化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

無機化学

金属の性質・最密充填構造・硬さ・展性・延性について

金属の定義について 金属とは、ある元素の原子が多数集合して単体となったときに、特徴的な性質を示す物質であり、その元素のことは金属元素と定義される。 特徴的な性質とは次の3つの性質である。 1. 熱伝導性および電気伝導性が高い。また、電気伝導率は温…

錯体の配位子置換反応・生成定数・アービング-ウィリアムスの系列の解説

錯体の配位子置換反応について 中心金属イオンをM、配位子(ligand)をLで表すようなある錯体を考える。このとき組成がML、ML2、ML3、・・・と表される一連の錯体が生成する場合がある。その具体例として、カドミウムイオンCd2+とアンモニアNH3が結合して生じ…

共通イオン効果の解説

共通イオン効果とは ある難溶性の塩ABの飽和溶液にA+もしくはB-を可溶性の塩として加えると、ABがさらに沈殿してくる。 また、あるイオン種を含む溶液に、それと共通のイオンを放出する物質を加えると、相手イオンの濃度が減少する方向に平衡が移動する。こ…

連鎖反応(光照射による塩化水素生成反応)の解説

連鎖反応とは 連鎖反応(chain reaction)について、用語集には、次のような説明があります。 原料となる化合物から生成物が得られる過程がいくつかの素反応の組み合わせによって成立し,一つの反応(連鎖開始反応)が始まると,その生成物(ラジカル,イオンなど…

不活性電子対効果についての説明

不活性電子対効果について 立体化学的不活性電子対効果(stereochemical inert pair effect)と不活性電子対効果は熱力学的6s不活性電子対効果(thermodynamic 6s inert pair effect)に区別することができる。 立体化学的不活性電子対効果について 非共有電子対…

ファヤンスの規則と分極についての解説

ファヤンスの規則(Fajan's rules)について ファヤンスの規則(ファヤンス則)とは1923年にFajansによって提案された経験則である。ファヤンスの規則は、誘起される分極の大きさを推定する指針を規則としてまとめたものであり、化学結合のうち共有結合性の度合…

ファヤンス法(塩化物イオンの定量法)について

水道水は塩素殺菌されている場合が多い。こういった水道水は多くの塩化物イオンを含む。 こういった溶液に含まれている塩化物イオンを定量する方法として、ファヤンス(Fajans)法が知られている。 ファヤンス法について ファヤンス法は次の流れで行う。 まず…

元素の対角関係、LiとMg、BeとAlの解説

元素の対角関係とは 典型元素には対角関係(diagonal relationship)がある元素がある。 元素の対角関係とは、元素周期表において、一つ右下にある元素と類似性をもつというものである。 リチウムとマグネシウムの対角関係 リチウム(Li)は元素周期表において、…

アルカリ金属と化合物の性質についての解説

アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)とは? リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)のこれらの1族元素のことをアルカリ金属という。 アルカリ金属の化学的性質は、s電子を一つ失って希ガスの電子配置…

水素の性質、同位体、製法についての解説

水素について 水素(H)は原子番号1番である。 このことから、最も単純な元素とも考えられている。 水素は宇宙で最も多量に存在する元素である。存在する元素の約76%が水素である。 水素は1族元素であるが、他の1族元素とは異なる点が多い。例えば、電気陰性度…

2族元素の特徴について解説

2族元素について 2族元素:ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が当てはまる。 2族元素はすべて金属元素である。またBeは両性元素である。 2族元素の原子の特徴 最外殻電子配置はns2である。…

水素を吸蔵する金属について

例えば水素を燃料とする燃料電池自動車など、廃棄物は水のみであるため水素は環境にやさしい物質として注目され、利用が促進されています。 水素を利用するにあたっていくつか課題がありますが、その中の1つが水素の運搬の問題です。水素を液体として運搬す…

水素化物の分類や特徴について解説

水素化物とは 水素を含む化合物(水素化合物)全般を水素化物といいます。特に、狭義の水素化物としては、水素化物イオンH-を含む化合物を水素化物といいます。 化学結合性による分類 水素化物はイオン結合性水素化物と共有結合性水素化物に分類することができ…

固い酸・塩基、やわらかい酸・塩基【HSAB則】の解説

// 無機化学でたまに耳にするHSAB則、その説明をしていきます。 HSAB則・ hard and soft acids and bases 則 HSABとは、hard and soft acids and basesの頭文字をとっています。シンプルに説明しますと酸と塩基を次の4種類hard acid、hard base、 soft acid…