化学プロセスとは
化学製品の原料に対して化学的、物理的変化を与える工程を経て、化学製品は製造される。この製造工程のことを化学プロセスもしくはプロセスという。
特に企業では、この化学プロセスの開発が行われている。そして化学プロセスの開発は具体的には、(1) 基礎研究・応用研究、(2) プロセス開発研究、(3) プロセス設計、(4)プラント設計・プラント建設という流れで進められる。
基礎研究・応用研究
最新の技術や特許情報から、既存の技術まで様々な手法を検討し、化学製品を作るための反応ルートや触媒についての基礎研究が行われる。主に化学者がガラス器具や小型の実験装置を使用して、実験を行い研究する。
基礎研究の次に、製品の新規性や品質、コスト、生産性、市場性なども踏まえた応用研究の段階に入る。
プロセス開発研究
主に化学技術者が中心となり、試験的な連続式の小型試験装置(ベンチプラント)を組み立てる。ベンチプラントを運転し、実際のプラントの設計に必要なデータを収集を行う。また、工業化する際の問題点を探し、その対策を行う。
プロセス全体の構想も同時に考えていく。この際には、反応装置や各種分離装置などを結合したプロセスの流れがわかる簡単なフローシートを作成し、各装置の操作条件や性能などから原料から製品を製造するまでの物質の流れや物質収支を見積もる。
ベンチプラントが終了すると、パイロットプラントを建設する場合が多い。パイロットプラントとは、商業プラントの10分の1程度の大きさの装置であり、装置の規模の拡大に伴う変化の予測が正しかったのか再検証が行われる。また、パイロットプラントである程度の量の製品サンプルを製作し、配布などを行って市場調査や市場開拓などに役立てる場合もある。
プロセス設計
プロセス開発研究までの結果をもとに、最終的なプロセスが決定される。このプロセス設計の段階で、原料の選定やフローシートの決定、装置の選定や設計、物質収支、熱収支の計算、計装と制御方式の決定、製品コストの計算などが行われる。
プラント設計・プラント建設
プラントの設計の段階に入ると、個々の装置の詳細な機械的設計を行い、発注する。そして、プラントの建設が行われる。
プラントの建設は、数年間にわたる場合も多く、スケジュールに基づいて工事が進められる。そしてプラントが完成した後は、試運転を繰り返した後で、生産が行われる。