オストワルト法
オストワルト法はアンモニア酸化法ともいわれ、アンモニアを酸化して硝酸を製造する方法である。現在の硝酸の製造はほぼオストワルト法が使われている。
1902年にF.W. Ostwaldによって開発されたことからオストワルト法と呼ばれている。Ostwaldは白金または白金・ロジウム合金の細線を網状に編んで使用することでアンモニアが合成できることを発見した。その後、Ostwaldは1908年に硝酸の製造をパイロット規模で実証した。実際の工業的製造法は1914年にA. FrankとN. Caroの2名によって確立された。
このオストワルト法は3工程でアンモニアから硝酸を製造する方法である。3工程を化学式でシンプルに表すと次のようになる。
(工程1) 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
(工程2) 2NO + O2 → 2NO2
(工程3) 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
全行程をまとめると、オストワルト法の反応は次のような反応となる。
4NH3 + 8O2 → 4HNO3 + 4H2O
オストワルト法の3工程について
オストワルト法の3工程について、細かく説明する。
工程1: アンモニアの接触酸化による酸化窒素の合成
まず、アンモニアガスを800~900℃の加熱白金-ロジウム合金網触媒上で空気または酸素によって燃焼させて一酸化窒素を生成させる。このとき水蒸気も生じる。
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
実際には副反応としてアンモニアが窒素となる次のような反応も進行してしまう。
4NH3 + 3O2 → 2N + 6H2O
この副反応はアンモニアをロスする反応である。
工程2:一酸化窒素の酸化による二酸化窒素の合成
得られた一酸化窒素を冷却した後に、この一酸化窒素が余剰の残存酸素が反応することで、二酸化窒素が生じる。
2NO + O2 → 2NO2
また、2分子の二酸化窒素が結合する反応も進行する。
2NO2 → N2O4
次に一酸化窒素を冷却することで、二酸化窒素とし、水に吸収させることで硝酸を製造する方法である。
工程3:二酸化窒素の水による反応
二酸化窒素もしくは四酸化二窒素が水と反応して硝酸を生じる。
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
3/2N2O4 + H2O → 2HNO3 + NO
また、ここで生じたNOは再び酸化されて、NO2とN2O4となる。
4NO + O2 → 2NO2 + N2O4