アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)とは?
リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)のこれらの1族元素のことをアルカリ金属という。
アルカリ金属の化学的性質は、s電子を一つ失って希ガスの電子配置になりやすいという性質が支配している。
アルカリ金属の化学的性質について
また、アルカリ金属は他の典型元素の各族と比べると、同じ族の間では化学的性質は大きく変化しない。
各元素の第一イオン化エネルギーが小さく、第二イオン化エネルギーは非常に大きい。そのため一価の陽イオンになりやすい。
周期を下にいくとs軌道の価電子が原子核から遠ざかる。そのため第一イオン化エネルギーは減少する。RbとCsの第一イオン化エネルギーは予想より大きくなる。これはs軌道の内側の占有d軌道が、最外殻のs軌道の価電子を効率よく遮蔽できないからである。
アルカリ金属はすべて反応活性である。つまり、ほとんどすべての他の元素と容易に結合することができる。また、中には爆発的に反応する場合もある。
アルカリ金属の化合物の性質について
アルカリ金属の化合物はほとんどがイオン結合性である。ただし、Liの化合物の一部、特にCとの直接の結合をもったLiRなどの有機金属化合物は共有結合性を有する。
アルカリ金属の塩は、水によく溶ける特徴がある。とくにLi塩とNa塩は水によく溶ける。K塩、Rb塩、Cs塩の一部には水に溶けにくいものも存在する。またLiFとLi2CO3は水にほとんど溶けない。
アルカリ金属の塩の格子エネルギーと水和エネルギー
塩の溶解度は格子エネルギーとイオンの水和エネルギーという2つの相反する大きなエネルギーに依存している。格子エネルギーはイオン同士を引きつけて固体を維持するエネルギーである。イオンの水和エネルギーは固体を溶解させるエネルギーである。
塩MXの格子エネルギーUは次の過程のエンタルピー変化である。
M++X-→MX
格子エネルギーの大きさはz+z-/rに比例する。ここで、z+は陽イオンの電荷である。z-は陰イオンの電荷である。rは両イオンの半径の和である。格子エネルギーはボルンランデの式に基づいて理論的に計算することができる。一般的に格子エネルギーが大きいイオン結合性固体は融点が高い。
M+の水和エネルギーは次の過程のエンタルピー変化である。
M++nH2O→[M(H2O)n]+
陰イオンの水和の場合も同様である。小さな陽イオンと小さな陰イオンの組み合わせのとき最大となる。例えばLiFがアルカリ金属のフッ化物の中で最も溶解度が低い。これは、その格子エネルギーが非常に大きいことに由来している。K+やRb+のような周期の下のアルカリ金属の塩の一部は溶解度が低い。これは、陽イオンのサイズが大きいために、水和エネルギーが小さく、格子エネルギーの効果が優勢になるからであると考えられる。イオンの水和よりもイオン間の静電相互作用の方が遠距離力である。