防腐剤とは
防腐剤とは、食品などに細菌が繁殖し、食品が腐敗することを防ぐために食品に加えられる化学物質のことをいう。防腐剤は、保存料といわれることもある。
防腐剤は細菌の侵入や発育、増殖を妨げる効果があるが、殺菌作用があるわけではない。細菌の活動を抑える作用が主であり、この作用のことを静菌作用ともいう。また、食品に加えられるため、人体に無害であるものが使用される。
食品に使用される代表的な防腐剤には、安息香酸やパラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、プロピオン酸などがある。カルボキシル基をカルボン酸やその塩が使われる場合が多い。
安息香酸
安息香酸はベンゼンの一つのHがカルボキシル基であるCOOHに置換された化合物である。
エゴノキの樹皮を傷つけた際に分泌される樹脂のことを"安息香"といい、その安息香に含まれる酸であるため安息香酸とよばれる。
安息香酸は清涼飲料水をはじめとして、多くの食品に対して防腐剤として使用されている。
パラオキシ安息香酸エステル
安息香酸のカルボキシル基に対して、パラ位といわれる向かい合う位置のH一つがヒドロキシ基に置換された物質をパラオキシ安息香酸といい、パラオキシ安息香酸のエステルがパラオキシ安息香酸エステルである。パラオキシ安息香酸エステルのことをパラベンということもある。パラオキシ安息香酸エステルのうち、エチルエステルであるパラオキシ安息香酸エチルやプロピルエステルであるパラオキシ安息香酸プロピルなどが防腐剤として利用されている。これらは、飲料などの防腐剤として利用されることが多い。
ソルビン酸
ソルビン酸は不飽和脂肪酸の一つである。IUPAC名では2,4-ヘキサジエン酸という。
チーズやかまぼこ、魚介類の燻製、つけものなどの防腐剤として広く利用されている。
プロピオン酸
これもカルボン酸の一つである。
チーズやパンなどの防腐剤として利用されることがある。しかしプロピオン酸は、特有の臭気があるため、利用を避ける場合もある。