化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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回分操作・連続操作・半回分操作と槽型反応器・管型反応器について

工業的に利用される反応装置の構造と操作法は非常に複雑である。これを理解するために、基本的な操作法と、反応器の形状について紹介する。

反応器の操作法

反応器の操作法は大きく分けて回分操作、連続操作、半回分操作の3つに分類することができる。

回分操作

回分操作 (Batch operation) は反応原料をすべて反応器内に入れてから反応を開始し、適当な時間後に反応生成物全体を取り出す操作法である。回分操作では槽型反応器が使用される。

回分操作は、操作が不連続であるため、装置の運転管理が複雑となり、大量生産には不向きとされている。しかし、小規模で高価な製品を生産する場合などは、設備費が少なくなり有利となることもある。

連続操作

連続操作 (Continuous operation) は、流通操作ともいわれる。反応原料を連続的に反応器に供給して反応させ、生成物は反応器から連続的に取り出す操作法である。連続操作には、槽型反応器と管型反応器が使用される。

連続操作は、装置内の諸条件はつねに一定の状態に保たれている。連続操作は制御技術を活用することで人手などを少なくすることができ、生産の規模が大きい場合に有利な操作法である。

半回分操作

半回分操作 (Semibatch operation) は半連続操作ともいわれる。これは回分操作と連続操作を組み合わせた操作ということができる。具体的には、装置内に仕込んだ物質と、別の物質を連続的に流入、流出する物質によって反応を進行させる操作法である。

反応器の形状

反応器の形状によって、大きく槽型と管型(塔型)に分類することができる。

槽型反応器

槽型反応器には撹拌翼が取り付けられ、反応器内の反応流体は混合される。よって、反応器内では、反応流体の濃度と温度は均一であるとみなすことができる。

槽型反応器を回分操作する場合は、回分反応器 (Batch reactor)と呼び、BRと略す。

槽型反応器を半回分操作する場合は、半回分反応器 (Semibatch reactor)と呼ぶ。

槽型反応器を連続操作する場合は、連続槽型反応器 (Continuous stirred tank reactor) と呼び、CSTRと略す。連続槽型反応器では、入れられた反応原料は反応器内の流体と混合され、均一に分散されたまま反応が進行する。その後、反応器内の濃度と温度のまま反応器外に排出される。このような流れを完全混合流れという。

管型反応器

管型反応器では、管状の反応器である。入れられた流体は管断面内では均一に混合され、反応流体の濃度と温度は均一となる。しかし、流体の流れ方向には混合されず、押し出されるように流れる。よって、管の軸方向に対して濃度分布が生じる。このような、管型反応器内の流動状態を押し出し流れと呼ぶ。また、管型反応器のことを押し出し流れ反応器 (Piston flow reactor) と呼び、PFRと略す。