化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

物質収支の意味と計算手順について

物質収支とは 化学反応では、反応器に様々な物質が出入りし、多様な物理的、化学的変化が起こる。また、その組成や性状、流量なども変化する。こういった変化を定量的に取り扱い、化学反応を含む装置の一部もしくは全て、およびプラント、工場全体に出入りす…

形式電荷の意味・計算方法の解説

形式電荷とは 分子の電子式で、共有結合に関与する電子を、結合している原子に均等に割りふったときに、各構成原子がもつ見かけ上の電荷のことを形式電荷 (formal charge) という。 形式電荷の計算方法 分子中のある原子に割り当てられた正負の整数の電荷で…

消滅則について解説

消滅則とは 結晶によるX線の回折では、結晶面によるX線の反射はブラッグの条件が満たされたときに起こる。また、その強度は結晶構造因子によって決まる。 しかし、空間格子の種類やらせん軸、映進面の有無などによって結晶構造因子となり、反射が系統的に出…

色中心とその種類(F中心・V中心)・形成方法・天然の色中心の例

色中心とは 本来は透明な結晶が、光を吸収して琥珀色や紫色、青色などの色が着いた結晶のようになることがある。これは、結晶の局所構造に由来し、この着色を示す由来となるもとを色中心 (color center)もしくは着色中心という。 色中心は、イオン結晶中の格…

回分操作・連続操作・半回分操作と槽型反応器・管型反応器について

工業的に利用される反応装置の構造と操作法は非常に複雑である。これを理解するために、基本的な操作法と、反応器の形状について紹介する。 反応器の操作法 反応器の操作法は大きく分けて回分操作、連続操作、半回分操作の3つに分類することができる。 回分…

化学プロセスの開発の流れ

化学プロセスとは 化学製品の原料に対して化学的、物理的変化を与える工程を経て、化学製品は製造される。この製造工程のことを化学プロセスもしくはプロセスという。 特に企業では、この化学プロセスの開発が行われている。そして化学プロセスの開発は具体…

オストワルト法(アンモニア酸化法)・硝酸の工業的製法について

オストワルト法 オストワルト法はアンモニア酸化法ともいわれ、アンモニアを酸化して硝酸を製造する方法である。現在の硝酸の製造はほぼオストワルト法が使われている。 1902年にF.W. Ostwaldによって開発されたことからオストワルト法と呼ばれている。Ostwa…

スペクトルの意味について

スペクトルとは 理科、科学、物理、化学などで、スペクトルはよく登場する単語です。辞書にもよりますが、意味は大きく2つです。 (1)複雑な組成をもつものを,共通の要素で分析し,配列したもの(2)光を分解し,波長の順に並べたもの. 引用元:イミダス2018…

ブレンステッド酸点とルイス酸点について

酸点とは 固体酸において酸性を示す表面サイトのことを酸性中心(acid center)もしくは酸点(acid site)、酸性点(acidic site)という。 酸点のうち代表的なもとが2種類あり、酸性を示す表面のヒドロキシ基のことをブレンステッド酸点 (Brønsted酸点)、露出した…

ヨウ素酸化滴定とヨウ素還元滴定について

2種類のヨウ素滴定法 ヨウ素滴定は酸化還元滴定のうちの1つであり、ヨウ素滴定には2種類の方法がある。ヨウ素の酸化作用を利用する滴定を、特にヨウ素酸化滴定 (直接滴定、ヨージメトリー、iodimetry)という。ヨウ化物イオンの還元作用を利用する滴定を、ヨ…