特性X線 (固有X線)
気体や金属に高エネルギーの電子などの粒子を当てると、物質の構成原子のエネルギー準位の低い内殻電子が原子外にはねとばされる。その結果、内殻電子が存在した軌道に空きが生じる。その内殻の空きへエネルギー準位の高い外殻の電子が入ってくるとき、エネルギーの差分のX線が放出される。このX線が特性X線である。固有X線、示性X線ともいう。
特性X線は各元素固有の線スペクトルを示す。これは、エネルギー準位の差が、各元素によって異なるためである。
K殻の電子が抜け、そのK殻へ電子が入ってくることに起因する固有X線はK系列といわれる。同様にL殻へ電子が入る固有X線はL系列、M殻へ電子が入る固有X線はM系列といわれる。
また、K殻 (1s軌道) の電子が抜けたあとに、2p軌道の電子が入ってくるときに発生する固有X線はKα線といわれる。このKα線は正確にはKα1線とKα2線が存在する。また、3p軌道から1s軌道に電子が移動する際に発生する固有X線はKβ線 (Kβ1線とKβ3線)、4p軌道から1s軌道に電子が移動する際に発生する固有X線はKβ2線といわれる。
モーズリーの法則
特性X線の波長と原子番号の間には次の関係が成り立つ。
とは特性X線に固有の正の定数である。そして、この関係をモーズリー (Moseley) の法則という。
モーズリーの法則からわかるように、原子番号が大きくなると、特性X線の波長は小さくなる。