化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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滴定の反応による分類

滴定

容量分析を行う際に用いられる操作に滴定がある。一般的に滴定は、分析を行う目的物質を含む試料溶液に、濃度が既知であり、目的物質と定量的に反応する物質の溶液である標準液をビュレットから滴下する。そして、目的物質の全量が定量的に反応し終わった時点までに加えられた標準液の量から、目的物質の量を定量する。

滴定は滴定に利用する化学反応によって分類ができる。

酸塩基滴定(中和滴定)

無機物、有機物ともに酸および塩基の化合物は、強塩基、強酸の標準液によって滴定できる。これは、酸と塩基による中和反応を利用する滴定方法である。

滴定の終点はpH変化に対応する指示薬を用いるほかに、pHメーターによってpHの変化を追跡することも可能である。

非水溶媒中で滴定することによって、多くの有機酸や有機塩基の酸性度、塩基性度を大きくすることも可能である。

この場合、終点が明瞭となり、より弱い酸や塩基の滴定が可能である。

沈殿滴定

沈殿滴定は、滴定剤が分析成分と不溶性の沈殿を生成する沈殿反応を利用する滴定方法である。

沈殿滴定では、肉眼で終点を判別できる場合もあるが、指示薬や溶液の電位を測定することで終点を検出することが可能である。

沈殿する物質の溶解度が小さいほど正確な結果が得られる。

モール法、フォルハルト法などよく知られている沈殿滴定である。

錯滴定

錯滴定は、滴定剤が金属イオンなどの分析成分と水溶性の錯体を生成する錯生成反応を利用する滴定方法である。

滴定剤は、キレート試薬が用いられることが多く、その場合キレート滴定ともいわれる。例えばエチレンジアミン四酢酸 (EDTA) はキレート試薬の一つであり、多くの金属イオンと反応する。

終点の検出は、金属イオンと有色の錯体を生成する指示薬などが用いられる。

酸化還元滴定

酸化還元滴定は酸化還元反応を利用する滴定方法である。

酸化還元滴定は、酸化剤を還元剤で滴定する場合と、還元剤を酸化剤で滴定する場合がある。酸化剤と還元剤の反応では、酸化剤は電子を受け取り、還元剤は電子を失うが、終点が明確であるためには、一方が強い酸化剤であり、他方が強い還元剤である必要がある。

酸化還元滴定の終点の検出は、指示薬や電気的な測定が用いられる。