2準位、二重に縮退した2p3/2軌道のL3準位が存在する。

このうち、L1準位からK準位への電子の遷移は禁制遷移である。

そして、2p1/2軌道のL2準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα2線、2p3/2軌道のL3準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα1線となる。

また、終状態の全角運動量Jを考えると、Kα1線が放出される過程はJ = \frac{3}{2}、Kα2線が放出される過程はJ = \frac{5}{2}である。

この終状態の多重度2J +1の比はKα1:Kα= 2:1であり、各過程の遷移の確率もKα1:Kα= 2:1である。

これが反映されて、Kα1線とKα線の強度比もKα1:Kα= 2:1となる。