化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

結晶・単結晶・多結晶・微結晶についての解説

単結晶と多結晶について解説する。そのまえに、結晶とはどういったものかを確認しよう。 結晶とは 固体のなかでも、その固体の内部を構成している原子や分子、イオンの配列が三次元の周期性をもつものを結晶 (crystal)という。 逆に固体の内部を構成している…

フェーリング反応 (アルデヒドの検出反応) の解説

フェーリング反応とは フェーリング液の銅(Ⅱ)イオンが、アルデヒドや還元糖による還元によって酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿を生じる反応のことをフェーリング反応という。 アルデヒドや還元糖の検出や定量に利用される。 1848年にドイツのフェーリングが考案したため…

塩化セシウム型構造についての解説

塩化セシウム型構造とは 塩化セシウム (CsCl) の構造の単位格子は、セシウムイオン (Cs+ ) が立方体の中心に位置し、頂点にある8個の塩化物イオン (Cl- ) に囲まれている構造である。これは逆に、頂点にセシウムイオンを配置し、中心に塩化物イオンを配置す…

銀鏡反応の手順・反応式の解説

銀鏡反応とは 銀鏡反応 (silver mirror reaction) は還元性有機化合物の検出反応の一つである。Tollensの反応ともいわれる。銀鏡反応を用いる検出法を銀鏡試験という。銀鏡反応を用いてアルデヒドの検出が行われる。 また、銀鏡反応によって金属イオンが析出…

スズペストとナポレオンのロシア遠征失敗の原因の関係

ナポレオンのロシア遠征とスズの関係 1812年6月、ナポレオンは60万人の大軍でロシアに侵攻した。しかし、12月初め、ぼろぼろになった敗残兵がモスクワから退却し、ロシア西部のボリソフ近く、ベレジナ川を渡ったときには、1万人以下になっていた。 フランス…

熱力学第0法則・熱平衡状態の解説

熱力学第0法則とは 系と系が熱平衡状態にあり、同じ状態の系と系もまた熱平衡状態にあるならば、系と系も熱平衡状態であり、系と系の温度は等しい。 この法則を熱力学第0法則という。 これは、数学の公理である かつ であるならば、 と同様である。 熱平衡状…

再結晶と再結晶による物質の精製について

再結晶とは 結晶性物質が溶液や融体からふたたび結晶として析出する現象を再結晶という。また、このための操作のことも再結晶 (recrystallization) という。 再結晶は結晶性物質を適当な溶媒に溶解し、温度、濃度、溶媒の組成、共存する他の物質などによる溶…

ゾルゲル法の解説

ゾルゲル法とは コロイドなどの微粒子が溶液中に分散したゾル状態から、流動性のなくなるゲル状態を経て、固体物質を得る合成方法をゾルゲル法 (ゾル-ゲル法、sol-gel method)という。セラミックスやガラス、金属酸化物などの合成に用いられる。 一般的に粒…

マイクロ波合成と伝導加熱・誘電加熱について

マイクロ波合成とは 混合酸化物などの固体材料をつくる際にマイクロ波 (マイクロウェーブ) が使われるようになった。マイクロ波とは、波長の範囲が約1 mから1 mm、周波数の範囲が300 MHz から300 GHzの電波をさす。 マイクロ波合成では、主に反応速度を速く…

化学反応の物質収支・限定反応成分・反応率について

化学反応式と化学量論式 化学反応を取り扱う場合には化学反応式を考える場合が多い。化学反応式は、反応に関わる成分の間での量的相互関係を表す。そのため、化学工学などでは化学反応式を化学量論式や量論式ともいう。 次のような化学反応式を考える。 この…