化学徒の備忘録

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原子の大きさ・原子半径と電子の存在確率の関係について

原子の大きさとは

原子は原子核と電子で構成されている。そのため原子の大きさは電子の存在する場所に大きく影響される。

一方で、原子やイオンの中の電子は無限遠まで存在する確率がある。また明確な境界は存在しないため、様々な状況に適用可能な原子半径を定義することは難しい。

そこで原子の大きさを表す数値の一つとして、原子の最も外側の軌道に位置している電子の存在確率が最大となる半径を利用することが多い。こういった原子の大きさを考えるときは原子やイオンは球であると仮定する。

電子の存在確率が最大となる半径について

電子の存在確率が最大となる半径を考えるために、ある電子が原子核から距離rr + drとの間にある確率を考える。

まず動径関数をR_{n,l}(r)とする。ここでnは主量子数、lは方位量子数である。次に原子核から距離rr + drとの間の球殻の体積は、4 \pi r^2 drで得られる。

このとき、ある電子が原子核から距離rr + drとの間にある確率は4 \pi r^2 \{R_{n,l}(r)\} ^2 dr によって求めることができる。このとき、4 \pi r^2 \{R_{n,l}(r)\} ^2  を動径分布関数という。

動径分布関数は軌道に位置している電子の存在確率を示す関数であり、原子の最も外側の軌道に位置している電子の動径分布関数の最大となる半径をr_{max}、主量子数をnスレーターの規則などにより計算できる有効核電荷をZ_{eff}、ボーア半径をa_0とすると次のように計算できる。

\displaystyle r_{max} = \frac{n^2}{Z_{eff}}a_0

この計算により求められる半径r_{max}を原子半径とすると、原子半径は主量子数に大きく影響され、ある周期から次の周期にいくと原子半径が大きくなる傾向が現れる。また同じ周期内では、原子番号が大きいほど原子半径が小さくなる傾向が現れる。この傾向と同じ傾向は実験的に決定された共有結合半径やイオン半径でも見られる。

実験的に決定される共有結合半径は基本的には対照な同じ元素間の単結合距離を二等分した長さとして求められる。

実験的に決定されるイオン半径は、イオン結晶において最も近接した陽イオンと陰イオンの間の距離が両イオンの半径の和に等しいと仮定して各イオンに半球を割り当てることで考えられる。