2種類のヨウ素滴定法
ヨウ素滴定は酸化還元滴定のうちの1つであり、ヨウ素滴定には2種類の方法がある。ヨウ素の酸化作用を利用する滴定を、特にヨウ素酸化滴定 (直接滴定、ヨージメトリー、iodimetry)という。
ヨウ化物イオンの還元作用を利用する滴定を、ヨウ素還元滴定 (間接滴定、ヨードメトリー、iodometry、チオ硫酸ナトリウム滴定法)という。
ヨウ素酸化滴定について
ヨウ素酸化滴定はヨウ素標準溶液を用いる酸化滴定法である。ヨウ素によって定量的に酸化される物質は直接滴定法によって定量することができる。定量できる物質として具体的には、アンチモン、硫化物、亜硫酸、スズ(II)、ヘキサシアノ鉄(II)酸、亜ヒ酸、チオ硫酸などがある。
ヨウ素還元滴定について
ヨウ素還元滴定はチオ硫酸ナトリウム溶液を標準溶液として用い、反応によって生じるヨウ素を還元滴定する方法である。酸化性化合物の定量に利用される場合が多く、酸化性化合物がヨウ化カリウムと反応して生成する遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。ヨウ素還元滴定を利用する物質としては、銅(II)、鉄(III)、二クロム酸塩、ヒ素塩、塩素、臭素、過酸化水素、塩素酸塩、亜硝酸などがある。
ヨウ素滴定の指示薬
ヨウ素はデンプンと反応して、非常に強い青紫色を呈する。また、ヨウ素が無くなると無色となる。よって、ヨウ素滴定の指示薬としてデンプンを利用することができる。このデンプン指示薬は酸化還元指示薬ではない。
ヨウ素滴定にデンプン指示薬を用いた場合、終点に達して無色になった液を放置すると再び青紫色になる場合がある。これは、I-が空気酸化を受けることによってI2になるために起こる。そのため、青色の消えた点を終点とする。