化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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研究の申請書が"新規性"だけではダメなワケ

研究を行ううえで、研究費や予算を獲得するために、申請書を書くいたり、プレゼンをすることがあります。こういった場合には、その研究内容を申請書にまとめたり、研究内容をプレゼンテーションすることでしょう。

このとき研究テーマは、これまで研究されたことのない内容、つまり新規性をアピールすることは、よく行われることです。たしかに、これまで研究された内容と同じことを研究することは、新たに発見できることがあまり無いと思われるため、研究されることはほとんどありません。

しかし、研究費や研究予算を獲得するためには、それ以外にも考える必要があることがあります。

それは、シンプルに言うと、新たな価値が生み出されることです。

例えば、ゲームの開発の企画で考えてみましょう。

これまで、世に出ていない内容のゲームを開発するということは確かに大切です。しかし、ゲーム開発のために予算を獲得するためには、ただ新しいゲームというだけでは、予算が獲得することが大変だということが想像できるのではないでしょうか。やはり、そのゲームがなにかしらの手段で、利益(売上)を得られることがポイントとなります。

多くの人が熱中するような面白いゲームというのも1つのアイデアですし、ファンの多い有名な漫画やアニメを題材にするというもの1つです。そして、ゲームが多く売れたり、熱中した人が課金するようなゲームが求められます。

研究の場合には、今すぐ世の役に立たないかもしれない、いわゆる基礎研究も非常に重要です。しかしながら、研究に必要な予算を獲得するという場面では、この研究が新しい価値を生み出すので、投資が必要だということを盛り込む必要があるでしょう。

大学の学部や修士課程の研究活動では、研究というものを学生に教育するという部分も重視されるため、今すぐは価値を生み出しにくい基礎研究などに取り組むケースも多いです。

一方で、例えば企業の研究職では、研究の成果によって、製品の性能が向上する、製品の価格を下がられるなど利益を得られるテーマであることも求められます。

研究のテーマを考えるときには、新規性や独創性だけでは、その研究に投資する優先順位が相対的に下がるため、そのテーマに予算を使って研究を行う必要性にもつながるように考えることが重要です。