化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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生元素(主要生元素・準主要生元素・微量生元素)の解説

生元素とは

生元素、生体元素とは、生物の生命維持に必須な元素のことである。また、地球表面で生物圏に集まったと考えられる元素は親生元素ということもある。

生元素はさらに、主要生元素、準主要生元素、微量生元素の3種類に分類される。

また主要生元素と準主要生元素を合わせて常量元素といい、ヒトの生体の99.30%を占める。

主要生元素とは

主要生元素は、水素 (H)、炭素 (C)、窒素 (N)、酸素 (O)の4種の元素のことである。

この主要生元素は生体を構成している水と有機物の組成であり、生体の96 ~ 97%は主要生元素で構成されている。

準主要生元素とは

準主要生元素は、ナトリウム (Na)、塩素 (Cl)、カリウム (K)、カルシウム (Ca)、マグネシウム (Mg)、リン (P)、硫黄 (S)の7種の元素のことである。

この準主要生元素は生体の3 ~ 4%を占めているミネラルである。

微量生元素とは

微量生元素は、鉄 (Fe)、亜鉛 (Zn)、銅 (Cu)、マンガン (Mn)、コバルト (Co)、クロム (Cr)、ヨウ素 (I)、モリブデン (Mo)、セレン (Se)、ニッケル (Ni)の10種の元素のことである。

他に、フッ素 (F)、ケイ素 (Si)、バナジウム (V)、スズ (Sn)、鉛 (Pb)などを含む場合もある。また、ヒ素 (As)やカドミウム (Cd)などの有害な元素が、哺乳動物にとって微量に必要な元素であるという説もある。

微量生元素は、微量であるが生物にとって必要な元素であり、生体反応の触媒や動植物、微生物の微量栄養素として働いている。例えば赤血球内の酸素運搬タンパク質であるヘモグロビン中には鉄が含まれている。鉄やコバルト、亜鉛などはイオンとして可逆的に酸化還元を行うことができるため、酸化還元反応をつかさどる酵素の活性中心の一部となっていること場合も多い。

微量生元素は多くの場合、その元素が欠乏すると発育が停止したり、病的現象が現れることで生元素であると推定され、その元素を含む生物の成分が取り出され、その生理的意義が認められると生元素であると認定される。

この微量生元素は、ヒトの生体に 0.7%未満しか存在しない。