化学徒の備忘録

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消滅則について解説

消滅則とは

結晶によるX線の回折では、結晶面(hkl)によるX線の反射はブラッグの条件n \lambda = 2d \sin \thetaが満たされたときに起こる。また、その強度は結晶構造因子F (hkl)によって決まる。

しかし、空間格子の種類やらせん軸、映進面の有無などによって結晶構造因子F (hkl) = 0となり、反射が系統的に出現しなくなる場合がある。この反射が出現しなくなる現象を禁制反射といい、禁制反射を与える規則性は消滅則として知られている。

この現象は、結晶の対称性によって各原子の寄与がちょうど打ち消し合うため、特定の面からの反射が観測されなくなることが理由である。

複合格子による消滅則は、一般反射hklに対して現れる。一方で、らせん軸や映進面などによる消滅則は、(0k0)h0lなど特定の反射に限られる。

単純格子や鏡面中心、対称中心については消滅則はない。

体心立方格子では h + k + lが奇数の場合には消滅則によって回折が現れない。また、2回らせん軸がb軸方向にある場合、(0k0)反射はkが偶数の場合にのみ現れる。

この消滅則によって、格子の対称性などを判断することで、その結晶の属する空間群を決定する際の判断材料として利用することができる。