化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

金属ナノ粒子と表面プラズモンについて

金属と表面プラズモンについて 金属粒子に衝突した光は電子の光励起を引き起こす。生じる光励起の大部分は、金属の価電子帯の電子の集団的振動である。この金属表面の価電子が集団的に振動励起された状態を表面プラズモン(surface plasmon)という。このよう…

原子の大きさ・原子半径と電子の存在確率の関係について

原子の大きさとは 原子は原子核と電子で構成されている。そのため原子の大きさは電子の存在する場所に大きく影響される。 一方で、原子やイオンの中の電子は無限遠まで存在する確率がある。また明確な境界は存在しないため、様々な状況に適用可能な原子半径…

塩素系漂白剤として使用される化学物質の種類について

漂白剤とは 食品やパルプ、繊維製品などの色素を除き、外観をよくするために用いられる化学物質のことを漂白剤という。 漂白剤として使われる物質は還元力を利用するものと酸化力を利用するものがある。 ハロゲンのオキソアニオンの酸化力はハロゲンの酸化数…

反磁性・常磁性・強磁性・反強磁性について

磁性と磁気双極子・磁気双極子モーメントについて 物質の磁気的性質(磁性)は、原子や分子の軌道を電子がどのように占めているかに影響される。 磁性はグーイ(Gouy)の天秤と呼ばれる装置やスクイド(SQUID)と呼ばれる装置で磁化率を測定することで知ることがで…

スレーターの規則と有効核電荷の計算方法について

有効核電荷とスレーターの規則について 有効核電荷とは着目している電子が感じる中心原子核の電荷である。 有効核電荷を求める方法として、スレーターの規則 (スレーター則、Slater's rule) がある。 スレーターの規則は、ある軌道上にある電子が、他の電子…

高吸水性高分子の構造、吸水機構、用途について

高吸水性高分子とは 分子量が大きい分子のことを高分子というが、その高分子の中でも特に水を吸収する能力の高い高分子を高吸水性高分子という。高吸水性ポリマーや高吸水性樹脂ともいわれる。 自重の1000倍以上の重量の水を吸収するものも報告されている。 …

食品に使用される防腐剤について

防腐剤とは 防腐剤とは、食品などに細菌が繁殖し、食品が腐敗することを防ぐために食品に加えられる化学物質のことをいう。防腐剤は、保存料といわれることもある。 防腐剤は細菌の侵入や発育、増殖を妨げる効果があるが、殺菌作用があるわけではない。細菌…

α線に対する比電離度、飛程、阻止能について

放射線の比電離度とは 放射線が単位長さ進むときに生じるイオン対の数を比電離度という。比電離度は、1 mmや1 cmあたりの値を用いる。比電離度は放射線の種類やエネルギーによって変化する。α線の場合は、α線が1 atmの空気中を進む場合、1 cm進むときに約104…

サイクリックボルタンメトリーについて

ボルタンメトリーとは ボルタンメトリー(voltammetry)とは試料溶液の中へ作用電極と参照電極を設置し、この2つの電極間に電圧を加え、対応して流れる電流と電圧の関係を調べる方法の総称である。ここで作用電極とは、酸化還元の挙動を観測する電極であり、白…

放射能の単位、ベクレル、グレイ、シーベルトについて

放射能の強さを示す単位:ベクレルについて 放射能の強さは単位時間あたりに壊変する核種の数で表される。放射能の強さを表す単位として、ベクレル(Bq)とキュリー(Ci)がある。 SI単位系ではベクレル(Bq)が放射能の単位として用いられる。 ベクレルは毎秒1回…