化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

塩素系漂白剤として使用される化学物質の種類について

漂白剤とは

食品やパルプ、繊維製品などの色素を除き、外観をよくするために用いられる化学物質のことを漂白剤という。

漂白剤として使われる物質は還元力を利用するものと酸化力を利用するものがある。

ハロゲンのオキソアニオンの酸化力はハロゲンの酸化数が減少するほど大きくなる。そのため塩素系漂白剤は低酸化状態の塩素を含むことで、大きな酸化力を示す。

代表的な塩素系漂白剤としては塩素ガスや次亜塩素酸塩、二酸化塩素ガスなどがある。

塩素ガスについて

塩素ガスは繊維工業や水処理などに使われている漂白剤である。しかしながら、塩素ガスは毒性が強いなどの欠点があり、一般的な利用は難しい点がある。塩素は水中で不均化反応を起こして次亜塩素酸イオンClO-とH+を生じるが、より安全に漂白剤として利用できるものとして、この次亜塩素酸の塩などが利用されるようになった。

次亜塩素酸塩について

次亜塩素酸塩として具体的には、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムが漂白剤や消毒薬として利用されている。

次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液は、工業的な製紙や繊維、洗濯の漂白剤として利用されている。またプールの消毒にも次亜塩素酸ナトリウムが利用される。また低濃度の次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の衣類の洗濯の漂白剤としても利用されている。

次亜塩素酸カルシウムは酪農やビール醸造所、食品加工、瓶詰め工程の消毒薬として利用されている。またパルプの漂白剤としても利用される。次亜塩素酸ナトリウムと同じように次亜塩素酸カルシウムもプールの消毒に利用されている。また家庭用の白カビの除去剤としても利用されている。

さらし粉は、この次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウムの混合物であり、他に水酸化カルシウムなども含んでいる。さらし粉は海水や貯水池、下水道の消毒などに利用されている。

さらし粉などで漂白などの使用目的に有効に働く塩素のことを有効塩素といい、さらし粉の効力は有効塩素量で示されることがある。また有効塩素量が通常のさらし粉の2倍程度(60~75%)のものは高度さらし粉とよばれる。高度さらし粉の主成分は次亜塩素酸カルシウムである。

二酸化塩素ガスについて

二酸化塩素ガスは木材パルプ工業において漂白剤として利用されている。塩素やオゾン、過酸化水素などの他の酸化性漂白剤とは異なり、二酸化塩素はセルロースを攻撃しないため、パルプの機械的強度を保ち、白くて丈夫な紙ができるようになる。