過酸化水素水と過マンガン酸カリウムの酸化還元滴定について考えよう
過酸化水素水1.00 mLに水を加えて200 mLにした。そのうちの20.0 mLをとり、希硫酸を加えて強酸性にした。この溶液に0.010 mol/Lの過マンガン酸カリウム溶液を、その色が消えなくなるまで滴下したところ、25.2 mL必要だった。
最初の過酸化水素水の濃度は質量%でいくらでしょうか。
ただし、過酸化水素水の密度は1.07 g/mL、H2O2の分子量は34とします。
解答編
まず過マンガン酸カリウム(KMnO4)と過酸化水素(H2O2)のどちらが、酸化剤でどちらが還元剤かを考えます。
KMnO4はMnの酸化数は+7であり、これ以上酸化数が増えることはないので、還元剤にはならず、酸化剤にしかなりません。
一方で、H2O2のOの酸化数は-1であり、酸素(O2)になるときに、電子(e-)を出すことができます。
よって、KMnO4は酸化剤、H2O2は還元剤となる反応が起きます。
では、半反応式を書きます。
酸化剤の半反応式:MnO4- + 5e- + 8H+ → Mn2+ + 4H2O
還元剤の半反応式:H2O2 → 2H+ + O2 + 2e-
過マンガン酸カリウムが受け取る電子と過酸化水素水から出る電子のmol比は5:2であることが分かります。
さて、最初の過酸化水素水に水を加えて200 mLに薄め、そのうちの20 mlを取り出したため、最初にあった量の20/200が反応したことになります。
では、過酸化水素水の質量%を%として、左辺に過酸化水素水から出た電子、右辺過マンガン酸カリウムが受け取った電子の式を作ります。
左辺は"H2O2の質量%/100"×"H2O2の密度(g/mL)"×"最初の過酸化水素水の量(mL)"×"取り出した過酸化水素水の割合"÷”H2O2のモル質量(mol/g)”×"出た電子のモル比"です。
右辺は"過マンガン酸カリウム溶液の濃度(mol/L)"×"滴下した量(L)"×"入った電子のモル比"です。
これを等式にすると下の式のようになります。
これを解くと以下のようになります。
よって答えは20.0%です。