化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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生体内の錯体反応:血液中のヘムと酸素

生体内の錯体反応

生体内の反応でも、錯体に関する反応が起こっている。特に血液中のヘムに関しては、よく知られている。

血液中のヘムは鉄を強く保持している。これはヘムの窒素原子が鉄と強い配位結合を形成するためである。

鉄(鉄(II))は、酸素分子と結合し、肺から体内のほかの場所へ運搬して放出する。これは、酸素分子はドナー原子や錯形成剤としては弱いからである。

一酸化炭素は中毒などが起こるや一酸化炭素は死ぬ危険性があるという話を聞いたことがある人もいると思う。

これは、一酸化炭素は強い錯形成剤であり、ヘムに結合した酸素を置換するためである。一酸化炭素は酸素と比較すると200倍の強さでヘムと結合するためであり、この場合、カルボキシヘモグロビンが形成される。