例えば、触媒の開発の研究を行うとき、触媒分野の論文だけを読んで、参考にしながら研究を進めていくのでしょうか?
実際は、ほとんどの研究者は違う分野の論文も読みながら、研究を進めることでしょう。
例えば、高効率、高耐久な排ガス触媒の開発を行うとしたとき、触媒材料として合金に着目したとします。そうすると、触媒としての研究はされていないが、合金として研究がされている材料分野の論文を読んで、触媒の合成方法を検討する参考にするかもしれません。
触媒の耐久性が低い原因を探るために、反応中、もしくは反応後の触媒の状態を分析しようとするかもしれません。このときは、分析方法を検討するために、分析化学分野の論文を参考にするかもしれません。
では、もし今あなたが研究活動に取り組んでいるなら、その研究テーマは、どのような分野に応用されているのでしょうか?
おおまかな参考になるデータがあるので、ご紹介します。
下の図は世界における論文分野と技術分野のつながりの図です。
例えば、化学に着目すると、化学分野の論文は当然化学分野に利用されていますが、それ以外にも、電気工学分野、バイオ・医療機器分野、バイオテク・医薬品分野にも活用されていることがわかります。
実際の研究テーマによって、応用されている分野はここに書いてある分野全てには当てはまらないと思いますが、どういった分野に応用される可能性があるかを知る1つの資料とはいえるのではないでしょうか。
次のデータは、日本の企業における研究者の専門分野と、所属する企業の専門分野を示した図です。
こちらのデータを見ても化学分野が専門の研究者が、化学工業以外の分野で活躍していることがわかります。
特に学生で就活を考えている学生は、今研究している専門分野が、どのような分野で利用されているかという視点で分析してみると、これまでの専門を活かしつつ、これまで気づかなかった分野や企業で活躍のチャンスが見つかるかもしれません。
引用文献
文部科学省 科学技術・学術政策研究所、科学技術指標2022、調査資料-318、2022年8月